1992年4月25日にシンガーソングライター・尾崎豊が26歳の若さでこの世を去った。あれから30年。いまだ尾崎の楽曲は人々の心に刻まれ続けている。
没後30年の時を経て、ところざわサクラタウン角川武蔵野ミュージアムにて尾崎豊展「OZAKI30 LAST STAGE」が開催されている。ところざわサクラタウンは、尾崎が少年時代を過ごした朝霞とお墓のある狭山湖畔霊園のちょうど間に位置している。
尾崎豊は、母親がレコード会社に送ったデモテープがきっかけで1983年12月にデビューした。翌3月には青山学院高校を中退し、音楽一本に絞って活動を始め、その後「十代の教祖」「若者のカリスマ」として人気を博した。
昭和・平成・令和と三つの時代を飛び越えて愛される尾崎だが、その活動期間はわずか8年半に過ぎない。その8年半で人々に強烈なインパクトと感動を残し、1992年、あっという間にこの世を去ってしまった。
1992年4月30日に護国寺で行われた追悼式には4万人が参列し、翌月のオリコンチャートでは尾崎のアルバム6作品がTOP10にランクインした。
音楽というのは、その歌詞と曲だけではなく「歌声」が残っているというのが良い。今でも当時の尾崎の歌声を聞くことができ、そのメッセージや魂の叫びをリアルに感じることができる。当時の若者たちに鮮烈な印象を与えただけではなく、今の若い世代たちにも響くメッセージはある意味普遍的なものであるように感じる。もちろん時代は変わっていて、なかなか現代では理解が難しい部分もあるかもしれないが、その根幹にある普遍的なメッセージは、時代を超えて人々の心に響いているのだろう。
展示を見ると、尾崎が愛用していたギター・Gibson ES-175が当時のそのままの姿で飾られていた。ギターの弦も当時のままで、目の前で尾崎の歌声が聞こえてくるようだ。 ストレートなメッセージが印象的な尾崎だが、展示を見ると彼の心の奥にある“繊細さ”が見えてくるようだった。デビュー初期は、ノートに丁寧に書かれた歌詞カードがとても印象的で、尾崎の几帳面な面が見えてくる。その後、心が安定している時と不安定な時、それによってノートの文字にも変化が見えるようだった。
レコーディング前に自宅で作っていたデモテープは様々な機材を使って器用に録音していたそうで、ミュージシャンとしての一面もしっかり見えてきた。
12月21日、22日には同じところざわサクラタウンにある「ラーメンWalkerキッチン」にて、埼玉の名店「中華そば 四つ葉」が“尾崎豊トリビュートラーメン”を提供した。店主の岩本和人さんは中学の頃尾崎をよく聴いていて、そのメッセージのストレートさに惹かれていたという。
尾崎の名曲『15の夜』をトリビュートしたラーメン「15の夜」は、15種類の醤油を15日間寝かせたタレをベースに作った絶品の一杯。なんと醤油を寝かせている間は、目の前のラジカセで『15の夜』を流していたという。尾崎のストレートな表現をトリビュートし、ストレートな醤油の美味しさを演出した。
一口で口の中に広がるハッキリとした醤油の旨さに、脳天を撃ち抜かれたような衝撃を受けた。
数々の名店が出している醤油の清湯系の中でもトップレベルの美味しさで、尾崎の楽曲を初めて聞いたファンの衝撃を醤油の旨味で表現している。醤油のストレートな旨味と香りに合わせて、繊細な出汁感でパワフルながら上品に仕上げている。
おそらく、岩本さんの中での今回のテーマは“ストレートな表現”であると同時に、尾崎の持つ“繊細さ”にもフォーカスしているに違いない。男らしい武骨な一杯ではなく、非常に繊細でじんわりと心に響く一杯だった。岩本さんは言う。
「亡くなってから30年経ち、いまだこれだけ熱狂的なファンが足を運ぶというのは本当にすごいことだと感じました。尾崎は今も生き続けているということなのだと思います。 音楽とラーメンは、出したものがストレートに届くという意味で似ていると思っています。『四つ葉』のラーメンも尾崎の音楽のように、思い出として人々の心に残るものにしていきたいです」
力強くもありかつ繊細な歌声。そして太く短かった尾崎の人生。歌はこれからも残り続け、人々の心を打ち続けるだろう。
OZAKI30 LAST STAGE 尾崎豊展
開催期間:2022.12.21〜2023.02.05
埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3
角川武蔵野ミュージアム5階 特設会場
https://tokorozawa-sakuratown.com/event/ozaki30.html
中華そば 四つ葉
埼玉県比企郡川島町伊草298
月曜日:11:00 〜15:00
水曜日から日曜日:11:00 〜15:00, 17:30〜20:30
火休
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。臨時休業など、詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/yotuba428428)をご確認ください。
ラーメンWalkerキッチン
埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3-205
04-2968-7786
JR武蔵野線「東所沢」駅徒歩10分
https://ramen.walkerplus.com/kitchen/
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