九州のラーメンの中でも人気急増中!「佐賀ラーメン」を深堀り

2024年02月28日 11時00分更新

 ラーメン人気が全国へ、さらにワールドワイドに広がっている昨今、九州豚骨の一角「佐賀ラーメン」が注目を浴びている。ラーメンボーダーレス時代だからこそ帰りたくなる王道の味、さらに卵黄が添える新たなラーメン観。「佐賀ラーメン」の魅力を徹底解剖する。

“佐賀ラーメン”の歴史は昭和30年代から始まった

 豚骨ラーメン王国・九州には、各地の地名を冠した、いわゆる〝ご当地豚骨〞が多数存在する。博多、長浜、久留米、熊本ラーメンなどが、よく耳にするメジャーどころ。さらに地域にフォーカスすると、玉名(熊本)、佐伯(大分)、大牟田(福岡)など、九州ご当地豚骨ラーメンの種類は多岐にわたる。

 そんな豚骨の聖地・九州において昨今特に熱視線を浴びているのが「佐賀ラーメン」だ。史上初の豚骨ラーメンは1937年に久留米で誕生。その後、九州全域(鹿児島を除く)に久留米豚骨が広がったという麺史は知られるところであるが、現在の「佐賀ラーメン」をおもに形作っているのもその系譜であることは間違いない。

 豚骨ラーメン誕生から10年後の1947年、煮込みすぎてしまった偶然の失敗から〝白濁豚骨〞を生み出した久留米の「三九」は、佐賀市にも系列 「三九軒(現在は閉店)」を展開。そこで働いていた職人と共に「佐賀ラーメン」の原型となる一杯を作ったのが「一休軒」の初代・大串進さんである。1955年のことであった。「一休軒」のラーメンはその後、「成竜軒」「幸陽閣」(旧・幸陽軒)「もとむら(旧・一休軒鍋島店)」などへ広がる。さらに「もとむら」に習った「佐賀ラーメン いちげん。」の躍進で広く知られることとなった。

佐賀ラーメン いちげん。卵黄入りラーメン850円+有明佐賀一番摘み海苔1枚150円~

昭和の味変具材「卵黄」が佐賀ラーメンの顔となった

幸陽閣 卵入りラーメン750円

 「佐賀ラーメン」のアイコン的な存在となっているのが〝卵黄〞。その発祥は諸説あるが、古の久留米ラーメンは卵黄よりゆで卵が主流であることから、前述した「一休軒」、同じく佐賀市内で長い歴史を持つ「東洋軒」が 産声を上げた1955年以降に広がったというのが濃厚。

「ラーメンを通じて故郷・佐賀に恩返しを」と語る、佐賀ラーメン いちげん。内田健市さん。

 卵黄入りは〝特製〝〞デラックス〞という昭和からのメニュー名を残している老舗も多くあり、当時生卵は特別な食材であったことがわかる。さらに、卵黄のみにするというのは白身が苦手な客の要望に答えたことが始まり。現在も、白身入り丸1個で対応してくれる店もある。

幸陽閣 吉田聖次さん。「毎日でも食べられる、世代を超えて愛される」がモットー

 このように卵黄入り豚骨は、古より〝さりげなく〞親しまれているものであったが、 2016年に開催された「東京ラーメンショー」で、「佐賀ラー メン いちげん。」が広くその組み合わせをアナウンスしたことにより、「佐賀ラーメン=卵黄」というイメージが定着。さらに同店は、佐賀海苔を広くアピールしたことでも知られている。同じ豚骨ラーメンでも伝説的店「一竜軒」の味を引き継ぐ唐津ラーメンもあり、博多系もあり、さらに豚骨主流の地で勝ち抜いてきた醤油の名店や、ニューウェーブもある。それらを総称して愛すべき「佐賀ラーメン」。現地を訪れてこそ味わえる麺々。その懐の深さを体感しよう。
 

【佐賀ラーメン いちげん。】

 1998年、内田健市さんが修業先である「一休軒鍋島店」(現:もとむら)と自身の名前、素材の”ゲンコツ”に由来する屋号で開店。羽釜に豚骨をぎっしりと組み上げで呼び戻しをかける「櫓(やぐら)組み」手法で芳醇スープをとる。北九州でブレイク中の「クモノウエ」店主も同店出身。

住所:佐賀市川副町西古賀925-1
電話:0952・45・7865
時間:11:00~15:00、土・日曜、祝日11:00~15:00、17:30~ 20:30(LO各15分前)
休み:火曜・水曜
席数:22席(カウンター8、テーブル14)
駐車場:20台(無料)
交通アクセス:車=長崎自動車道佐賀大和ICより約30分
 

【幸陽閣】

「一休軒」の系譜で、1974年に開業した「幸陽軒」が前身。現在は創業者の娘婿である吉田聖次さんが腕を振るう。先代の製法を踏襲しながらも「より油分を抑え、ブレのない味」を追求。平日でも、開店から閉店まで常に満席状態が続く人気店。

住所:佐賀市下田町3-31
電話:0952・24・5084
時間:11:00~15:00、土曜16:00まで
休み:日曜
席数:32席(テーブル22、座敷10)
駐車場:8台(無料)
交通アクセス:車=長崎自動車道佐賀大和ICより約20分

■「佐賀ラーメンヤタイ」開催!
日時:3月9日(土)、10日(日)
時間:11:00~16:00
会場:SAGAサンライズパーク・パークテラス
住所:佐賀市日の出2-1-10
交通アクセス:車=長崎自動車道、佐賀大和ICを降りて国道263号を南方向へ約10分。電車=JR佐賀駅下車、佐賀駅バスセンター2番乗り場よりバスに乗り、SAGAサンライズパーク(市文化会館前)下車
入場料:無料
イベントお問合せ:佐賀ラーメンフェスタ実行委員会事務局(サガテレビ営業部)
電話0952・23・9118

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