千葉県松戸市『諭吉そば』74歳の名物おばちゃんが本気で作る! キレがあるのにどこか懐かしいラーメン

2024年12月12日 11時00分更新

 千葉県松戸市で人気のそば屋『そばっちゃん』が、10年目になんとラーメン店『諭吉そば』にリニューアル。74歳の名物おばちゃんが作り上げたラーメンは、醤油がキリッと立つスープに極太麺が絡む本格的な一杯だ。

カウンター越しに微笑む石川けいこさん。74歳という年齢を感じさせないほど元気!

そば屋歴27年、74歳の名物おばちゃんが
すごいラーメン作っちゃった!

 厨房では、店主の石川けいこさんがシャキシャキと立ち働いている。御年74歳だが、スープの注ぎ、麺の湯切り、盛り付けと、その動きは若い人に引けを取らない。

 けいこさんは、もともとは蒲田のそば屋で17年勤め、松戸の『そばっちゃん』をおよそ10年切り盛りしてきた、そば屋歴27年のベテランだ。

 あるとき、まかないで作ったラーメンがあまりにもよい出来で、海外でラーメン店を経営する甥っ子も食べてみたら「すごくおいしいね!」と驚いたほど。「おばちゃんが作るラーメンをもっとたくさんの人に食べてほしい」と甥っ子も応援。そこから、2024年8月28日、ラーメン店『諭吉そば』としてリニューアルオープンした。

店は松戸駅東口徒歩約8分、市役所通り沿い

 おばちゃんの朝は早い。3時40分に起きて、5時に家を出る。6時半には店に着いて仕込みを始め、忙しいお昼を過ぎて14時まで店を回す。リニューアルしてからは昼夜交代でスタッフもいるが、以前は一人営業で、そば、うどん、お弁当も出していたという。

 「私、あんまり外食しないの。お惣菜とかも買わないし、家でも自分で全部作っちゃうから」と、店でも家でも休む暇もなく大変かと思いきや、「作るのは嫌いじゃないんです。朝から天ぷら揚げるのは嫌だって人もいるけど、全然苦じゃないの」と気風のいい返事が返ってきた。

毎日、早朝から炊きあげるスープを見つめる目は真剣

 ラーメンのほか、これまでのそばやうどんもブラシュアップ。カレー、丼ものなどサイドメニューも盛りだくさん。新しくなったカウンターの奥に並ぶ揚げ物も気になるし、どれを選んだらいいか迷ってしまいそうだ。

L字カウンター8席。リニューアルで厨房も新しくなった

そば屋のラーメンと侮るなかれ
本格的な一杯に箸が止まらない!

 メニューはいろいろあるが、やっぱりおばちゃんが作るラーメンを食べたい! と、基本の「諭吉ラーメン」をお願いした。テキパキと作り始める姿には、確かな熟練のなせる技がそこかしこに感じられる。

厨房からさっと提供された、おばちゃんの笑顔越しのラーメン

 カウンターから眺めていると、麺を覆うほどチャーシューをパラパラと何枚も並べていく。チャーシュー麺になると、肉はこの倍量だというからびっくり。

 次に、レンゲにすくったネギを1杯、2杯、3杯……。何杯入れるのか見ている間に盛られた量は、ネギラーメンかと見間違うほどこんもり。「たくさん食べてほしい」というおばちゃんの気持ちが丼いっぱいにあふれている。

「諭吉ラーメン」800円。ネギもチャーシューもたっぷり!

 こちらのネギは、松戸の伝統野菜「あじさいねぎ」を使用しているそう。「夏場は取り寄せるのが大変」と、安定した購入先を色々探して、やっと農家直送で買えるようになったと仕入れの苦労も。1年を通して栽培されているが、12月から4月が旬なので、これからが一番おいしい季節だ。シャキッとした食感と風味を活かして、ザックリ切ったネギをたっぷり食べられるのがうれしい。

キリッとした醤油が効いた旨味あふれるスープ

 おそば屋さんのラーメンというと、スープはそばと兼用かと思いきや、「全然違うんですよ」とけいこさん。キリッと効いた醤油に豚の旨味がしっかりとのって、一すくい二すくい……スープをすくう手が止まらないほどおいしい!

 透き通ったスープに普通は細麺を合わせるところだが、なんと! うどんくらいありそうな太麺だ。茹で時間5分のしっかりした麺で、強めのスープによく合う。スープもおいしいが、麺も噛むほどに旨味が増してくる。おそば屋さんなのに、ラーメンのクオリティがこんなに高くていいの? というくらい、ラーメン専門でも勝負できる一杯だ。

ラーメンだけじゃもったいない!
絶品チャーシュー入りカレーはお得感満載

 豊富なサイドメニューから、ラーメンに合わせたい一品を選ぶとしたらカレーだろう。せっかくリニューアルするならと、カレーも新しくリニューアルした。改装中にじっくり時間をかけて、おばちゃんが作り上げたカレーがこちらだ。

「ミニカレー」380円。真ん中にチャーシュー2枚とカレーには珍しい組み合わせ

 「ミニカレー」「ミニミニカレー」もあるので、お腹具合に合わせて選べるものいい。あざやかな黄色のカレーは、けいこさんが「ルーも一から作ったの」という手作りの味わい。豚バラたっぷりでちょっぴりスパイシーな本格カレーだ。

 チャーシューがドーンとのっているのはカレーには珍しいが、ラーメンのチャーシューがとってもおいしいので、ダブルで食べられるのはうれしい限り。

紅ショウガと大きなハラペーニョでちょい辛へと味変

 スパイシーといっても、子どもでも食べられるよう、ベースはコク深くほんのり甘みも感じる味に仕上げている。添え物を見てみると、紅ショウガと大きな輪切りハラペーニョ! さすが、ちょっと刺激が欲しい方への気遣いも忘れない。

 さらに、辛党には絶対食べてほしいサービスが卓上にある。

「諭吉七味せんべい」(1人2枚まで)。1枚1枚手焼きにこだわった諭吉オリジナル

 「諭吉七味せんべい」をケースから1枚取り出し、そのまま食べてみるとすっごく辛い! これは、創業75年の歴史ある都せんべい謹製の草加せんべいで、スープに馴染みやすいように特別に作ってもらっている。ラーメンはもちろん、そばやうどんのスープに浸せば、七味唐辛子代わりにぴったりだ。

 高クオリティでサービス満点! 74歳ながら予想以上の若々しさとバイタリティに、お身体は大丈夫か尋ねてみると、「全然、どこも痛いってとこもない。だから続けてこれたのね。大変とか、そんなのは思わない。そういうふうに思ったらやってられないでしょ。健康の秘訣? 本当に何もやってないの」。

 その言葉に驚き、さらにつやつやな素肌の秘訣を伺うと「湯気で(笑)」と湯気を浴びるかわいい仕草を見せた。

美肌の秘訣は「“湯気”を浴びてるから(笑)」と、チャーミングな一面も

 そんなおばちゃんが、お店を続けてきて嬉しかったことがある。「以前、奥の席に座ってたお客さんがね、『元気をもらえて、よかった』って声をかけてくれたの。ありがたいなと思って」。

 昔ながらの懐かしさを感じるあたたかい一杯には、おばちゃんがこれまで歩んできた人生の出汁がにじみ出るような深い味がする。ぜひ、日本全国、世界中の人に昔のおばちゃんが作った本気のラーメンを食べてほしい。おいしくて、元気がもらえる。おばちゃんに会いに何度も通いたくなること間違いなしだ。

おばちゃんの笑顔が、訪れる人をみんな元気に!

諭吉そば
千葉県松戸市小根本51-9 マツドKビル1F
11:30~14:00
15:00~20:00(19:30オーダーストップ)
土日祝休

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。臨時休業など、詳しくはお店の公式X(https://x.com/Yukichisoba)をご確認ください。

大熊美智代 Michiyo Okuma

ラーメン大好きなフリーランス編集者・ライター。ピラティスやヨガのインストラクター、ヤムナ認定プラクティショナー、パーソナルトレーナーとして指導も行なっており、美容と健康を心がけながらラーメンを食べ歩く日々。ラーメンの他には、かき氷、太巻き祭りずし、猫が好き。

本人X @kuma_48_kuma
Instagram @kuma_48anna

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