佐賀のディープすぎる内装のラーメン店は、「昔の佐賀」を感じる味わいだった 来来軒(佐賀県・神埼市)【福岡県大川市に移住した映画監督の豚骨ラーメン日記】第4回

2020年06月20日 12時00分更新

 大川市は筑後川を渡るとすぐ隣が佐賀県で、佐賀も久留米・大川と同じ系列の豚骨ラーメンのいい店が沢山あります。中でも神埼市にあるこちらはかなりディープな体験とラーメンが味わえます。

「来来軒」佐賀県・神埼市

 まず外観では開店しているのかどうかよく分かりません。入り口は道路側の正面ではなく、右側の開いているところからさらに奥の扉を開けて入ります。

 こちらから。初めての人は諦めるかもしれない。

 誰もいません。寒く静かです。「すいませーん」と呼びかけます。しばらく反応がありません。が、1分くらいするとゆっくり扉が開いて、奥から小さいおかあさん(僕はそう呼ぶ)が、ゆっくりとヨボヨボと出てきました。お歳は80近いそうで、腰はかなり曲がってらっしゃいます。今日はおとうさん(僕はそう呼ぶ)は出かけているとのこと。初めておかあさんに作ってもらうことになりました。

メニューです。潔すぎます

 ちなみに玉子はゆで卵か生卵か訊かれます(選べるかどうかは分かりません)。でも、動きがとてもスローなので、注文は一回でお願いします。追加はやめてあげてください。

 ラーメンを頼むと、お母さんは奥へゆっくりと消えていき、一人取り残されますが、しばらくすると麺を掴んでゆっくりゆっくりと戻ってきますのでご安心を。静かで寒かった店内が、ゆで釜の蓋を開けると湯気がカウンターに広がり、店が突然生き返ったような雰囲気に。

薄色の塩ダレやラードなど

 お身体は小さいですが、麺の湯切りはしっかりとした動きで流石の一言。ちなみにカウンターの方がお母さんより高いので、立ち上がって手を伸ばしてラーメンを受け取ってください。

ラーメン。昔はチャーシューだったようですが、今はハムを

  少し淡白な色の純豚骨スープですが、意外にしっかりと塩気とコクがあって美味しいです。臭みもないです。麺もこちらの地方の定番・中太ストレート。移住して4年しか経ってないですが、食べている間は、昔の佐賀の時代を感じることができます。

 もうここは60年ほどになるそうです。今でも長距離トラックが多く、通る度に家が揺れるのが悩みとのこと。昔は、餃子やいなり寿司もメニューにあったそうです。

当時の名残りなのか、酢がカウンターに置いてあります

 どうやら休みがないらしく、そろそろ定休日を作りたいとおとうさんが言っているそうです。一体どういうことなんでしょう。帰り際に、車を近くに停めてきたことを伝えたら、「用心してね」ってラーメンと同じくらい温かい言葉をかけてくださいました。

「来来軒」
佐賀県神埼市神埼町田道が里2276
営業時間:12時〜24時
定休日:不定休

完山京洪 Keihiro Kanyama (映画監督)

映画制作をきっかけに東京から福岡県大川市に移住して4年半。完全にとんこつラーメンの中毒に。映画の他にゲストハウスLittleOkawoodを運営。

本人Twitter @Keihiro
ラーメン食べ歩きインスタ @ramencrazyfukuoka

この記事をシェアしよう

ラーメンWalkerの最新情報を購読しよう

PAGE
TOP