辛さもあるし、甘さもあるし、タコ入りボールもあるし:
カップヌードル「海鮮コチュジャンチゲ味」を地味にリピートしてしまう理由
「カップヌードル 海鮮コチュジャンチゲ味」
日清食品
6月12日発売
236円(税別)
https://www.nissin.com/jp/products/items/11857
カップヌードルお得意の世界料理シリーズ
筆者の世代(1986年生まれ)は何度か「韓国ブーム」とでも呼ぶべき流行を経験しましたが、なんといっても2003年頃の「冬のソナタ」に端を発するブームを忘れるわけにはいかないでしょう。あの瞬間最大風速、すごかったんですから。K-POPという言葉が日本に浸透したのも、その頃からでした。
それから20年が経ち、音楽(たとえばヒップホップなども、質の高いものが多いのですよ)はもちろん、さまざまなアイドル、ファッション、化粧品などなど……多くの韓国生まれのものが日本を席巻しています。
もちろん、韓国料理もそうですよね。数年前はSNS映えするということでチーズハットグなどが人気を博しましたし、今となっては、流行というよりもすっかり選択肢の一つとして当たり前になった感があります。
そんな韓国料理をカップ麺でいかがでしょう、という商品が「カップヌードル 海鮮コチュジャンチゲ味」です。6月12日に発売されました。
その名の通り、韓国料理のコチュジャンチゲをカップヌードル流にアレンジした商品です。
コチュジャンの甘みとコクをベースに海鮮の旨みをきかせたスープは、濃厚でクセになる味わいが特徴とうたいます。具材として、ニラ、キャベツ、たまごに加え、ぷりっとした食感の新具材「タコ入りボール」が入っています。
日清食品は、シンガポールラクサだろうがクラムチャウダーだろうがペペロンチーノだろうが、世界のさまざまな料理をカップヌードルとして破綻のない味にまとめることに定評があります。当然、この海鮮コチュジャンチゲ味にも期待できそう。
気になるのは、やはりタコ入りボールでしょう。タコが入っている魚肉の練りものだそう。カップヌードルシリーズ定番の「謎肉」を思わせる、バイオ感のある具材といいますか。
筆者はSFが好きなので、こういう存在には惹かれてしまいますね。まあ、カップ麺の具材に、そんな思いを抱く人がどれだけいるのかは疑問ですが……。
原材料を見ると、コチュジャンはもちろん、いか粉末、あさり調味料など、いかにも“海鮮”な調味料が入っていることがわかります。そのあたりにも興味をそそられるところ。
フタを開けると、ニラが目立ちますね。キャベツ、たまごはカップヌードルシリーズでおなじみなので、「いつものみなさんですね」という感じ。そうなると、やはりタコ入りボールの個性が際立つように思えますが、どうでしょうか。
スープにコチュジャン感がちゃんとある
麺は、カップヌードルシリーズらしい油揚げ麺です。カップヌードルシリーズは「カレー」などの麺はすこしだけ太いのですが、こちらはそうではありません。「シーフードヌードル」などと同じです。
最大のポイントは、スープでしょう。結構、コチュジャン感があるんですよ。辛いだけじゃなくて、甘さもあるというのかな。ちょっとチープな辛さでもあるんですけど、それだけじゃなくて甘味とコクもある。
さらに、豆板醤も入っているのがポイントだと思います。コチュジャンだけだと、おそらく「甘すぎる」のではないでしょうか。豆板醤が入ることによって、辛味と塩気で全体が締まるんですよね。ただ、人によっては、「コチュジャンチゲというわりには、豆板醤の味がするんだけど」と感じるかもしれません。
いつものカップヌードルのシンプルな油揚げ麺と、わかりやすい辛さと甘さがあるスープの相性はよいです。ポジティブな意味での「ジャンクフード感」があります。ついつい食べたくなる感じというか。
あさり調味料などが入っていることもあって、たしかに海鮮系のダシの味わいも感じられますね。かなり、海鮮コチュジャンチゲ(風)の味になっています。
タコ入りボールもおもしろい。不思議な食感で、プリプリしていながら確かにタコの味があり、辛さの中でもしっかり主張があります。ニラ、キャベツ、たまごもそれなりに入っているので、具がさみしいという感じもない。
チープといえば、チープなんですよ。本格的なコチュジャンチゲかといわれれば、そうではないかもしれない。だけれども、さすがは日清食品というか、味の押し出し、全体的なテイストのまとめ方がしっかりしているんですよね。
辛さはちゃんとあるけれども、辛いだけでシャバシャバしているスープではない。コチュジャンっぽい甘さとコクもあるし、タコ入りボールを始めとした具材に個性もある。
筆者は、初めて食べたときに「これはすごい!」とまでは思わなかったものの、なんだかんだ3〜4日に1杯ぐらいのペースで食べています。
その理由は……どこか「おやつ」っぽいというか、夜食にあると嬉しいというか。ついついスナック感覚で食べたくなる、わかりやすい味のカップ麺なんですよね。何かと本格志向なカップ麺が多い中で、逆にめずらしい印象さえ抱きます。
もっとも、コチュジャン由来の「甘さ」がわりとあるので、そこで好みが分かれるかもしれません。個性がしっかりしているため、ハマる人にはけっこうハマりますが、「うーん?」と感じる人もいるでしょう。
「最高傑作!」「ヤバい!」「秒で消える!」みたいなSNSでイヤになるほど見かける文言を使いたくなるものではないのですが、捨てがたい魅力があって、妙にリピートしてしまう。そんな1杯でした。
モーダル小嶋
1986年生まれ。「アスキーグルメ」担当だが、それ以外も担当することがそれなりにある。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。よろしくお願い申し上げます。
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