【レポート①】行列店「ほたて日和」店主が語る! ラーメン業界を生き抜くブランド創出と生存戦略とは
2026年04月10日 18時00分更新
フードデリバリー・テイクアウトアプリ「menu」と「ラーメンWalker」がタッグを組み、デリバリーに最適化した名店のラーメンを届ける「デリ麺プロジェクト」。始動1周年を記念し、3月25日~30日の6日間、「ラーメンWalkerキッチン」(埼玉県・東所沢)にてイベントを開催した。
29日までは「デリ麺」加盟店による日替わり出店が行われ、最終日には、「ラーメンWalkerグランプリ2024・2025」で金賞に輝いた「ほたて日和」店主・及川淳一さんが登壇する特別セミナーを開催。「超人気店が実践する、ラーメン店のブランド創出と生存戦略」をテーマに、連日早朝には予約の記帳が埋まる東京屈指の名店「ほたて日和」のブランド構築術や生存戦略を起点に、予約システムの活用、フードデリバリーの可能性など、ラーメン業界の未来について熱いセッションが繰り広げられた。
原材料高騰や人手不足など苦戦を強いられるラーメン業界に風穴を開ける一手に、フードデリバリーはなり得るのだろうか。
おいしいのは当たり前、その先にある“エンタメ性”や“言語化”が明暗を分ける
セミナー前半では、及川店主とラーメンWalkerプロデューサー・松本桂汰が登壇し、ラーメン店のブランド論について語った。及川店主は、現代のラーメン業界において「おいしいのは当たり前」であると語る。
及川店主「作り方や食材などの情報があふれ返る現代において、今のラーメン店が作る一杯はどこもおいしいのが当然。だからこそ味の差だけで勝負するのではなく、その先のエンターテインメント性を付加できるかが重要になってきます。お客さんが想像できる範囲の中で奇をてらうことを心掛けていますね」
実際に店舗では、単に卓上に調味料を置くのではなく、利用客が自身の好きな量を使えるよう味変アイテムを一人一人のトレイに配置し、「自分だけの特別感」を演出する工夫を凝らしている。これらは、顧客が想像できる範囲内で適度な驚きを与えるという、及川店主の緻密な計算に基づいている。
及川店主は20代の時に日本トップクラスのバーテンダーとして活躍した異色の経歴を持つ。バーではお酒一杯に高い付加価値を付けるため、氷のサイズや注ぐタイミングなどのこだわりを言語化して分かりやすく顧客に伝える必要があったという。
及川店主「食材のこだわりや食べ方を分かりやすく言語化し、お客さんに落とし込んでいくことが、ブランド構築に繋がる戦略の一つです。おいしいスープを作ることと同じくらい、その価値を論理的に説明することが重要ですね」
また、味はもちろん、及川さんの人柄に惚れ込み、熊本でのフェスなどに遠征し店を手伝うような熱狂的なファン(常連客)との関係性について問われると…。
及川店主「ありがたい、の一言ですね。よく『ファミリー』っていう言葉でまとめていただくんですけど、そこに対して自分も返していかなければいけないというプレッシャーをかけてもらえて、だからこそ頑張れるっていうのがあって。でも、初めて来るお客さんも同じです。1回目でも2回目でも来てくれたことに感謝。毎日神棚に祈りながらその日のお客さんとのやり取りを振り返るんです。すべてのお客さんに『いい接客ができた!』と気持ちよく言い切れる営業をしたいなと毎日思っています」
業界の課題を打開しうる、デリバリーラーメンの可能性
後半には、menuの取締役・山敷真さん、ラーメンWalkerトップ百麺人でもあるお笑いトリオ「や団」の中嶋享さんも加わり、デリバリーラーメンの可能性などを中心にディスカッションが行われた。
山敷さん「去年4月からラーメンに注力させていただいて、ラーメン店主の皆さまとラーメンWalkerさんにご協力いただきながら、『ラーメンを食べるならmenu』と言っていただけるように日々邁進中です。今日はどうぞよろしくお願いします」
中嶋さん「本当においしいラーメン屋さんが多くて、でもおいしくても潰れちゃうお店も多いです。お笑い芸人も本当に面白い人が多くて、でも面白くても売れない人も多い。そういう共通点があるなと思います。前半で“エンタメ性”という話もありましたが、今日は及川さんのお話を聞いて、僕らも売れるようにしっかりと勉強したいと思います(笑)。お願いします」
フードデリバリー市場は外資系企業が大半を占める中、menuは唯一の“純国産”。日本の企業ならではの、小回りの利くスタイルで加盟店舗との連携を密にとりながら、質の良いサービスを提供している。2025年4月より、ラーメンWalkerとの共同企画として、menuアプリ内にラーメンブランド「デリ麺」を立ち上げ、名店の味を家でもおいしく食べられる専用麺の開発に力を入れている。
「ほたて日和」のデリバリー導入はまだだが、及川さんはポテンシャルを感じているという。
及川店主「お店が狭くてなかなか来店できないという方にも食べてもらいたいけど、きちんと並んで食べてくださるお客さんがいらっしゃるので、両者に納得していただけるシステムにすることが前提として大事。そうするとやはりコスト面が上がってしまいますが、だからといって質を落とすことはしたくない。そこがクリアにできれば、すごく将来性がある分野だと思っています。そのために、俯瞰で捉えてどうやっていくかという組み立てをして、手軽さとプレミアムさの間のところをうまく取れればいいのかなと考えています」
山敷さん「ラーメンはデリバリーとの相性が難しいと言われていますが、本日お越しいただいた及川さんをはじめ、各店の店主さんと共同で『どのような形でデリバリーラーメンを発展させていくか』を議論しながら、『デリ麺』という新たな文化を創造するために日々模索しています。料理自体もそうですし、アプリの機能面や容器や販促物を含めたトータル面で発展途上ですが、『30分後でもおいしく』『自宅でできたての味』にこだわり、新たなラーメン体験を提供していきたいです」
松本「昨今、ラーメン屋さんは20食多く出るだけで、夜営業はしなくてもいいかもしれないというような話をよく聞きます。例えば、昼間にデリバリーで20食多く販売して夜営業はしないとか、定休日にデリバリー限定50食で店主さんがワンオペで営業すれば人件費を抑えて売上を伸ばすことができるとか。今、ラーメン界が直面している、食材費の高騰や人手不足といった課題も解決できるんじゃないかなと思うんです」
山敷さん「われわれも日本発のデリバリーとして、ラーメンにはすごい可能性があると思っています。アプリの中ですと、ハンバーガー、牛丼に次ぐ、3位がラーメンということで、必ず勝ち筋になると信じています」
セミナーの最後には、及川店主の粋なはからいにより参加者全員に「ほたて日和」女将プレゼンツの特別メニュー「春彩(はるいろ)中華そば」と、及川店主が自らシェイカーを振り、ノンアルコールカクテル「桜モヒートのレモネード」が振る舞われた。こういった「人を喜ばせたい」という及川店主と女将さんの人柄が多くの人を惹きつけ、繁盛店たらしめる理由なのだろう。
会場には、menuが力を入れて開発したデリバリーに適した容器やおいしい食べ方が書いてあるランチョンマットなどの販促物が展示され、参加者たちも興味津々な様子で手に取っていた。
menuが力を入れている、ラーメンをおいしく届けるための販促物や容器を展示。おいしい食べ方の説明付きランチョンマットや店主の似顔絵イラストが描かれたステッカーシールなどユーザーを喜ばせる工夫が凝らされている
始動から1年、ラーメン店主とmenuの追求によって、「デリ麺」という新たな文化が根付く未来に一段と期待が膨らむ夜となった。
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