東京から福岡県大川市に移住して4年半が経ち、すっかり豚骨ラーメン中毒の完山京洪です。
今回、足を運んだお店は50年以上も営業を続ける「来々軒」。大川市の中でも老舗中の老舗です。1年くらい前から暖簾が綺麗になっています。その前のものはボロボロに引き裂かれた年季の入ったもので、ホラー映画のような雰囲気を醸し出していました。齢80を超えるお父さん・お母さん(僕はそう呼ぶ)のご夫婦お二人だけでずっと続けられています。お二人がお元気なことを祈りつつ引き戸を開け中に。豚骨の臭いがグッと鼻に来ます。
13時過ぎに入店。客は他に一人だけ。カウンターに座り、ラーメンを注文。
一体、今の時代に450円でラーメン(並)を出すお店が日本全国でどれくらい残っているだろう。チャンポンですら550円という…。焼きそばや焼きめしもとても美味しいのでオススメです。ラーメンと焼き飯でも950円! 流石にお客さんからも「もういい加減値上げしたら」と良く言われるそうですが、「うちは二人だけだからいいんだよ」とお父さんは笑います。
(田舎のお店によくあることですが、もう跡継ぎもおらず自分が動けなくなったら辞めるという大将は、顔写真を撮られることが苦手)
お二人で仲良くおにぎりを一つずつ頬張ってました。あんまり素敵だったので隠し撮り(ごめんなさい)ランチタイムが終わったら、いつもお二人でこうやって一緒にラーメン食べるんですよねえ(素敵)。
水は基本、セルフサービスですが、寒い冬の時期は温かいお茶を用意してくれています。でもコップは水用と同じなので、熱すぎて持てないので(笑)、お水を少し足します。
麺を投入の瞬間。顔が隠れるくらいの水蒸気。たっぷりのお湯で茹でるから美味しい。壁は年季が入りすぎていてコメントしづらい(笑)。
お父さんが麺を投入したので、「お」っと思いましたが、やっぱり調理担当はお母さんで変わらず。作るのはお母さんで、運ぶのはお父さんの役割。昔、大雪の日に靴下をストーブで乾かしていたお父さんに、その手でラーメンを運んでもらったのが懐かしい…。
卓上の一式。紅生姜の瓶の上に置いている箸に時代を感じる。
3分ほどでラーメン到着。チャーシューが4枚。少し泡立っているのもこのお店の特徴の一つ。麺はこの辺りの定番中太ストレート。佐賀・久留米と同じく柔麺が当然。
麺を持ち上げると湯気と豚骨の香りが一気に顔面に届く。入店した時の臭いではなく、唾液が出てしまう類の匂い。一気に麺を啜ると麺に絡んだ豚骨醤油スープが口に広がり、麺を噛めば噛むほど小麦の香りと塩気が舌を満たしていきます。美味い。熱々のスープをレンゲで飲む。醤油が効いてます。大川市は隣市の久留米ラーメンの系列なので、塩気より醤油が強いのは少し珍しい部類。チャーシューは昔ながらのシンプルで脂身の少ない豚バラ。薄味のチャーシューがスープを吸って生き返っていくよう。
ぜひここはチャーシューを食してほしい。チャーシューの旨味が変わって楽しめます。替え玉もオススメ。スープが冬の時期でも食べ終わるまで冷めなくて素晴らしい。後半に紅生姜を大量投入してさらに体が温まりました。カロリーは紅生姜が抑えてくれる。御年83歳のお父さんは今でも近所に限り、自転車で配達してるという!
お父さんの趣味の釣り。大きい魚がほとんど海にいないと嘆いてました。今でも呼子まで釣りに行くそうです(車で約2時間もかかる)。
昔使っていた電話。とても綺麗に手入れされています。
先代が久留米で屋台を始め、それから地元の大川市に戻ってこの場所でお店を始められたそうです。家具の街、大川市が婚礼家具で栄えていた頃は、木工所が近所にも沢山あって、毎日お昼時には客が並んでいて30分待ちはザラ、配達も忙しくてその当時は人を雇っていたそう。今はそこまでの忙しさはなく、夫婦二人で続けられるとのことでした。
定休日は木曜日だけ。営業時間は11時頃から夜の21時まで。あと何年、いやあと何回この美味しいラーメンを食べれるのだろうと感謝しながら、450円を支払い、お礼を伝えてお店を後にしました。(完山京洪)
「来々軒」
福岡県大川市大字榎津71−7
0944-86-3190
11時頃〜21時頃
木曜定休日
完山京洪 Keihiro Kanyama (映画監督)
映画制作をきっかけに東京から福岡県大川市に移住して4年半。完全にとんこつラーメンの中毒に。映画の他にゲストハウスLittleOkawoodを運営。
本人Twitter @Keihiro
ラーメン食べ歩きインスタ @ramencrazyfukuoka
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