【ピラティスインストラクターの健康的ラーメンライフ♪】第1回 つけめん さなだ(東京・北千住)

2020年03月02日 12時00分更新

 ライター、インストラクターと二足の草鞋を履く私は、レッスンで汗を流し、その出先でラーメンを食べる。取材でラーメン店を訪れることもあり、けっこう残さず食べる。

 SNSに頻繁にアップするラーメン写真を見た生徒さんからよく驚かれる。

 「どうして、そんなにラーメン食べてその体型なの!?」

 その答えは、日々の運動プラス、それだけ食べても体型をキープしつつ健康でいられるラーメンを選んでいるから…かな(^^;

ピラティスは身体のゆがみや偏りなど姿勢の矯正や、深層の筋肉を意識して動かすことで安定した体幹をつくるエクササイズ。多くのトップアスリートがパフォーマンスの向上やケガの予防としてピラティスに取り組んでいる

 なかでも「つけめん さなだ」は、足繁く通う店の筆頭に上がる。

 瀨戸口店主は、名店「六厘舎」で初代店長を務め、2014年に三郷で独立開業。そして2019年10月、北千住に移転。

 三郷時代からのファンの一人として、瀨戸口店主に北千住移転で大好きなつけめんが、お店がどう変わったのか、気になることを伺った。

 「三郷は土地柄もあるし、自分のホームに帰ってきた感じで、ユニフォームはTシャツで飾らず、アットホームにやってました。それを北千住店では、外観から内装まで“大正ロマン風”にガラッと変えましたね。移転で店をどうしようかずっと考えてて、四国の道後温泉に行ったとき、すごく雰囲気がよくて、新店はこういう感じにしようと決めたんです。

 女将も女性スタッフも和装で、昔懐かしい旅館のような空間で食べるラーメン。ラーメン店だけど、居心地の良さを大事にしてます」。

北千住駅から徒歩7分ほど

店主・瀨戸口亮さんと女将・瀨戸口まやさん
店はレトロな雰囲気に、スタッフのユニフォームも一新。「旅館の接客を目指すけど、あくまでつけめんが主役と念頭において、お客様に気持ちよく食べてもらえるような接客を心がけています」と女将

 -接客も含めて居心地の良さは、三郷時代からですよね。女性一人でも入りやすくて。

 「三郷の頃から女性がメインじゃなきゃいけないと思ってました。女性は確かに来店頻度は多くないし、食べる時間も遅いし、客単価としては少な目だけど、長く通ってくれるし、人を連れてきてくれるし、しっかりと裾野を広げてくれる。女性客に受け入れられる店が長く続く店だったり、成功の秘訣だと思ってます。

 だから特に女性には気を使います。女性一人の場合、男性客の間に絶対入れないとか、なるべく端席にするとか。あと女性が店内にいるだけで、次の女性一人のお客様も入りやすいですしね」

九谷焼の香箱の中に女性客向けの髪留め

同じく九谷焼で揃えた皿は「チャーシュー握り」用

-麺量が250gから200gと少なくなったのは、女性客への配慮だったり?

 「そう思うでしょ? それが女性の大盛、特盛って多いの(笑)。体のことを気にしてスープ割りを飲みたいけど飲めないっていう人はいるんですけど。まず麺を残す人はいないんで、そこは本当に嬉しいですね。

 あとトッピングをつけたい、替えつけも食べたいってときに、200gのほうがちょうどいいんですよ。チャーシュー増しもできるし、いろいろカスタマイズができるほうがいいと思って」。

-私も三郷時代、常に麺少なめでした(笑)。浅草開化楼の麺は美味しいからこそ、替えつけも食べたくて。でも、スープ割りを我慢する人がいるのは意外です。

浅草開化楼の麺箱

 「つけ汁は、残すともったいないほど食材のグレードが上がってます。大山鶏に変えたことが目立ってるけど、他の素材も調味料もすべて変えてるんですよ。値段も800円から900円に上がった分、もっと美味しいものを出さなきゃと思って。安価なうま味調味料に頼るのは簡単ですけどね。でも、小さな子どもやじいちゃん、ばあちゃんも、週2で味噌汁のように安心して食べられて、ちゃんと素材がわかる商品を作っていきたいんです」

スープを調整する瀨戸口店主

「大山鶏のつけめん」
鳥取県の大山鶏ガラをメインに、豚骨・豚ひき肉、宗田鰹に伊吹煮干などを合わせたつけ汁。浅草開化楼のさなだ専用特注麺に鶏節を振りかけて

 

 「さらにこだわったのは、チャーシュー。低温調理だけどレア過ぎないように作りたくて。三郷時代より圧倒的に素材もいいし、美味しくなってます」。

「三種のチャーシュー」
ニンニクベースの甘めのタレに漬け込んだ豚肩ロース、大山鶏ムネ肉、吊るし焼きバラの3種。単品で頼むとバラは温めて提供


-新メニューの「チャーシュー握り」もすごく美味しい! 程よい量なのもいいですね。

 「三郷と同じままじゃなく、新店でも何か名物を作りたかったから。ラーメン屋でご飯ものっていうとチャーシュー丼が多いけど、それじゃ面白くない。握りならさくっと食べられていいかなと、“チャーシュー握り”っていう名前だけ決めて、そこから商品開発してます。

 肉も違う部位で2種類、山椒は京都に旅行に行ったときに見つけた極上のものを使ってます。お米も山形県の美味しいミルキークイーンに変えたり、他にもいろんなところにアンテナを張って、いいと思ったものをすぐに取り寄せて使ってます」

「チャーシュー握り」
炙りバラ(左)と漬けの豚肩ロースの2種。ぢんとらの極上山椒を振りかけ、小豆島で
炊いたうまいでしょうがを添えて

 「メンマも高価だけど太くて質の良いものにして、玉子も近くの玉子屋さんから取るようになっていい玉子に変わりましたね。香味油も変えたから替えつけも味が違うし、実は見えないところで全部変えてるんですよ。

 もともと三郷の時から改良したい点があって、でも以前の味のファンもいるし、その方達を納得させなきゃいけない。『前のほうが良かった』じゃ、ダメなんですよ。だから、三郷時代のお客様が『前よりいい』って言ってくれるのは、正直嬉しいですね」

「替えつけ」
温かい「替えあつ」もあり、つけめん類オーダーで注文可


-美味しくなったのは嬉しいですが、その分、並びも待ち時間も増えたのでは…

 「前はカウンター6席とテーブル4人掛け×2、今はカウンター12席。席数だけなら以前より少ないけど、今のカウンターだけのほうが一人当たりの滞在時間は短くなってます。

 回転率もめちゃくちゃ上げましたよ! 前は注文が入ってから麺を茹でてたのを、今は見込みで麺を茹でるんで、とにかく来た方にすぐ出せます。ラーメンイベントのようなレベルでやってるんで、実は行列がある時のほうが待たない。提供できる杯数もすごく増えました」。

店前の端まで並んでも10~20分程度で入店できるほど回転率アップ。道路を挟んで反対側に並ぶほど待つことはほとんどないそう

-前より賑わってて、儲かってるんじゃないですか(笑)。

 「いや、全然。でも、お金はあとからついてくると思ってます。正直、個人店で1店舗だと、材料費や人件費などを差し引いていくと手元に全然残らないんですよ。移転ですごく投資してますしね。

 だから2店舗目3店舗目でちゃんと利益になる店を作らないと会社として成り立たない。従業員を養っていくとか、彼らを幸せにするとか、そういうところを考えるとね。

 でも無駄に何店舗も出したくない。自分が見られる範囲で、利益も出して、従業員にもその分しっかり還元していくことができる形を作りたい。そのために、三郷で『さなだ』という店をブランディングしてきたんです。これからは北千住を本店として、しっかり確立していきたいですね」

-次は世界制覇?

 「いずれは(笑)。国内も全国の主要な地や、海外でもつけめんをもっと知ってもらいたい。こんなにラーメンが進化してるのにつけめんが進化しない理由って、作り手の問題もあるんじゃないかな。つけめん店で意識が高い人が少ないって感じますね。

 俺は六厘舎でつけめんと出会って、つけめんの地位向上のためにがんばっていきたいと思ってきました。美味しいつけめんがあるんだよって、みんなに食べてもらいたい、みんなに知ってもらいたいという使命のもとやっています!」

つけめん さなだ 千住本店

東京都足立区千住3-6-1
11:00~15:00 18:00~22:00(各L.O.15分前)
日曜夜・月曜休み

 

大熊美智代 Michiyo Okuma

ラーメン大好きなフリーランス編集者・ライター。ピラティスやヨガのインストラクター、ヤムナ認定プラクティショナー、パーソナルトレーナーとして指導も行なっており、美容と健康を心がけながらラーメンを食べ歩く日々。ラーメンの他には、かき氷、太巻き祭りずし、猫が好き。

本人Twitter @kuma_48_kuma
Instagram @kuma_48anna
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