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看板は和菓子店、店内は超オシャレ!? The Noodles & Saloon Kiriya(千葉県・流山市)【ピラティスインストラクターの健康的ラーメンライフ♪】第2回

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 「The Noodles & Saloon Kiriya」は、2016年12月8日創業。オープン初日からSNSで話題となり、外待ち1時間以上とか、材料切れ早仕舞いとか、行列必至の人気店だ。 最寄り駅は、千葉の東武野田線初石駅という、都内から行く人にはあまり馴染みのない場所。私も初めて来た時、のどかな駅前や店回りの住宅地と雑木林に、故郷の北海道よりローカルだなあと思った。

 ここは、店主・青木成憲氏の地元。もとは自動車板金塗装工場の二代目だった。趣味はラーメンの食べ歩き。いつしか自作ラーメンにハマり、ラーメン屋の開業を目指していた。

「最初は、金土日だけの営業で板金塗装工場と兼業だったんです。本当はケータリングカーで営業しようと思ってて、自分で車も作ってたんだよね。本職だからお手の物でさ。あと少しで完成ってところで、ここが閉店したのを知って借りることにしたんです」

―もとは和菓子屋ですよね。看板がそのままだから「和菓子屋さん? ラーメン屋さん?」って、それも話題になって。

「子供の頃から卒業式には『和菓子おおつき』さんの紅白饅頭が出たり、自分でもよく買いに来た店だから、看板を残したかったんだよね。あとは、店の作りを女性も心地よく食べられるようにおしゃれでキレイにリフォームして、女性スタッフがいると入りやすいから、妻も巻き込んで(笑)」

店名「Kiriya」は整備工場のあった桐ヶ谷の地名と、高貴な桐にあやかり上質な料理を提供できるように命名

カフェのような白を基調とした店内

「上野の朝飲み、朝ラーメンの雰囲気が好きで、ビールやハイボールを置いてラーメンを食べる前に軽く一杯飲めるようにしたんだけど、ここまで混むと思わなかった(笑)」

アルコール類350円~

―自作から始まったということは、どこかでラーメン修業はされてないんですか?

「本当に独学。永福町大勝軒系と支那そばや系が好きで、いろいろ食べ歩いているうちに理想のラーメンを追い求めていって。あとはインターネットっすね(笑)。製麺やスープ作りも、ネットで調べたことを何度もやって、失敗しての繰り返しで。最初にできたのが『らぁ麺』です。スープは煮干、鯖節、豚骨など、大好きな永福町系を自分なりにアレンジしてあります」
 

「らぁ麺」。永福町系インスパイアだけど、無化調仕上げ

―「Kiri_soba」は、1周年の時に通常メニューになったんですよね。私も、その少し前からKiriyaさんに来始めて、1周年の日に「Kiri_soba」の潮をいただいてるんですよ。

「1周年で食べたんですね! そう、最初は完成してなかったんだけど、一番作りたかったのは『Kiri_soba』だったの。限定で出しながら1周年でやっと安定して出せるようになったんだよね。

 これ実は、九十九里にあった『Bee Hive』や閉店した福生『EL DORADO』とか、その辺を食べて『こういうラーメンが作りたいな』って思ってできたものです。今のスープは丸鶏に鶏ガラ、豚骨、本鰹枯節、鯖節とか、飲み進めると海老の味があとから出てくるでしょ。潮にはカエシにも海老が入っているからとくにわかるはず」
 

一番人気の「Kiri_soba(潮)」。自ら賄いで毎日食べるほどの自信作

醤油のスープは潮と一緒で、タレに流山本みりんを使ったまろやかな味わい

―「Kiri_soba」の話、止まらないですね(笑)。思い入れの深さがわかります。

「潮はスープと塩ダレを常にいじってて、少しずつ変わってるんですよ。昨年から塩ダレにメインで使ってるゲランドの塩は、『小倉ベーカリー』っていうパン屋をやってる友達に教えてもらったの。近所だから遊びに行って、塩を舐めさせてもらったら『何この美味い塩!』って。ここのパンが大好きで、うちにはそのパンを使ったサイドメニューもあるし、『小倉ベーカリー』ではKiriya麺とのコラボパンを販売してるの。俺の麺を使ってるから超美味しいよ(笑)」
 

「小倉ベーカリー」のKiriya麺を使った「ホットkiri_sandナポリタン」

「ままさんの濃厚杏仁」は、友人の「麺屋 睡蓮」提供レシピを自分好みにアレンジしたデザート

―確かにKiriyaさんの自家製麺は美味しい!

「自作していた頃から、麺には自信があったのよ。開店の1年前に古い製麺機を買って、それで麺を打っていたら美味い太麺ができちゃって、これはイケると思ったね。 ただ、すごい年代物の製麺機なんで、まず掃除から始まるんですよ。鉄が減っちゃって、粉が入り込むから。掃除が済んだら、毎日10kg、多い日はその倍くらい麺を打ちます。小麦粉は細麺、中細麺、太麺と麺によって変えていて、今から打つKiri_soba用の細麺は北海道のゆめちからを使った低加水麺。この細麺に一番力を入れてるんだけど、みんな中細麺のほうが美味いって言うんだよねえ(笑)」

低加水麺は手ごねでまとまらないので、ある程度めん塊になったら細かい粉を挟み込み圧延を繰り返す

夫婦二人三脚で麺づくり。麺は袋詰めして冷蔵庫で寝かせる

―2018年9月から平日営業が始まったことで、すごく来やすくなりました。

「その年の3月で車屋を辞めて、火水の営業に向けてどうしようか悩んだんだよね。金土日の『らぁ麺』は魚介に豚骨も入っているでしょ。豚骨は最初、拳骨を使ってたんだけど、炊くのに時間かかるんですよ。背ガラだと半分ぐらいの時間で済むから、今は背ガラを使ってます。それでも『Kiri_soba』は、仕込みから入れると16時間かかる。だから火水は純煮干。煮干だけなら3~4時間でできるんで」

―体力的にきついですよね。私は煮干だけのほうが好きですけど(笑)。もう一つ、ハマってるのは「納豆らぁ麺」!

「納豆はあまり出ないんですよ。都内では『満来』『ほりうち』の納豆らーめんが有名だけど、この辺では馴染みがないから。でも、ハマる人は納豆ばかりですね。とくに夏限定の納豆つけ麺『nazaru』は、すごく人気だった」

―そう、限定は麺好きの心をくすぐる絶妙なところをついてきて、出るたびに食べたくなります! 昨年の「浅利のかけ潮soba」は神がかった美味しさで、麺友でも一番に上げる人が多い。ラーメンフリーク時代の知識や経験が、実践のラーメン店に活かされて、Kiriyaさん独自のラーメンができてるんですかね。
 

「納豆らぁ麺」と人気の限定「nazaru」「浅利のかけ潮soba」「冷やし鶏そばrina」

「今でも時間を見つけて食べ歩きしてますよ。最近もいい新店があって、そのラーメン食べたらすごく美味しくて、悔しくなっちゃって。うちのスープを見直したの(笑)。1か月かかったけど、さらに美味しくなって、嬉しかったなあ。 とにかく作んなきゃ始まんないと思って、好きで始めたラーメン屋です。上手くできたら嬉しいし、お客さんが美味しいって言ってくれれば嬉しいし、ほんとやりがいがあります。もっといろんなラーメンを作って、死ぬまでラーメン屋でいたいね」

The Noodles & Saloon Kiriya
千葉県流山市西初石4-475-1
火水金 11:00~15:00
土日 9:00~15:00
月・木曜定休
※臨時休業・材料切れ終了・限定情報はTwitter参照

大熊美智代 Michiyo Okuma

ラーメン大好きなフリーランス編集者・ライター。ピラティスやヨガのインストラクター、ヤムナ認定プラクティショナー、パーソナルトレーナーとして指導も行なっており、美容と健康を心がけながらラーメンを食べ歩く日々。ラーメンの他には、かき氷、太巻き祭りずし、猫が好き。

本人Twitter @kuma_48_kuma
Instagram @kuma_48anna
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