武蔵野・多摩エリアの家系ラーメンのパイオニア「吉祥寺 武蔵家」(東京・吉祥寺)を30枚以上の写真で解説し尽くします【ZATSUのオスス麺 in 武蔵野・多摩】第22回

2020年08月10日 12時00分更新

吉祥寺駅南口から徒歩4分、重厚な看板と提灯が目印の「吉祥寺 武蔵家」

 今回紹介するのは、武蔵野・多摩地区における“家系ラーメン”パイオニア的存在の「吉祥寺 武蔵家」。

 “家系ラーメン”とは、濃厚な豚骨醤油スープに鶏油を浮かべたガツンとしたインパクトのあるラーメンで、横浜にある「吉村家」を源流に沢山のお店が派生し、横浜のご当地ラーメンの一つとなり、現在では全国各地にその系列店や亜流店があります。

 今でこそ当たり前のように1ジャンルとして“家系ラーメン”と呼ばれ、色々な所で食べられるようになりましたが、20年前はまだまだ認知度は低く、多摩地区で食べられるお店は数える程しかありませんでした。

 そんな中で、一際強い存在感を放っていたのが吉祥寺の「武蔵家」。 勘違いされている方も意外と多いのですが、新中野に本店を置いて各地に店舗展開している「武蔵家」とは別物です。同じ“家系ラーメン”で同じ店名になったのは、単に同時期にオープンしてたまたま被ってしまっただけで、使っている豚骨の部位や作り方なども全く違うとの事。

1999年5月にオープン、吉祥寺駅近くのガード下にあった頃の店舗

オープン当時のラーメン

 1999年に吉祥寺駅近くのガード下にオープンし、瞬く間に行列の出来る人気店となった武蔵家。厨房を囲むカウンター席を更に取り囲むように壁際に並ぶお客さんが印象的でした。

 ラーメンは「味の濃さ」「油の量」「麺の硬さ」が選べるシステムとなっていて、それらを待っているお客さんに聞き、全員分を暗唱するというパフォーマンス的なものが名物となっていてこれが圧巻でした! 当時ほどのインパクトはありませんが、現在もその暗唱は健在です。

ラーメン以外にも様々なメニューを提供していた「武蔵家 別館」

高円寺駅近くの環七沿いにあった「吉祥寺 武蔵家3 高円寺店」

 ガード下の店舗の横には定食屋的な「別館」というものもあり、そこの「満トロ油そば」という超熱々の陶板に盛り付けられた油そばが絶品で、後に「吉祥寺 武蔵家3 高円寺店」でも提供されました。

ピリ辛で熱々濃厚な「満州トロトロ担々油そば」略して「満トロ油そば」

 「満トロ油そば」を提供していた「別館」「3」はともに閉店してしまいましたが、現在は三鷹にある系列店「キッチン男の晩ごはん 三鷹店」で食べる事が出来ます。

ガッツリ系の丼物や定食が大人気!「キッチン男の晩ごはん 三鷹店」

 2009年には、多摩地区のラーメンを盛り上げよう! と「鏡花」「凪」「いつ樹」「きら星」「丸め」「池谷精肉店」「◯麺堂」「旅人の木」「利休」「楽々」「新源地」など多摩地区を代表する名店がコラボし、武蔵家のご主人は組長として豪華な面々を引っ張りました。

2009年、初の多摩組イベントで提供されたコラボ麺「TOKYO-X SPラーメン」

錚々たる店主たちが出迎えた2010年の多摩組イベント「たままつり」

たままつりで提供されたコラボ麺「濃厚背脂豚骨味噌ラーメン」

「東京ラーメンショー2010」

「東京ラーメンショー2011」

「東京ラーメンショー2012」

ラーメンショーでは「牛肉ブッコミそば」など、毎回新たなSP麺を提供

 2009年5月に開催した初の多摩組イベントでは最大300人の行列が出来、その後もスタンプラリーやチャリティーイベント、東京ラーメンショーへの出店など数多くのイベントで楽しませてくれました!

2009年9月、立川に誕生したラーメン集合施設「らーめん たま館」に出店

 多摩組が盛り上がった同年の2009年、立川駅南口に新たなラーメン集合施設「らーめん たま館」がオープンし、その第一期店として「武蔵家 立川店」を出店。「井の庄」「青樹」「にぼぶら鏡花」という名店とともに、立川のラーメン界を活性化させてくれました。

2010年8月、ネクストブランド店「超どか盛りらーめん 荻窪 四麺燈」をオープン

迫力の一杯「野菜ドカ(ニンニク少なめ・他全マシ)」

 2010年には“脱・家系”をテーマに、ガッツリ系の「超どか盛りらーめん 荻窪 四麺燈」をオープン! かなりの人気を誇りましたが、こちらは惜しまれながらも2016年に閉店されました。

2012年6月、現在の地に移転

 2012年に吉祥寺駅近くのガード下から現在の地である「丸井 吉祥寺店」の裏手に移転し、2016年には中国上海にも進出!

2014年3月、「つけめん ムサシヤ」をオープン

濃厚豚骨魚介スープとプリプリ食感麺で人気に

 現在は閉店してしまいましたが、2014年にはつけ麺専門店の「つけめん ムサシヤ」を吉祥寺でオープンさせ、オリジナリティのあるつけ麺を提供していました。

かっぱ寿司で提供された、武蔵家監修の「家系ラーメン」

通販も大好評! 店内クオリティのラーメンを自宅で楽しめるように

 2019年には回転寿司チェーン店「かっぱ寿司」とコラボし、かっぱ寿司史上最多杯数となる120万食を記録。2020年にはカップラーメン「家系MAX」が発売、他にも全国通販やお土産麺も展開し、お店の味と変わらないラーメンが自宅でも食べられるようになりました。
 

 さてさて、長々と歴史を書き綴ってしまいましたが、肝心なラーメンをちゃんと紹介していませんでしたので、改めて紹介を。

トッピング満載のフラッグシップメニュー「吉祥寺盛りラーメン」

 一番の人気メニューは、「武蔵家のイイトコゼンブのせました」という「吉祥寺盛りラーメン」。

 吉祥寺の老舗焼き鳥店「いせや」から仕入れているという国産の豚骨や鶏ガラを150㎏以上炊き、10年以上継ぎ足した自家製醤油ダレを合わせたという豚骨スープは、豚骨の風味を心地よく楽しめる濃厚なものながらも意外とクセを感じさせず、コクのある味を楽しめます。

 お店に行くと、多くのお客さんが「こめ(濃いめ)」を頼んでガツンとしたパンチのある味を楽しんでいます。この濃いめなスープとライスの相性が抜群で、ライスを一緒に注文する人も多いです。

 「吉祥寺盛りラーメン」のトッピングは、分厚くて大きなチャーシュー3枚、味玉、白髪ネギ、ほうれん草など、いわゆる「全部のせ」的な豪華なもの! チャーシューやほうれん草などももちろん美味しいですが、特筆すべきは味玉! この味玉、魚介の風味が漂う和風の出汁の味が染み込んでいます! “家系ラーメン”という荒々しいタイプでありながら、さり気なく手間をかけて他とは違った味玉に仕上げているのは凄いです。

武蔵家流塩味麺「あご塩ラーメン」

 「あご塩」というと“あっさり”をイメージしますが実際は大きく違っていて、主軸となるのは武蔵家らしい濃厚な豚骨。そこにスッキリした風味高いアゴ(トビウオ)出汁が合わさったシャープな塩味で、良い意味で期待を裏切ってくれる絶妙な味わいの一杯!

ラーメンに添えたい大人気の一皿「キャベチャー」

 武蔵家で欠かせないサイドメニューが「キャベチャー」。

 これは生キャベツと刻みチャーシューを醤油ダレで和えたもので、キャベツのパリパリ食感や甘味を存分に楽しめるもの。ビールを飲む人には良いおつまみになりますし、ラーメンのお供としても相性バッチリ!

ライスバリエーションその1「キャベチャーごはん」

ライスバリエーションその2「スープ海苔ごはん」

 100円で食べ放題の「ライス」は、キャベチャーをのせてスープを少しかけて「キャベチャーごはん」にしたり、スープをたっぷり染み込ませた海苔でライスを巻いて食べたり、ライスとスープの相性は抜群なので是非セットで頼んでもらいたいです。

2011年5月に頂いた限定メニュー「家系ブラック」

2017年7月に頂いた限定メニュー「背脂まぜそば」

 「ラーメン」と「あご塩ラーメン」というレギュラーメニューの2本軸がしっかりしている中、定期的に限定メニューも登場しています。 過去には黒マー油を使った真っ黒なラーメン「家系ブラック」や、たっぷりの背脂に魚粉を合わせた「背脂まぜそば」などの面白いラーメンも提供していました。
 

 多摩地区における“家系ラーメン”のパイオニアである渾身の豚骨醤油ラーメン、その濃厚なラーメンを応用して作り出された他には無い味わいの塩ラーメン、どちらも一度は食べてもらい逸品であり、是非ライスとセットで楽しんでもらいたいオススメのお店です!

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。詳しくはお店の公式ツイッターをご確認ください。

ZATSU

2006年に開設したブログ「ZATSUのラーメン」の管理人。武蔵野・多摩地区を中心にしたラーメン食べ歩きを始めて15年以上。現在は年間400〜500杯程度を食べ、新店コレクターでありながらも老舗店やリピートするお店も多数あり。チェーン店からファミレス、カップ麺までも愛する真性の「ラーメン好き」で、基本的に何でも美味しく食べられる幸せ者。「自分の好みのラーメンを見つけて欲しい」と言う思いをモットーに色々なラーメンを紹介していきます。

本人ブログ(http://blog.livedoor.jp/zatsu_ke/

本人Twitter @zatsu_ke

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