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500種類以上のラーメンを生み出した圧倒的な技術と創作力に唸る! 㐂九家(東京・小作)【ZATSUのオスス麺 in 武蔵野・多摩】第23回

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 今回のオスス麺は、青梅市街から少し離れた青梅インター近くにある人気店「㐂九家(きくや)」。

JR青梅線・小作駅から2kmほどの圏央道沿いに立つ「㐂九家」

 和食出身のご主人が2012年にオープンさせたお店で、駅からも遠くお昼のみの営業というハードル高めな条件でありながら、近隣の方のみならず熱烈なファンがつき、行列の出来る人気店となっています。

 「生姜」「煮干し」「ねぎ」と書かれた大きな黄色い看板は、東京では無く地方のラーメン屋さん? と思うようなもので目を引くインパクトがあり、それに釣られてお店に入った人だけが上質なラーメンを食べられるという仕組みに!?

 「豚骨は食べられない」「醤油は好きじゃない」と、本当なのか冗談なのか時折判断し難い言葉を発するご主人が作るラーメンは、確かに白醤油や塩などを使用した出汁の味わいを活かしたあっさりなものがメイン。広い多摩地区を見回してもここでしか食べられない、和食を礎にした事がしっかりと感じられるラーメンを提供してくれています。

 引き出しが豊富で旬の食材を活かした多彩なラーメンを作り出し、土日祝日は毎週違うメニューを提供していて、これまでに500種類以上のラーメンを生み出しているとの事。

 頻繁に通わないとどれがレギュラーメニューなのかわからない程ですが、そのレギュラーメニューも素材を活かしたものとなっているので常に微妙な変化が感じられ、常連さんも全く飽きる事がありません。

 それなのにローカルルールのある難しいお店という訳では無いですし、公式Twitterやブログで翌日の限定メニューなどの紹介をするなど、しっかりとした心遣いがされているので安心です。

 レギュラーメニューはありますが常に同じものが出るとは言えないお店なので、これから紹介するラーメンはあくまで参考程度に、ということをご理解ください。

「純鶏中華そば(塩)」+「味玉」

「純鶏中華そば(醤油)」

 月曜から木曜までの平日だけ食べられるレギュラーのメインメニューが「純鶏中華そば」。

 口の中一杯に鶏の風味が広がり、無化調とは思えない強い旨味。ぐぐっと惹き付ける力強さで適度なこってり感も持ち合わせた、看板メニューに相応しい一杯!

「サーモンとイクラと生のりと山葵の和えそば」

セットで付いてくる「ご飯割」が……

プチ海鮮親子丼に早変わり!

 「サーモンとイクラと生のりと山葵の和えそば」は個人的にイチオシのメニューで、支店である「イチバノナカ」で食べられるメニューの“冷やしバージョン”。

 山葵の風味がふわっと絶妙に香る純和風な和え麺で、イクラやサーモンなどがのります。

 㐂九家ではよくあるのですが、「ご飯割」というものがセットで付いてきます。このメニューの「ご飯割」には削り節がのせられ、和えそばの残ったタレや具材をのせればプチサイズの「海鮮親子丼」として楽しむ事が出来ます。

 味的にも量的にも飽きさせずに満足させる最高のバランスが本当に素晴らしいです。

金曜メニュー「背脂舞い散る煮干中華そば」

金曜メニュー「生姜どっさり!! 背脂煮干まぜそば」

 毎週金曜日は【ジャンキーFriday】と銘打ち、背脂を使ったメニューを提供しています。

 「背脂舞い散る煮干中華そば」は、煮干をしっかり感じさせながらも最近よくあるインパクト型のものでは無く、やり過ぎない煮干感で旨味と仄かな甘味を感じさせるもので、背脂をたっぷり浮かべながらもジャンクになりすぎない仕上がりの絶妙な一杯。

 「生姜どっさり!! 背脂煮干まぜそば」は、背脂のこってり感とコクでジャンクさを出しつつ、煮干の味もクッキリしていて和な雰囲気をしっかり楽しめるもので、針生姜のアクセントも効いた一杯!

「ご飯割」で、タレを最後の一滴まで余すこと無く楽しめます。

モッチモチ平打ち麺にタレや具材を絡ませた「Sの和え玉」

 つくばの名店「煮干中華ソバ イチカワ」で発祥した「和え玉」は、いわゆる“味付き替え玉”的なもの。今でこそ色々なお店で提供していますが、イチカワインスパイアの和え玉として多摩地区で提供し始めたのは、自分の知る限りではこの㐂九家が初めて。

 「替玉」として楽しめるメニューですが、細かなチャーシューや刻み玉葱に万能ネギ等ものっていて「和え麺」としてのクオリティも高く、そのまま全部食べちゃいたい美味しさ。この和え玉も常に同じでは無く変化している感じです。

土曜の夜のみ営業していたセカンドブランド「夜色処 土九家」

「牛そば(醤油)ローストビーフのせ」

 2014年には一時期だけでしたが、土曜の夜だけ「夜色処 土九家」として “土曜牛の日”という牛を使ったラーメンを提供するセカンドブランド的な営業もしていました。

 ここでは「牛」を使いながらも、牛臭さや重さを全く感じさせないスッキリした味に仕上げたラーメンで驚かされました。
 

 そして過去に頂いた数多の限定麺の中から、個人的に印象に残ったものも少し紹介したいと思います。

2013年5月に頂いた限定麺「汁なし生姜和えそば with 鶏ポタちっくスープ」

 個人的にこのお店にハマるきっかけとなり、衝撃を受けた一杯。

 生姜と魚介の風味を程よく感じさせる和えそばで、それだけでも完成度が高い一杯なのに、ビシソワーズとも鶏白湯とも取れるような濃厚かつスッキリしたつけ汁を付ける事で、「つけ麺」としても食べられるハイクオリティな一杯でした。

2018年1月に頂いた限定麺「イベリコ豚とあん肝ら~麺」

 文字通り、イベリコ豚とあん肝を合わせたスープの限定麺。あん肝のクセを一切感じさせずにイベリコ豚と合致した濃厚な旨味がありつつ、節系のスッキリした和な風味でホッとするような味に仕上げた一杯で、イベリコベジョータのジューシーなチャーシューも絶品でした。

2020年1月に頂いた限定麺「しじみたっぷり 貝のトリュフ潮SOBA」

 しじみをメインに牡蠣も加えたという魚貝系スープに、トリュフオイルを合わせたあっさりしたもので、トリュフの風味がかなり強く感じるのに不思議と嫌味が無く、しじみや牡蠣の旨味を引き出しながら円やかな味に仕上げた凄い一杯!

2018年7月に頂いた限定麺「トウモロコシとカブ 冷たいらぁ麺」

 50本ものトウモロコシで出汁を抽出し、そこにすりおろしたカブを加え、更に和出汁を足したという冷製スープのラーメン。トウモロコシの良さを引き出してビジュアルも味も楽しめる、和食出身のご主人だからこそ出来るインパクトのある限定麺でした!

2016年1月に頂いた限定麺「かきと葱中華そば」

 牡蠣と昆布だけでとったスープは、旨味たっぷりながらも“お出汁”って感じの優しい味わいに仕上がっていて、大粒の牡蠣がゴロっと入った贅沢な一杯でした。

2018年11月に頂いた限定麺「どぅるん昆布がけ鶏と鰹のつけ麺」

 札幌にある超人気店「Japanese Ramen Noodle Lab Q」の特製麺を使用した限定。麺に昆布がかけられており、まさに“どぅるん”とした啜り心地を楽しめるもので、和出汁のつけ汁と相性バッチリでした!

埼玉県所沢市に出店した2号店「㐂九八 ~garage~」

ハマグリの旨味たっぷりながらもエグミを一切感じさせない、フレッシュさのある和風な一杯

 2016年11月には、2号店となる「㐂九八 ~garage~」をオープン。

東所沢の市場の中に誕生した3号店「拉麺 イチバノナカ」

カニという食材を使いながらもインパクトで食べさせるのでは無く、クセ無くバランス良く素材の味を活かした一杯

 さらに2019年6月には、所沢総合食品地方卸売市場内に「拉麺 イチバノナカ」をオープンさせました。

 ご主人の技術や創作力は計り知れない程で勿論すごいのですが、本店の平日営業を任されている通称「キャッツアイ」と呼ばれる女性店員3人組の接客やオペレーションがこれまた素晴らしい!

 この女性店員さん達やスタッフの力無くして本店の繁盛は成り立たないと言っても過言では無い程で、円滑なオペレーション、お客さんをさり気無くそしてしっかり見ての気配り、親しみ易く楽しい気分にさせて「また来たい」と思わせてくれる接客は、私が今まで行った1,000軒を超えるラーメン店の中でもトップクラス!

 そんな温かみのある雰囲気と、純和風で様々な味のラーメンを楽しめるオススメのお店です!

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。詳しくはお店の公式ブログ(https://ameblo.jp/wwwwwwpple/)をご確認ください

ZATSU

2006年に開設したブログ「ZATSUのラーメン」の管理人。武蔵野・多摩地区を中心にしたラーメン食べ歩きを始めて15年以上。現在は年間400〜500杯程度を食べ、新店コレクターでありながらも老舗店やリピートするお店も多数あり。チェーン店からファミレス、カップ麺までも愛する真性の「ラーメン好き」で、基本的に何でも美味しく食べられる幸せ者。「自分の好みのラーメンを見つけて欲しい」と言う思いをモットーに色々なラーメンを紹介していきます。

本人ブログ(http://blog.livedoor.jp/zatsu_ke/

本人Twitter @zatsu_ke

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