名店の二代目は味を守りつつチャレンジも忘れない 手もみらあめん 十八番(東京・東青梅)【ZATSUのオスス麺 in 武蔵野・多摩】第34回

2020年11月09日 12時00分更新

 今回のオスス麺は、東青梅にある老舗店「手もみらあめん 十八番」。

JR青梅線の東青梅駅から徒歩9分、黄色い看板が目印

 知らなければ辿り着けないような奥まった立地にありながらも、地元の方を中心に賑わいを見せる人気店で、現在は先代のご子息が二代目として跡を継いで腕を振るっています。

 ラーメン好きならば店名を見てピンと来る方もいると思いますが、ここは荻窪にある名店「十八番」の暖簾分け店。

 元々は先代の義理の姉夫婦が荻窪の「十八番」をやられていて、先代が脱サラし1981年に暖簾分けされてこの東青梅に「手もみらあめん 十八番」をオープンさせたとの話で、約40年間に渡って地元の方に愛され続けています。

 二代目となる現在のご主人は、元々は会社勤めをされていましたが、今から13年ほど前、休みの日にふと見た父親(先代)の背中が小さくなった事に気づき、そこで「自分が店を継ごう」と決意し修業を始めたとの事。

 地元に根付いた人気店の二代目となるとどうしても先代と比較される事があり、苦労されたそう。それでも、しっかりとお店の味を守っていく真摯な姿勢を見ると応援したくなり、自ずと常連さんも納得出来るものとなっていきました。

十八番の看板メニュー「ポークラーメン」

 創業から約40年間、色々とメニュー変更があった中でも生き残り続けている一番の人気メニューが「ポークラーメン」。

 豚のゲンコツでとった出汁に、創業から40年継ぎ足しの熟成された醤油ダレを合わせたスープに、豚バラ・ニンニク・コショウを加えたガツンとしたパンチのある一杯!

熱々のラードで焼き上げ、カリッと仕上げた豚バラ

 ニンニクがたっぷりまぶされて表面がカリッと焼き上げられ中はムニムニと肉々しさを楽しめる豚バラが堪らない味わいで、こってりしたパンチがありながらも元のスープが優しくスッキリした味なので、最後まで飽きずに美味しく食べられます。

 一度食べたら病みつきになってしまう味わいで、作っている時点で芳ばしい香りが漂ってくるので、違うのを食べようと思ってもついつい「ポークラーメン」に手が出したくなってしまうほどの引きの強さがあります。

優しいタッチ&適度なモチモチ感の手もみ麺

 店名にもあるように、麺は丁寧に揉みこまれた細縮れで、口当たりが良く、スープをたっぷり持ち上げてくれるものになっています。

楽しい具材が隠れている「特製ミソラーメン」

ピリ辛バージョン「特製辛ミソラーメン」

 個人的にオススメしたいのが、「特製ミソラーメン」と「特製辛ミソラーメン」。

 あっさりしたスープに芳醇な味噌の味わいや炒めた野菜の香ばしさを活かし、丁寧に作られた昔ながらの味噌ラーメンで、それだけではオーソドックスな味噌ラーメンですが、「特製」には何とスープで煮込まれた大きな餃子が入っています!

なんとワンタンではなく大振りの水餃子が出現!

 実は、私がこのお店を知ったきっかけが「特製ミソラーメンには餃子が入っているんだよ!」と知人に教えてもらった事でした。

 最初は「ワンタン」と勘違いしているか、若しくは常連さんや友人には特別に入れているのではないかな?と半信半疑でしたが、実際に食べてみて大きな餃子が出てきた時は驚くと共にテンションが上がりました!

 こういうサプライズは大好きで、しかもこの餃子がまた凄く美味しく是非一度は食べてみてもらいたい一杯!

シンプルな醤油ラーメンもラインナップ

焼き餃子も人気の一品

 継ぎ足し熟成醤油のまろやかで深い味わいを存分に楽しめる、シンプルな醤油味の「ラーメン」をはじめ、老舗ならではの豊富なメニューが揃っています。家族連れや仲間内で利用しても各々が好みのメニューを頼めるのが魅力の一つでもあり、中でも「餃子」は楽天市場でランキング入賞歴もある逸品(現在通販はしていません)。外はカリッと焼き上げられ、中には野菜の餡がたっぷり詰まった甘みと風味の豊かさを楽しめ、でっぷりとした大きなもので人気があり、多くのお客さんが頼んでいます。

なんとラーメン店なのにガリ!

 そして、どのメニューにも付いてくるのが「ガリ」。何故ラーメン屋でガリなの?って感じですが、これが合うのです!

 甘味強めでスッキリ酸味があるので、食べている最中や食後につまむと口の中がスッキリとリセットされ、特にポークラーメンの後は最高です♪

 二代目として苦労された事がもう一つあり、それは自分が良いと思っても先代が築いてきた物や事を変えて良いものかと悩んだという点。

 確かに二代目となって新しい事を加えたり、今までの物を変更するというのは凄く勇気がいると思います。実際、老舗店は(徐々に変化はあれども)その味を守り続けているだけの所が大多数を占めています。

 そんな中、ご主人は今までの味を守りつつも、新しい味への挑戦を始めました!

ポークラーメンをベースに専用醤油ダレを合わせた「ブタソバ(休止中)」

トマトの酸味が濃厚豚骨にマッチ!「トマポーク」

 中でも人気のポークラーメンにアレンジを加えたメニューは目を引くものがあり、濃厚な豚骨感と強い醤油感によってポークラーメン以上のインパクトとジャンクさを感じる「ブタソバ(休止中)」や、濃厚でドロドロしながらもスッキリとした味わいのトマトスープとポークを絶妙に合わせた「トマポーク」などは、この「十八番」だからこそ出来る、そして二代目だからこそのアイデアによって生まれた逸品!

キレのあるシャープな味わいの「魚介醤油」

 4年ほど前に一時期提供されていた「魚介醤油」は、明らかに今までの「十八番」とは違った方向性を見せ、これからの新しい「十八番」を大いに期待させてくれる一杯でした。

お持ち帰り用メニューも充実

 お持ち帰りメニューも、定番の「チャーハン」や「餃子」をはじめ、「ポーク飯(カレー味)」「中華丼」「野菜炒め丼」「生姜焼き丼」などお店では食べられないお持ち帰り専用メニューも用意されていて、コロナ禍で店内飲食を気にされているお客さんも自宅で楽しめるようにされています。

お持ち帰り専用の大人気メニュー「生姜焼き丼」

 「チャーハン」も「餃子」も間違いない味ですが、個人的にオススメなのが「生姜焼き丼」。生姜をしっかり効かせて味の特徴を出し、オイリーさもあるので、肉の旨味と油分がご飯に染み込んでガツガツ掻き込んで食べたくなる味わい!

 名店の跡継ぎとして腕を振るう二代目の「手もみらあめん 十八番」は、老舗店としての伝統を守りつつも未来を担う新しい味も楽しめる、他にはない魅力を持った、本当の意味で老若男女問わずに楽しめるオススメのお店です!

 ※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/ra_men18ban)をご確認ください。

ZATSU

2006年に開設したブログ「ZATSUのラーメン」の管理人。武蔵野・多摩地区を中心にしたラーメン食べ歩きを始めて15年以上。現在は年間400〜500杯程度を食べ、新店コレクターでありながらも老舗店やリピートするお店も多数あり。チェーン店からファミレス、カップ麺までも愛する真性の「ラーメン好き」で、基本的に何でも美味しく食べられる幸せ者。「自分の好みのラーメンを見つけて欲しい」と言う思いをモットーに色々なラーメンを紹介していきます。

本人ブログ(http://blog.livedoor.jp/zatsu_ke/

本人Twitter @zatsu_ke

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