近年話題の「生姜ラーメン」と、不動の人気を誇る「背脂ラーメン」。そんな両者を合わせたような「背脂生姜ラーメン」を提供する店が増えている。その多くが、2020年2月から始まった「背脂生姜プロジェクト」の参加店。このプロジェクトは、宮城県仙台市の「五福星」と東京・幡ヶ谷の「我武者羅」を始めとした、全国のラーメン店主有志が集まってスタートした。
背脂は体に必要なコラーゲンやミネラルが豊富で、生姜はカリウムや食物繊維を含んでいる。体に嬉しく、何よりおいしい。そんな「背脂生姜」を各店舗のメニューに加えて提供している。ラーメン店主が主導する形のプロジェクトなのも新しい。
2020年8月現在、北海道から京都にかけての28店舗で提供中。開始から半年で、私が東京都と千葉県で食べた「背脂生姜」7杯を紹介します。
1.「生姜醤油専門 我武者羅(東京・幡ヶ谷)」
「背脂生姜プロジェクト」発起人の一人である蓮沼店主の店。新潟県長岡市の「生姜醤油」が看板メニューだが、そこにプルンとした食感の上質な背脂も加えた一杯。背脂の中に、たっぷりの生姜がシャープに入ってくる。幡ヶ谷本店でもこの味を提供中。
2.「小麦と肉 桃の木(東京・新宿御苑前)」
つけ麺専門店なので、「背脂生姜プロジェクト」唯一のつけ麺。現在はこれが看板メニューでもある。プルプルした背脂とたっぷりの生姜がつけ汁に加わり、ピロピロした平打ち麺がそれらと上手に絡んでいく。麺の上にのせた生野菜も嬉しい。
3.「豚骨ラーメンじゃぐら(東京・高円寺)」
「背脂生姜プロジェクト」で唯一の味噌味。豚清湯スープに背脂と、バターを加えたおろし生姜をたっぷり入れている。味噌の味でじんわり温まり、生姜で体の奥からポカポカに。卓上に置かれている「角切り生姜」を加えれば、更なるインパクトが舌を包んでくれる。
4.「秋刀鮪だし 宣久(東京・芦花公園)」
秋刀魚と鮪を使ったスープで人気のラーメン店。通常メニューのスープから動物系素材を抜いて、魚介系オンリーにした事で、背脂の甘さがより引き立つ構成に。生姜が全体を引き締めて、中太麺をグイグイと啜らせる。喉を潤す味わいが背脂からもじんわりと広がる。
5.「百麺 世田谷本店(東京・上町)」
世田谷通り沿いで、豚骨醤油で人気の店。濃厚な豚骨スープの上に細かく浮いた背脂に、たっぷりのおろし生姜が絡んでいく。太く短い麺を小気味よく啜れば、口の中に背脂と生姜もたっぷりと。刻んだタマネギともみ海苔がアクセントを発揮。中目黒店でもこの味を提供中。
6.「煮干し中華そば 山形屋(東京・竹ノ塚)」
山形出身のご主人が2019年に立ち上げた新店。煮干をしっかり使ったスープの中にも生姜がたっぷり感じられ、丼の上と下から生姜が溢れてくる一杯。プルンプルンの背脂が玉ねぎやもみ海苔とがそれぞれに楽しめ、短めの太麺をどんどんと啜らせていく一杯。
7.「麺や ふくろう(千葉・馬橋)」
澄んでいるが素材の旨みがしっかり感じられるスープに、大ぶりでプルプルした背脂と、たっぷりのおろし生姜が目を惹く。平打ちの縮れ麺がスープ・背脂・生姜を一体になって絡めてくれるので、口の中でそれらが一体になって味わえる。
背脂と生姜の魅力をアピールしつつも、お店ごとに違った味が楽しめる「背脂生姜プロジェクト」。ラーメン職人が発信する新しいスタイルが全国で広まりつつあるので、見つけたらぜひ食べてみてほしい。
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、提供するラーメン・営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。
山本剛志 Takeshi Yamamoto (ラーメン評論家)
2000年放送の「TVチャンピオンラーメン王選手権(テレビ東京系列)」で優勝したラーメン王。全国47都道府県の10000軒、15000杯を食破した経験に基づく的確な評論は唯一無二。ラーメン評論家として確固たる地位を確立した現在も年に600杯前後のラーメンを食べ続けている。
百麺人(https://ramen.walkerplus.com/hyakumenjin/)
本人Twitter @rawota
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