うどん屋の経験をラーメン・つけ麺・焼きそばに活かした名店 虎テツ(東京・小作)【ZATSUのオスス麺 in 武蔵野・多摩】第28回

2020年09月28日 12時00分更新

 今回のオスス麺は、小作にある「虎テツ」。

JR青梅線・小作駅から徒歩3分ほどの場所にある「虎テツ」

 お祭りなどで「虎テツやきそば」という焼きそば屋台が出ているのを見たことがある方もいるのではないでしょうか? その「虎テツやきそば」屋台を出しているのが、この「虎テツ」。

 今から19年ほど前のラーメンブームの頃、小作・昭島・福生・歌舞伎町などに展開していた「めんりき」「天山(のちに『美豚』を出店)」の社長に誘われて、当時働いていた建設業からラーメンの世界に入ったご主人。

 そちらのラーメン店を退職した後、武蔵野うどん系の創作うどんのお店「うどんのかやま」を中神に出店し、麺や出汁の勉強に取り組んだとの事。

JR青梅線・河辺駅近くにあった「つけ麺専門店 二代目のぶ」

 その後、地元の知り合いだった現在の「立川マシマシ」の社長に誘われ、「つけ麺専門店 二代目のぶ(現在の『立川マシマシ秘密工場』の場所)」の出店を任されました。2010年晩夏にオープンし人気となったお店で、そのつけ麺はベジポタ系の濃厚ながらもスッキリさのある味わいの一杯でした。

居酒屋的な雰囲気で楽しめた「やきそばとB級グルメの店 虎テツやきそば」

うどん粉をブレンドしたモチモチ太麺の「虎テツやきそば」

「ガーリックトマトやきそば」といった独創的なメニューを数々打ち出した

 その頃、各地で行われているイベントなどでB級グルメが盛んに扱われている様子を見ているうちに、オリジナルの焼きそばを作りたいとの思いが生まれ、蒸し麺とソースの開発を始め、次第にその思いが強くなり「二代目のぶ」を退職。2011年11月「やきそばとB級グルメの店 虎テツやきそば」を開店させました。

 看板メニューの「虎テツやきそば」は、今まで出会った事の無い極太麺を使った焼きそばで、単につけ麺の麺という訳では無くしっかり焼きそばの麺として楽しめるもの。オリジナルのソースや、一般的な焼きそばには無いトッピングや味付けなどで楽しませてくれました。

2012年3月「麺 虎テツ」としてリニューアル

濃厚な鶏白湯に煮干や海老などを合わせた「海老香る らーめん煮干」

極太麺を濃厚なつけ汁で味わう「極濃つけめん鰹」

 焼きそば専門店として営業していましたが、「二代目のぶ」のお客さんからラーメンをまたやって欲しい!と強く要望され、2012年3月26日より「麺 虎テツ」と屋号を変え、焼きそば・ラーメン・つけ麺の3本柱での営業を開始。

 単に「二代目のぶ」のつけ麺では無く、更に美味しくなり進化させたラーメンとつけ麺で、現在の小作で提供しているメニューのプロトタイプとも言えるようなものでした。

今度は二毛作店も!昼は「麺オチョズ」、夜は「麺ダイニング Ocho's Bar」に

超個性的なスープオフ麺「まぜ焼そば」

 2014年2月3日には、中神にあったBAR「OCHO DE MOLDE」をリニューアル。昼はつけ麺・焼きそばを提供する「麺オチョズ」、夜はラーメン・焼きそばも食べられるBAR「麺ダイニング Ocho's Bar」という二毛作スタイルの姉妹店としてオープンさせました。「まぜそば」と「焼きそば」を融合させた「まぜ焼きそば」は、麺をメインにしたお好み焼きのような楽しい味わいでした。

2016年1月、京王線・聖蹟桜ヶ丘駅近くに「麺 虎テツ」が移転

どっしり濃厚でガツンと旨い「肉汁煮干らーめん」

 2016年1月4日、「麺 虎テツ」が聖蹟桜ヶ丘に移転。「肉汁煮干らーめん」は、豚骨鶏ガラの濃厚スープと煮干を合わせ、煮崩し豚の旨味も移り込んだ厚みのある味わいを楽しめる一杯でした。

数々の変遷を経て、現在の地である小作駅近くに根を下ろした「虎テツ」

 しかし、聖蹟桜ヶ丘に店を構えた後もずっと小作の方でやりたいとの気持ちがあり、聖蹟桜ヶ丘の店を閉め、2017年10月13日に凱旋的な感じで現在の場所に移転オープンしました。

麺の美味しさを存分に堪能できる「味玉のせ肉鰹つけめん」

 お店一番のオススメは、何と言っても「つけ麺」。「二代目のぶ」時代のつけ麺と、うどん屋時代の麺を掛け合わせて開発した、集大成とも言えるつけ麺になっています。

 鶏ガラ・モミジ・ゲンコツ・豚足・背骨などを15時間強火で煮込む動物系スープに鰹節や鯖節を溶け込ませたスープは、トロンとした高い粘度を持っていて、どっしりとした濃厚感がありながらもクセが無く、まったりとしたコクと旨味に節系の風味がバランス良く合わさった甘味のある味わい。

 麺は群馬県産上州地粉を使用し、うどんのようなコシとモッチリとした食感があるもの。この麺があるからこそつけ汁も活きると言った感じの一体感があるもので、つけ麺を含めラーメンや限定麺も全て山正食品にオリジナルオーダーしている特注麺となっています。

 トッピングには煮豚の分厚いバラチャーシューと、低温調理の肩ロースチャーシューの2つがのせられています。この角煮を思わせるような分厚くてトロトロのチャーシューが大好きで、自分が好きなチャーシューベスト10に間違いなくランクインします。

 また、黒ゴマをベースに竹炭で色付けしたという「黒ナルト」をのせて、目を引くビジュアルインパクトもつけています。

日替わりで提供されるスープ割り。この日は「生姜の鶏塩スープ」

 つけ麺にはスープ割りが用意されていますが、よくある魚介スープで薄めるタイプでは無く、日替りでしっかりと作られたスープとなっています。その味は「トマト」「生姜」「カレー」「テグタン」「ニンニク」等々バラエティー豊富で、個人的に同じ味に当たった事は無い気がします。

 蓋付きのステンレスコップで提供してくれるので、スープ割りとしてだけで無く直接飲んで楽しむ事も出来ます。

もちろんラーメンも!あっさり清湯醤油の「丸鶏中華そば」

 「丸鶏中華そば」は、ふくよかな丸鶏の味と風味に貝出汁の強い旨味が合わさり、シャープさのある醤油ダレでビシッと味が決まった清湯系の一杯で、個人的にはかなりオススメの一杯です!

「味玉のせ肉煮干らーめん」+「煮込みチャーシュー」

 「肉煮干らーめん」は、最近流行っている煮干ラーメンのように煮干を前面に押し出したタイプでは無く、ポッテリした高い粘度の濃厚な豚骨スープの中にアクセントとして煮干を合わせたような、バランス感を持ったラーメン。

 デフォルトで入っていない、唯一の別売りトッピングの「海老辛味」。どのメニューにも合わせる事が出来、パッと見は「こんなに唐辛子いっぱい入れたら激辛になってしまうのでは!?」と思う感じですが、実際のところ辛味は意外と強くなく、唐辛子と海老の風味を楽しむのがメインとなっているような感じで、つけ麺との相性が抜群です!

 そして不定期で提供される限定メニューもクオリティが高く、うどん屋さんを経験しているからこそ出てくるアイディアを活かしたメニューが多数あって面白いです。

限定メニュー「ぶっかけカレー」

 濃厚ながらもクセの無いカレーに海老の風味を加え、もっちもちの極太麺を合わせた一杯。

 カレーつけ麺をやった事もありましたが、この極太麺と濃厚カレーとの相性は抜群で毎回外れがありません!

限定メニュー「煮干ときのこの肉汁つけめん」

 肉汁うどん的なビジュアルからイメージする味を、良い意味で裏切る煮干を力強く効かせた一杯で、平打ち麺がまた素晴らしく良かったです。

限定メニュー「冷し牡蠣汁ぶっかけ」

 牡蠣の身をそのままペーストにしたような味わいで、ドンと来るような旨味の強いインパクトなものでありながらも、食べやすく仕上げた冷やし麺。

限定メニュー「虎テツやきそば」

 レギュラーメニューからは外れてしまった「虎テツやきそば」ですが、今後もイベント出店とその時期に合わせて限定提供を考えているとの事。

昭島ブランド・フードグランプリで提供された「明太クリームやきそば」

八王子北野市場ラーメン選手権で提供された「磯香るらーめん煮干」

 最近は減って来ましたが、各地で行われるイベントにも精力的に参加していて、野外ならではの味を楽しむ事が出来ました。

 「うどん屋」としての経験を活かし、「うどん」の良いところを「ラーメン」「つけ麺」に組み込んだ、“さり気ないオリジナリティ”を感じさせてくれるオススメのお店です♪

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/tsuke_nobu)をご確認ください。

ZATSU

2006年に開設したブログ「ZATSUのラーメン」の管理人。武蔵野・多摩地区を中心にしたラーメン食べ歩きを始めて15年以上。現在は年間400〜500杯程度を食べ、新店コレクターでありながらも老舗店やリピートするお店も多数あり。チェーン店からファミレス、カップ麺までも愛する真性の「ラーメン好き」で、基本的に何でも美味しく食べられる幸せ者。「自分の好みのラーメンを見つけて欲しい」と言う思いをモットーに色々なラーメンを紹介していきます。

本人ブログ(http://blog.livedoor.jp/zatsu_ke/

本人Twitter @zatsu_ke

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