本格派の家系ラーメンを提供しながら“ここだけ”の味も揃える人気店 横浜家系 麺屋はやぶさ(東京・立川)【ZATSUのオスス麺 in 武蔵野・多摩】第29回

2020年10月05日 12時00分更新

 今回のオスス麺は、立川北口「ヤタパラ」の一画にある、横浜家系ラーメンのお店「横浜家系 麺屋はやぶさ」。

立川駅北口から徒歩5分、立川屋台村パラダイス(通称ヤタパラ)内に店を構える

 一時期は立川駅周辺に6軒もあった位に人気の高い“家系ラーメン””のお店ですが、15年前はまだこの辺りに家系ラーメンを提供するお店はありませんでした。

 その立川に家系ラーメンを持ち込んだのが、2006年にオープンした「つばさ家 立川店」。家系ラーメンの人気店「六角家」で修業した方が味を作り店長となっていたので、本物の家系ラーメンを食べられる貴重なお店として瞬く間に人気店となりました。

2011年10月にオープンした当時の様子

 その後、その方が独立し、八王子に「家系ラーメン そう家」をオープンさせましたが、「立川にもう一度あの味を」という思いを持った方がオーナーとなり、「そう家」の店主を口説き落として店長として迎え、2011年10月に「横浜家系 麺屋はやぶさ」がオープンしました。

いくつものアイデアが詰まった、独特なフォルムの椅子

こちらが店名の由来

 元々ラーメンが大好きだったオーナーはお客さん目線の店作りを心掛けていて、席間や照明の位置などもベストなポジションを試行錯誤しながら決め、椅子にくぼみを付けて鞄をかける事が出来るようにし、さらにお子様用の特別な後付け椅子が付けられるように工夫を加えるなどの徹底ぶりで、一文字カウンターのみのこじんまりしたお店ながら凄く居心地の良い空間と雰囲気が作られました。

 店名の「はやぶさ」は小惑星探査機「はやぶさ」からとったもので、券売機の上には「はやぶさ」のオブジェも飾られています。そして「麺屋はやぶさ」のロゴは、「らぁ麺やまぐち」「麺屋KABOちゃん」「らぁめんや やしげる」などのロゴも手掛けた書家の江島史織さんが書かれたものです。

オープン当時の「らーめん」(2011年10月撮影)

 一般的な家系の豚骨醤油ラーメンは豚骨は勿論、鶏ガラもたっぷり使うことが多いのですが、ここは鶏ガラを使わずに豚骨のみを呼び戻し製法で炊き出す純粋な“豚骨醤油スープ”に、鶏油を浮かべるスタイルの一杯。

「麺屋はやぶさ 別館」(2015年8月撮影)

鶏や鰹をベースにした、あっさり系清湯の「鶏鰹そば」

 一時期は、隣にあるバー「タロン」の営業時間外であるランチタイムを利用し、「麺屋はやぶさ 別館」として「はやぶさ」とは対極になるようなあっさりした清湯系ラーメンを提供した事もありました。

 その後、スープの炊き方や豚骨の部位なども変え、現在は初代店長の一番弟子としてこの「はやぶさ」でしっかりと修業をされた方が二代目店長となり、代名詞である家系豚骨醤油ラーメンだけで無く、ガッツリ系やあっさり系を揃え、限定ラーメンなども提供してくれています。

 本格派の家系ラーメンを提供しながら家系ラーメンに捕らわれないメニュー構成なので、家族連れや女性のお客さんにも好まれているようです。

現在の「らーめん」

 提供される看板メニューの「らーめん」は、見た目は殆ど変わりませんがオープン当初とは全くの別物と言って良い程に味は変わっていて、豚骨の風味が強く出てゴリゴリとした骨感をどっしりと感じる濃厚さ!

 それでいて意外と重い感じは無く、やわらかい醤油ダレと上質な鶏油のコクと旨味が合わさり、パンチがありながらも食べやすい豚骨醤油ラーメンに仕上げられています。

脂身の美味しさを堪能出来る「バラチャーシュー」

赤身の旨味を満喫出来る「肩ロースチャーシュー」

 チャーシューはトロトロした柔らかさとこってりさのある「バラ」と、肉の旨味を楽しめる「肩ロース」が選べるようになっているのも家系としては珍しいスタイルで、チャーシューメンにすれば2つを同時に楽しむことも出来ます。

家系? 二郎系!? 「にんにく野菜らーめん」

辛さでさらに旨味をブースト! 「辛にんにく野菜らーめん」

 「にんにく野菜らーめん」は、にんにくの旨味と風味がガツンと来るパンチの効いたジャンクな味わいとボリュームで、一見すると二郎インスパイアっぽいですが、それとは違った“家系”の味を活かしたガッツリ系ラーメンとなっています。

 「辛にんにく野菜らーめん」は、特製のラー油が合わさったもので、単に辛味が出るだけで無く野菜などの味も引き立っています。さらに刻みニンニクの風味と旨味が辛味と相性抜群で、通常の「にんにく野菜」以上の一体感を感じる一杯!

家系ラーメン店なのにスープオフタイプも!「油そば」

 「油そば」は、まったりとした優しいコクと豊かな風味の鶏油に、少しキリッとしながら厚みを感じる醤油ダレが合わさって、家系らしさを感じるシンプルな油そば。

面白くて美味しい「塩すっぱつけ麺」

 「塩すっぱつけ麺」は、文字通り「すっぱ!」と直に感じる強い酸味があるもの。奥にある出汁の濃厚感もしっかり楽しめ、こってりなのに後味スッキリ過ぎる面白い一杯。

じんわりと美味しいネオクラシックな「鶏中華そば」

 「鶏中華そば」は、丸鶏や大山鶏のガラを使ったというあっさり醤油味で、ふくよかな風味や旨味を楽しめる上質な味わいでありながら、「昔ながら」な懐かしい雰囲気も持ち合わせた誰もが美味しく食べられる優しい一杯。

ラーメン丼にドンと盛られた「炙りチャーシュー丼」

ラーメンのお供に「ミニ炙りチャーシュー丼」も

 「ミニ炙りチャーシュー丼」は、炭火で炙られたトロトロのチャーシューがのったもの。肉に炭火ならではの風味が移っていて、甘めのタレとマッチしたハイレベルなサイドメニュー。

 以前は、フルサイズの「炙りチャーシュー丼」もあって、これが贅沢極まり無い味わいでした!

 創作意欲も高く、限定メニューを定期的に出していて、今年の6・7月には7週連続で日本全国のご当地ラーメンを週替わりで提供するなど、常連さんも飽きさせません!

限定メニュー「チーズ香る味噌らーめん」

 以前、限定で食べた「チーズ香る味噌らーめん」は、どっしりとしたワイルドな濃厚さのある豚骨に、白味噌主体の香り高いまろみのある味噌が合わさり、軽いアクセント程度に嫌み無くチーズが香る感じに仕上げた一杯で、かなり美味しかった記憶があります。

麺とスープがセパレートになった、テイクアウト「らーめん」

テイクアウト「炙りチャーシュー丼」

 今回のコロナ禍においては、いち早くテイクアウトも始めました。個人店では珍しくセパレート容器を採用し、味も安全性も考慮されたテイクアウトを実施しています。

 最近は、セントラルキッチンで作られたスープを用いた“家系ラーメン”を提供するお店が増えてきていて、それも悪くなく個人的にも美味しくいただいています。ですが、そういったタイプには出す事の出来ないオリジナリティをしっかりと感じる特徴的な家系豚骨醤油ラーメンを提供してくれて、さらにそれだけにとどまらず色々な味を楽しめるオススメのお店です!


※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。詳しくはお店の公式サイト(http://www.yukikaze-ent.co.jp/hayabusa/)をご確認ください。

ZATSU

2006年に開設したブログ「ZATSUのラーメン」の管理人。武蔵野・多摩地区を中心にしたラーメン食べ歩きを始めて15年以上。現在は年間400〜500杯程度を食べ、新店コレクターでありながらも老舗店やリピートするお店も多数あり。チェーン店からファミレス、カップ麺までも愛する真性の「ラーメン好き」で、基本的に何でも美味しく食べられる幸せ者。「自分の好みのラーメンを見つけて欲しい」と言う思いをモットーに色々なラーメンを紹介していきます。

本人ブログ(http://blog.livedoor.jp/zatsu_ke/

本人Twitter @zatsu_ke

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