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【小野員裕「魂のラーメン外伝」】第9回

醤油も塩も旨い、餃子も文句なし 安べえ(東京・志村三丁目)

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 「安べえ」は、都営三田線「志村三丁目」と「蓮根」の中間ぐらいにある住宅街の中にポツンと佇むラーメン専門店。

 ここ美味しいんだけど、あまり世間の評判を聞かない店でちょい不思議なんだよな。きわめてホスピタリティーの高いご夫婦で切り盛りされ、どこか門前仲町の「こうかいぼう」のご夫婦を思い出してしまう。2人とも仕事が丁寧で、見ているだけで気分がいい。

 店内は左手にL字のカウンター9席と右手に2人席のテーブルが2卓となっている。ここに来ると胃袋にガツンとくるニンニクたっぷりの「スタミナ塩ラーメン」が多いかな。

 「熱いので気をつけてくださいね」

すたみな塩

 スープの表面を覆うのは、ニンニクと長ネギが、おそらくラードで焙煎されたもの。だからいつまでも熱々を保ってくれる。一口、さっぱりとした塩に力強く香ばしい風味、ストレート麺にそのスープがよく絡みつき、ズルズル箸が止まらない。ほどよい歯ごたえの焼豚、合間にチンゲン菜やメンマで口中をリセット、再び麺に食らいつき、あっという間に完食。

 本来のスープは一般的な鶏ガラベースに豚ガラ、魚介の乾物などが入っているのだろうが、どれも前面に出ることなく中庸を保っている。極端な主張がないので、ふとした時にまた食べたくなる、そんな味わいだ。

 またある日は「ちゃーしゅーめん」と「餃子」をオーダーした。

 「熱いので気をつけてくださいね」といつもの口調でラーメンを提供するご主人。

ちゃーしゅーめん

餃子

 色鮮やかな丼に大きめな肩ロースの焼豚2枚、メンマに小松菜と食欲がそそられる美しさ。スープは鶏、豚ガラなどが主体で、余計な小細工がされていてない潔い醤油スープだ。

 「相変わらず美味しいな~」

 メンマはややコリコリ、嫌味な甘さがないので好感が持てる。ボリュームのある焼豚はほどよくいい下味が入って適度に柔らかく旨いね。

 茹で加減ピッタリのストレート麺もなかなかだけど、この麺、製麺屋と話し合ってもう少し工夫したらこのラーメン最強になると思うんだけどな。また餃子もピカイチ。

 下味がしっかり入り、ほどよく肉汁がしたたり旨い!西台の「欣也」同様、ヘタな餃子専門店より優れているんじゃないかな。

 美味しさもさることながら、まあ、このご夫婦の生真面目な人柄がいいね、これも料理の美味しさに加味される。

 ※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。

〈店舗データ〉
【住所】東京都板橋区坂下1ー39ー2
【電話】03ー3960ー7164
【営業】11時30分~14時30分
【休日】月・日・祝
【アクセス】都営三田線「志村三丁目駅」・「蓮根駅」から徒歩6分

小野員裕 Kazuhiro Ono (大衆料理研究家)

 17歳からカレーの食べ歩きをスタート。以降、大衆料理研究家として早い時期からジャンルを問わず各メディアで情報発信。著書「魂のラーメン(プレジデント社)」はラーメンファンのみならず食に関わる多くの評論家やブロガーにも多大な影響を与えた。現在も1日1軒は食べ歩きの日々。

百麺人(https://ramen.walkerplus.com/hyakumenjin/

本人ブログ https://onochan.jp/

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