今回のオスス麺は、羽村駅近くの飲食店街にある「煮干乃宴(にぼしのうたげ)」。
今まで青梅線沿線には無かった、本格派の煮干ラーメンを提供するお店として話題となっています。
ラーメンに欠かせないものと言えば、麺とスープ。
スープはお店で作っているけれど、麺は製麺所にお願いしているというお店も多く、浅草開化楼・三河屋製麺・村上朝日製麺所・菅野製麺所などの有名製麺所は、ラーメン好きならば一度は耳にした事があると思います。
今回紹介させていただく「煮干乃宴」のご主人は、元々その人気製麺所の一つである菅野製麺所の営業をされていた方でした。
製麺所というのはただ単に麺を作って卸すだけでは無く、ラーメン店に寄り添った仕事をするもので、既存の店舗への麺の提案や新規開業する店舗とのラーメンの開発的な仕事もしていたとの事。
そうした中で“ラーメン店”という職業に憧れを抱くようになり、自分の店で自分の作ったスープに麺を合わせたいという願望を持ち始めて開業を決意。
数年間の構想の末、2018年8月31日に念願のラーメン店「煮干乃宴」をオープンさせました。
屋号にもある通り「煮干」に特化したラーメンを提供するこのお店。
なぜ煮干に特化したスープを選んだのか?というと、「沢山のラーメンを食べてきた中で、好きなラーメンが煮干だった」というシンプルな理由で、自身の好きなもの美味しいと思うものを提供しようと煮干に拘り、「中華そば」用の清湯スープと「濃厚」用の二つを毎朝炊いているとの事。
お店には、その日に使っている煮干を貼り出してあるので、食べ手側も「これが平子の味かな?これが伊吹の味かな?」と煮干の種類によって変化する味の違いを探す楽しみ方もでき、最近は伊吹の白口を選定しているとの事。
一番のオススメは、【食感を楽しむ】をテーマに作っているという「濃厚煮干中華そば」。
セメント色したスープは、煮干と昆布、鶏油のみで作られたもの。まろやか且つ濃厚なコクと旨味がありながら、煮干の持つ苦味も共存させたスープと、硬めに茹でられたパツパツしたハリとザクザクした歯切れの良い食感と粉感を楽しめる細麺が合わさった、インパクトを楽しめつつ食べやすい味に仕上げられた一杯!
開業当初から何度もレシピを変えて今の味になっているとの事で、食べ手側としても実際食べる度に変化があるのが楽しく、同じメニューを食べても全く飽きる事が無いという不思議なラーメン。
「今後も変わっていくと思います」とおっしゃっていて、これからも進化し続けるラーメンになりそうです。
二本柱のもう一つは、【沁みる】をテーマにした「煮干中華そば」。
「濃厚」もそうですが、麺とスープのバランスを重視してラーメンを作っているというご主人の思いが顕著に感じられる一杯。タレの味を抑える事によって雑味の無いスッキリした煮干感を楽しむ事が出来るスープに、しなやかな細ストレート麺を合わせた優しい味わい。
煮干の苦味やエグミは一切ありませんが、ある意味「濃厚煮干中華そば」以上にクリアな煮干感を楽しむ事が出来ます。
「つけそば」系は、全粒粉の強い風味を楽しめる太麺を主役にするバランスに仕上げられた一杯。
不定期で提供される「宴の烏賊煮干し」は、烏賊煮干しを用いた特徴的な風味とビター感を楽しめ、これをクセの無い味に仕上げたハイクオリティな一杯で、この味の虜になる人は多いはず!?
「和え玉」という、おかわりメニューも用意されていて、こちらは具沢山な替え玉的なもの。
ただ、単純な替え玉では無く「油そば」として楽しむ事ができ、勿論残ったスープに投入しても美味しくいただけます。
沢山のラーメン屋さんを間近で見て来た事もあって創作意欲も強く、限定メニューなどにも力を入れて定期的に提供しています。
昨年夏に提供された冷たい中華そばは、苦味を感じるような力強い煮干感を楽しめるスッキリした味わい。出汁氷が溶けだすに連れ、より冷たさが増していくもので、「冷し」ならではのシコシコした食感を楽しめる麺も印象に残るものでした。
昨年冬に提供された味噌ラーメン。煮干感をしっかり楽しめつつも味噌と調和し、軽く海老が香るアクセントも付いたバランスの取れたスープに、ピロピロモッチリした平打ち麺を合わせた完成度の高い一杯でした。
個人的に一番印象に残っているメニューが「ライ麦つけ麺」。
クリアな煮干感を楽しめるつけ汁と、ガゴメ昆布水に浸かったライ麦練り込みの細麺を合わせたつけ麺で、この麺とつけ汁の絶妙なバランスが堪らない一杯でした!
テイクアウトもしっかりとしたものが作られており、簡単調理でお店の味を楽しむことが出来るので、緊急事態宣言下で自粛中でも家で本格的なラーメンが食べられます。
レギュラーメニューも限定メニューも、全ての麺はご主人の古巣である「菅野製麺所」のものを使用しています。おそらく麺に対する理解は他のラーメン店とは別格と言っても過言では無いと思われ、スープとの相性を合わせる視野の広さなどを活かした「麺とスープのバランス」を重視し、常に成長し続ける、これから先が凄く楽しみなオススメのお店です!
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/J2sShe5vNAPQBf7)をご確認ください。
ZATSU
2006年に開設したブログ「ZATSUのラーメン」の管理人。武蔵野・多摩地区を中心にしたラーメン食べ歩きを始めて15年以上。現在は年間400〜500杯程度を食べ、新店コレクターでありながらも老舗店やリピートするお店も多数あり。チェーン店からファミレス、カップ麺までも愛する真性の「ラーメン好き」で、基本的に何でも美味しく食べられる幸せ者。「自分の好みのラーメンを見つけて欲しい」と言う思いをモットーに色々なラーメンを紹介していきます。
本人ブログ(http://blog.livedoor.jp/zatsu_ke/)
本人Twitter @zatsu_ke
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