名店から独立し「オーソドックスな中華そばのメチャ美味いバージョン」を目指す 中華そば ふるいち(東京・羽村)【ZATSUのオスス麺 in 武蔵野・多摩】第45回

2021年02月08日 12時00分更新

 今回のオスス麺は、近年良いお店が続々とオープンしている羽村駅から、歩いて5分程の所にオープンした「中華そば ふるいち」。

青梅線・羽村駅の東口から徒歩5分「中華そば ふるいち」

 2020年にオープンした新店の中でもトップクラスと各処で謳われ、既に行列の出来るお店となっています。

 ご主人は、ご実家がラーメン店の隣だった事もあって、ラーメン屋さん特有の近隣トラブルを間近で見てしまい、子供の頃はアンチラーメン的な感じだったそうですが、成人を迎える頃からラーメンが好きになり、子供の頃の反動のようにラーメンにハマって色々なお店を食べ歩くようになったとの事。

 ラーメンの食べ歩きは好きでも、それが後にラーメン店主になるとは思いもしなかったご主人は、お父様の会社を継ぐ体でサラリーマンやお父様の会社に勤めたりしていたそうですが肌に合わず、昔アルバイトでやっていた飲食店の仕事が好きだった事もあって30歳になるタイミングで飲食店の社員になろうと考え、「今までやった事の無かったラーメン屋さんで働いてみよう!」と一念発起。地元の羽村から通える距離でラーメン店の社員募集を探して入ったのが、たまたま国分寺の人気店「ムタヒロ」だったとの事。

 その「ムタヒロ」に入った事が運命の巡り合わせと言えるもので、「ムタヒロ」で働いているうちに徐々に「自分のラーメンをやりたい」と思いはじめ、いつかは地元で何かお店をやりたいと常々思っていた事もあり、羽村でラーメン店をやろうと気持ちを決めたそう。

 そんな中、羽村で「ラーメン五ノ神」を営んでいたご友人から、「店を辞めるからここでやる?」と声がかかり、沢山の思い出が詰まったこの場所に知らないお店が入る位なら自分がやりたいという思いも手伝って、「今が店をやるタイミングだ!」と、「ムタヒロ」の社長である牟田さんに許可を得て、独立し出店する事に。

店頭に飾られた提灯には「ムタヒロヨリ」の文字が

 「オーソドックスな中華そばのメチャ美味いバージョンを作りたい」との思いを具現化すべく、試行錯誤を重ねて今の「中華そば」を完成させ、2020年10月4日遂に「中華そば ふるいち」をオープンさせました!

 独立時にトラブルが起こる事も少なくないラーメン業界ですが、「ムタヒロ」とは凄く良い関係を保っていて、お店の前に飾られた提灯も「ムタヒロ」から贈られたもので、オープン時には社長である牟田さん自らが手伝いに駆けつけるなど、その師弟愛が感じられて、ファンとしては凄くほっこりした気持ちになります。

基本の一杯「中華そば」

 お店の看板メニューである「中華そば」は、鶏・豚・牛の動物系をベースに、伊吹いりこなど数種類の煮干しと節系を使用した、バランスを重視した醤油味。

  「オーソドックスな中華そばのメチャ美味しいバージョンを作りたい」という言葉が正に具現化されたもので、簡単に言ってしまえば「煮干しが効いた昔ながらの中華そば」ですが、そんな気取らない馴染み易さがありながらも魚介の香り立ちの良さや奥からどんどん押し寄せてくる動物系の厚みなど、その味わいの深いコクや旨味は簡単に出せるものでは無く、ご主人の思いと技術が詰め込まれたハイクオリティなものとなっています。

 麺は、「ムタヒロ」の師匠に当たる「凪」が手がける「新宿だるま製麺」の多加水中細麺を使用。

 滑らかな啜り心地と喉越しの良さを楽しめる麺で、スープの味をしっかり持ち上げてくれます。

 チャーシューは、国産豚の肩ロースを使用した吊し焼きの「焼き豚」。

 手間暇かけたその味わいは、最近流行りの真空低温調理などでは出せない豊かな風味や凝縮された肉の旨味を楽しめる逸品!

 メンマは完全無添加の熟成メンマで有名な「タケマン」のものを使用し、野菜は地元羽村の八百屋さんから国産のものを使うなど、トッピング一つ一つにも拘りを持っています

「特製塩中華そば」

 お店の一番のウリは「中華そば」ですが、私個人が思うこのお店のナンバーワンは「塩中華そば」!

 構成は「中華そば」と同じですが、よりクリアな煮干し感と押し寄せてくる動物系の旨味を、円やかな塩味でうまく纏め上げられた一杯!

「油そば」

 「油そば」も奇をてらわず、煮干しを効かせた醤油ダレの味わいを主軸にしたオーソドックスなもので、麺・タレ・油の三位一体の重層的な味わいを楽しめる一杯。

「味玉つけそば」

 「つけそば」も、味の構成は「中華そば」と同じタイプですが、こちらは明らかに「麺が主役」となっていて、コシのある麺の弾力や麺の持つ味わいをつけ汁が引き立てる役割となっています。

 ただ、麺を食べ終えた後に「スープ割」をお願いすると、「中華そば」以上に力強い煮干し感を楽しむ事が出来るので、一度は試していただきたい一杯。

 「ムタヒロ」出身という事もありますが、ご主人自身の創作意欲の強さがあり、「ムタヒロ」の頃から数々の限定ラーメンを提供していました。自分のお店でも当然のように限定ラーメンを提供し、まだオープンから4か月程度にも関わらず既に二桁を超える限定ラーメンを作り出しています。

2020年のラストを飾った限定麺「のどぐろ煮干しの年越し中華そば」

 昨年の大晦日には、大山鶏のガラやのどぐろ煮干しを使用し、奥深い味わいのちょっと贅沢な出汁を楽しめる、年越しに相応しい一杯を提供してくれました。

ふるいち x 十八番のコラボ麺「ポーク中華そば」

 年始には、以前から知り合いだったという青梅の老舗店「手もみらあめん 十八番」の二代目と異色のコラボラーメンを提供し、話題を呼びました!

 「今後は、羽村のラーメンと言えば『ふるいち』」と言われるような、地域に根付いた愛されるお店にしていき、いつかは羽村にラーメンファミレスを作り、数十年後に羽村が【花と水と麺の町】になっているのが夢」と語るご主人。同じ羽村市民である私としてもそうなって欲しい、そう出来るのではないかと思えるバイタリティを感じるお店で、老若男女問わず楽しめる「昔ながらの中華そば」的な馴染み易さと、ラーメンマニアも唸らせる奥深い味わいを兼ね備えた「ネオクラシックラーメン」を提供しくれるオススメのお店です!

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/ramen_furuichi)をご確認ください。

ZATSU

2006年に開設したブログ「ZATSUのラーメン」の管理人。武蔵野・多摩地区を中心にしたラーメン食べ歩きを始めて15年以上。現在は年間400〜500杯程度を食べ、新店コレクターでありながらも老舗店やリピートするお店も多数あり。チェーン店からファミレス、カップ麺までも愛する真性の「ラーメン好き」で、基本的に何でも美味しく食べられる幸せ者。「自分の好みのラーメンを見つけて欲しい」と言う思いをモットーに色々なラーメンを紹介していきます。

2006年に開設したブログ「ZATSUのラーメン」の管理人。武蔵野・多摩地区を中心にしたラーメン食べ歩きを始めて15年以上。現在は年間400〜500杯程度を食べ、新店コレクターでありながらも老舗店やリピートするお店も多数あり。チェーン店からファミレス、カップ麺までも愛する真性の「ラーメン好き」で、基本的に何でも美味しく食べられる幸せ者。「自分の好みのラーメンを見つけて欲しい」と言う思いをモットーに色々なラーメンを紹介していきます。

本人ブログ(https://zatsu-ke.blog.jp/

本人Twitter @zatsu_ke

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