京都で大阪の高井田“風”中華そばを食べたら、味以外にも敬服することだらけ「らー麺創房 ぱこ」(京都府・京都市)

2021年02月18日 12時00分更新

 お世話になっております。フードジャーナリストでラーメンWalker百麺人の、はんつ遠藤です。第6回は京都からお届け♪

 いろんなところで言い続けてますが、僕が一番好きなラーメン店は京都の「新福菜館」本店です(支店とか東京店とかじゃなくて本店ね)。

 初めて訪問したのは、約30年前。特にハマった時期は、京都に行く時は近所のホテルに泊まり、朝7時半のオープン(今は9時になりました)とともに伺い、堪能。そしてホテルに戻って10時にチェックアウトして、また伺い、堪能ということまで。

 最近、味が変わったと言われますが、それでも大好き。なんでそんなに?と聞かれますが、分かりません。好きだから(笑)

 

 そんな京都で紹介させていただくのは「らー麺創房 ぱこ」!

 (「新福菜館」じゃねーのかよwww)

天然素材にこだわる京都の人気店「らー麺創房 ぱこ」

 

 場所は、京都府京都市右京区西院六反田町。駐車場も3台ありますが、阪急京都線の西京極駅から歩いて約13分と、すぐ、です(汗)

 ご主人の勝野松信さんとは、もう十数年来のお付き合いをさせていただいてます。

 勝野さんは東京の浅草出身。どうして京都で、どうしてラーメン店主で、どうして今、こうしてお店をなさっているのかとか、親族の話とか、僕は仲良しなので、けっこう知ってます。が、彼ほど今までの話を書けない人に僕は出会ったことがありません。

 「なんだよ!」と思った方も多いでしょう。知りたければお店に伺えば、話してくれると思います。勝野さん、おしゃべりなので(大汗)

 とても簡単に言えば、京都に来て、38歳で現在の場所(土地&建物)を購入して、この場所で中華料理店を営んでいましたが、途中で「ラーメン創房 玄」の田中玄さんに師事し(ここらへん、スルーでお願いしますw)、「らー麺創房 日本一」というラーメン店にリニューアル。さらに、インパクトがあったほうが良いという事で、電話番号の末尾が8585というところから「らー麺創房 ぱこぱこ日本一」(もしくは「らー麺創房 日本一ぱこぱこ」)という屋号に変え、数年前に「らー麺創房 ぱこ」に改名しました。

 「いやぁ、娘が『ぱこぱこ』という店名を嫌がって、どうしても変えてっていうので変えたんですよ~」と勝野さん。なるほどなるほど。いろんな考え方がありますね。

 とはいえ、カウンター主体でテーブルもある店内は、以前のまま。

 ラーメンも「極上塩らーめん」が看板メニューで、「煮干しらーめん」も人気というのも変わらずです。

 と思ったら、5年ぶりくらいの久々に訪問させていただいたら、新メニューがありました。それが「高井田風中華そば」。

 勝野さんは、さまざまなラーメン店主やラーメン好きの方と親交が深い方で、いろいろあって(ここらへんまた、スルーで(超大汗))、大阪の「麺屋 丈六」さんとも親交があり、作り方を教えてもらったのだとか。

 せっかくなので「高井田風中華そば」をいただきました!

 カウンターごしに厨房が丸見えなので、作り方をじーっと見ていたら、スープ自体は白濁しています。

 ベースはトンコツ鶏ガラだそう。

 そこに醤油ダレを加えたら、おおおお、真っ黒!!!

「高井田風中華そば」

 「高井田ラーメン」(高井田系)をご存知ない方のために説明しますと、大阪府東大阪市の高井田地区周辺などで広がる、大阪のご当地ラーメン。大阪ブラックとも称されたりします。「中華そば 住吉」「中華そば 光洋軒」などが老舗で、最近は進化系的な「金久右衛門」「麺屋7.5Hz」なども。

 そのブラックスープが、京都の「ぱこ」に存在するのが不思議ですが、なにはともあれスープをいただけば、「たまり醤油ベースの醤油ダレ」を用いているため、見た目とは全く違った甘じょっぱい口あたりに驚きます!

 それと、高井田「風」なんですね。確かにスープは白濁系なので、本場よりもまろやなか口あたりも加わってます。しかし、見た目のブラック感は、すごいなぁ。

 青ネギも、本場は大きめのぶつ切りタイプですが、こちらはお洒落な細切りタイプ。

 そしてまた驚いたのが、麺です。中太のストレートで、むっちりとした食感も楽しめます。

 これは京都の有名製麺所「麺屋棣鄂」。この製麺所は、間違いない美味しさ!!

 まさに「高井田風中華そば」です。本場のすっきり醤油に太麺的なものとは別ですが、これはこれでラーメンとして美味しかった♪

 麺を啜り、スープをいただき、ネギやチャーシューなども堪能しつつ味わっていると、ふいに勝野さんが言いました。

 「私はタバコもお酒もコーヒーもパチンコもギャンブルも、しないんです」

 わぁ、素晴らしいですね。

 「奥さんには、何か趣味を持てばって言われるけど、今まで朝から夜遅くまで仕事だったから、やる時間もなかったんですよ」

 なるほどです(敬服)

 「コロナなんで夜8時とかに終わっても、それから何をしていいか分かりませんよ~」

 な、なるほど……。

 「でも、あと1年なんです」

 えええ? 辞めちゃうんですか?

 「いや、違いますよ~。ここのローンが、あと1年で終わるんです!!」

 おおお、なんという素晴らしいお話!! 38歳の時に35年ローンで購入した、この土地と建物が、ついに完済を迎える!! ということは来年、勝野さんは73歳。時を感じますね。

 ていうか、よく返せるなぁ。というのも、ここ、2軒分なんです。隣の麻雀屋さんも勝野さんの経営(今はコロナ禍ゆえに休止中)。

 (勝野さんは実は麻雀もやらないそう。あくまで経営。なのでルールも知らない)

 「35年前でした。バブルの頃です。1億円借りたんです」

 うわああ。

 「毎月の返済額が83万円」

 うわあああ。

 それが、あと1年で終わる。なんだかスゴい。スケールが、スゴい。

 僕は関係ないのに、僕まで勇気が湧いてきました(笑)

 勝野さんありがとうございました。1年後、また伺おう♪

 らー麺創房 ぱこ
京都府京都市右京区西院六反田町31-6
075-313-8585

はんつ遠藤

1966年生まれ東京在住。早稲田大学教育学部卒業。海外旅行雑誌のライターを経て、テレビや雑誌、書籍などでの飲食店紹介や、飲食店プロデュースなどを行うフードジャーナリストに。ライターとして執筆、カメラマンとして撮影の両方をひとりでこなし、取材軒数は、1万軒を超える。全国のご当地グルメの知識と経験を活かし、ナムコのフードテーマパーク事業にも協力し、中国・上海の日式ラーメンテーマパーク「拉麺競技館」の名誉館長も務める。『日経トレンディ』にてトレンドリーダーにも選出。「週刊大衆」「JAL(Web)」などに連載中。また近年はYouTube【はんつTV】で飲食店を紹介している。ラーメンWalker百麺人も。岐阜高島屋「はんつ遠藤の全国ご当地ラーメンリレー」監修。

著書は『はんつ遠藤のうどんマップ東京・神奈川・埼玉・千葉』『おうちラーメンかんたんレシピ30』『おうち丼ぶりかんたんレシピ30』『東京やきとり革命!』など27冊。

百麺人(https://ramen.walkerplus.com/hyakumenjin/

本人Twitter @hantsendo

YouTube【はんつTV】 https://www.youtube.com/channel/UCgu9hL89X4k5mWpz8BetHjw

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