元祖えびそば野本栄二氏監修! 北海シマエビの旨みがありえないほど溶け込んだ「えびそば味噌」 あら陣(北海道・中標津町)

2020年07月08日 18時00分更新

 お世話になっております。フードジャーナリストでラーメンWalker百麺人の、はんつ遠藤です。

取材件数が1万軒を超えるフードジャーナリスト・はんつ遠藤さん

 僕は1年間に全国をほぼ一周して、さまざまなグルメをテレビや雑誌、書籍などで紹介させていただいてます。もちろんラーメンも。なので、今回から全国各地のラーメンをお届けしようと思っています。

 題して「はんつ遠藤の全国ラーメン探訪記」。よろしくお願い致します♪

 第1回めは、北海道がいいかなと思ったのですが、北海道ってラーメン店が約2000軒あるんですね。どこにしようか迷いに迷って、決めました!

 それは、中標津町(なかしべつちょう)の「あら陣(あらじん)」。

中標津町の名店「あら陣」

 中標津町って、全国の方は殆ど行ったことないと思います(中標津の方、スミマセン)。北海道の東側。道内在住の方でも、訪れたことがある人は案外と少ない。僕は東京生まれ、東京育ちなので、ずっと、北海道の方は毎年気軽に北海道一周しているのかと思ったら、「そんなことできないよ!広すぎるんだよ!」って怒られたことがある(大汗)。確かに面積が九州の約2倍もあるんです。第一、なかしべつちょうって読めないですよね?正確にいうと北海道標津郡中標津町です。

 ちなみに全国では地域によって“町”の読み方が「ちょう」だったり「まち」だったりするので、ややこしいです。これ、日本郵便のWebサイトで郵便番号検索のところを見るといいですよ。カタカナ表記もあるので。

 そんな中標津町は人口が約2万3千人。実は、案外、います。北海道の市町村の中でも上位1/4に入ってます。とはいえ、1位の札幌市は約200万人ですから、比較にならない。主な産業は農業、しかも酪農です。なので、牧歌的というか、ほのぼのした自然豊かな良い町です。

 と書くと、行くのが大変と思われるかもしれません。いえ、根室中標津空港があるんです。羽田空港からもANA(全日空)の直行便が毎日飛んでるので、簡単に行けちゃう(笑)。新千歳空港からは毎日数本も飛んでます。そして空港から「あら陣」まではクルマで約8分。 なんだよ、すぐじゃねーかよ!!

 とはいえ中標津町にはラーメン店が十数軒のみ。その中で、なぜ「あら陣」を紹介するのかというと、こちらは、あの野本栄二氏が監修なのです。

 野本氏は、1997年に札幌市で「らーめん 縁や(えにしや)」を開業。1999年の新横浜ラーメン博物館での「激突ラーメン登竜門」で準優勝、東武百貨店池袋店にも期間限定出店をなさった方。もっと簡単に言えば「日本初の海老出汁ラーメン」を作った方(いわゆる「えびそば」の元祖)で、現在は「縁や」を譲渡し、ラーメンプロデューサーとして全国のラーメン店などで監修、プロデュースなどをなさっています。

 なので、「あら陣」の看板メニューは「えびそば」。味噌と塩、醤油、辛味噌といったバリエーションがありますが、一番人気は、「えびそば味噌」です。

一番人気メニュー「えびそば味噌」

 世界自然遺産 知床の山々、オホーツク海の潮の芸術で日本最大の砂嘴野付半島、雄大な自然に包まれた中標津中標津町はまさに食の宝庫。当地が誇る天然素材、野付半島産北海シマエビ・羅臼(らうす)産昆布・中標津産椎茸、さらには日本海の恵み、積丹(しゃこたん)・増毛(ましけ)・羽幌(はぼろ)産甘海老を贅沢に使ったスープは、まさしく海老の旨みが沸き立っています!

 これ、元祖えびそばの野本氏だからというのもあるんですけど、一番は、野付半島北海シマエビの存在がとても大きいです。僕も野付半島に行ってきましたよ。「あら陣」から、さらに東。クルマで約30分。かなり半島の奥まで行くと、ヤバいです。映画「猿の惑星」の舞台のよう、というか、地の果てみたいになっちゃう。

 漁期は、夏漁(6月中旬から7月末迄)と秋漁(10月中旬から11月中旬迄)の2回なので、ちょうどこの時期に行くとですね、「海紋(かいもん)」というお店で、北海シマエビが味わえます。

 茹でたタイプもありますが、スゴいのは、生きている“生の北海シマエビ”を水槽からすくい、ダイレクトに頭をガっと取って、醤油でお刺身として味わえるのです。

 残酷ですが、もう、甘味たっぷり、とろりとして、ぷりっとして、美味しいのなんの!!(今年は新型コロナウイルスの関係で、営業しているかは、要確認です)

 なので、その北海シマエビをふんだんに使用したスープなわけですから、美味しいに決まってます。

 しかも味噌バージョンは、優しい味噌テイストと合体して、まろやかな口あたりとともに、すっと身体に染み込んでいく感じ。

 麺も、もちろんこだわってます。厳しい寒さと豊かな大地が育んだ中標津産小麦のゆめちからを使用した強い弾力ともっちりとしたコシが特徴の自家製麺。北海道なので、ボリュームもあります。

 僕が伺ったのは、ちょうど一年前ですが、さらに今は海老をナノレベルにパウダー状にできる装置を約600万円とかで導入したそうなので、もっとスープがエビエビしているかも。麺にも海老粉末を練りこむ研究もしているみたい。

 それもこれも、野本氏監修ならでは。ちなみに最近、酵素ダイエットで20㎏痩せたそうです。

野本栄二さん(左・ビフォア/右・アフター)

 なんだかよく分からないけど、スゴいです(汗)。

 ※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。

なかしべつラーメン あら陣
北海道標津郡中標津町東4条南1丁目(あるる横)
0153-78-9955
http://arajins.com/wp/

はんつ遠藤

1966年生まれ東京在住。早稲田大学教育学部卒業。海外旅行雑誌のライターを経て、テレビや雑誌、書籍などでの飲食店紹介や、飲食店プロデュースなどを行うフードジャーナリストに。ライターとして執筆、カメラマンとして撮影の両方をひとりでこなし、取材軒数は、1万軒を超える。全国のご当地グルメの知識と経験を活かし、ナムコのフードテーマパーク事業にも協力し、中国・上海の日式ラーメンテーマパーク「拉麺競技館」の名誉館長も務める。『日経トレンディ』にてトレンドリーダーにも選出。「週刊大衆」「JAL(Web)」などに連載中。また近年はYouTube【はんつTV】で飲食店を紹介している。ラーメンWalker百麺人も。岐阜高島屋「はんつ遠藤の全国ご当地ラーメンリレー」監修。

著書は『はんつ遠藤のうどんマップ東京・神奈川・埼玉・千葉』『おうちラーメンかんたんレシピ30』『おうち丼ぶりかんたんレシピ30』『東京やきとり革命!』など27冊。

百麺人(https://ramen.walkerplus.com/hyakumenjin/

本人Twitter @hantsendo

YouTube【はんつTV】 https://www.youtube.com/channel/UCgu9hL89X4k5mWpz8BetHjw

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