元フレンチの総料理長が放つ絶品ラーメン「 勝本(東京・水道橋)」4

2020年03月05日 12時00分更新

 ラーメンを食べ歩く人は、訪問前に「営業時間」をチェックする。そこで気づくのは、昼から夜にかけて営業するラーメン店の多くは、昼過ぎの時間に一度休憩に入り、夕方から営業を再開すること。

 ラーメン店が「中休み」を取る理由は主に二つ。一つは「売上が下がる時間帯に休憩を取る」。多くの人が昼食や夕食としてラーメンを食べに来るので、その合間の時間で休憩を取るのは合理的なことです。もう一つは「スープの劣化を防ぐ」というラーメン店特有の理由。スープを加熱し続ければ味が変化してしまう。特に魚介系スープの場合は香りが飛んでしまうため、一度火を落として味を整えたり、改めて仕込みをしたりする。

水道橋西通り沿いの、飲食店が立ち並ぶエリア

 2015年に開店した水道橋の「勝本」は通し営業をしている。複数のスタッフがスープを仕込み続けていて、途中で入れ替わってもその状態は常にチェックされている。魚介系を巧みに使いながら、常に安定した味が楽しめるようになっている。ラーメンは3種類の味があり、それぞれにファンが多い。

「中華そば」(730円)

 煮干しを使った澄んだ醤油味の「中華そば」。日本三大地鶏として知られる名古屋コーチンをふんだんに使い、煮干しを中心にした魚介系素材もしっかり感じるスープ。プリッとした中太麺を啜れば口の中に食材の香りが広がる。

「塩そば」(750円)

 鶏をメインにしたスープの中に、アサリを使った塩ダレが旨みを広げている。あっさりした口当たりの中に奥深い広がりを感じるもの。

「味玉濃厚煮干しそば」(880円)

 煮干しの存在感を増し、豚骨スープと合わせた濃厚な一杯は、特に若い人に人気の味。味付玉子は醤油味と塩味で使い分けているというから驚く。

「特製卵かけご飯」(280円)

 コシヒカリを使って丁寧に炊いたご飯も人気。そこに、卵かけご飯専用に選んだ卵をかけて、塩昆布や香の物と合わせて食べると、独特の食後感で満足度は高い。

 この店の店主・松村康史さんは、京都のホテルでフレンチの総料理長を務めた経歴の持ち主。懐かしさの中に新しさを加えた味を次々に作り上げている。2016年には神保町に「神田 勝本」、2018年には銀座で「銀座 八五」を開店させ、それぞれに新鮮な驚きを提供している。

 2020年も新たな動きを予定しているとの事。そのベースにある「勝本」の味も改めて食べておいてほしい。

 

山本剛志 Takeshi Yamamoto (ラーメン評論家)

2000年放送の「TVチャンピオンラーメン王選手権(テレビ東京系列)」で優勝したラーメン王。全国47都道府県の10000軒、15000杯を食破した経験に基づく的確な評論は唯一無二。ラーメン評論家として確固たる地位を確立した現在も年に600杯前後のラーメンを食べ続けている。

百麺人(https://ramen.walkerplus.com/hyakumenjin/

本人Twitter @rawota

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