「鶏⽩湯⿂介」の名店が持つ、行列ができる秘訣 ⾵雲児(東京・新宿)

2020年04月23日 12時00分更新

 ラーメンには様々なジャンルがあるが、最近よく聞くようになったのは「鶏⽩湯(とりぱいたん)」という⾔葉。鶏ガラや丸鶏を使って⽩濁させるまで煮出したスープの事。 「⽩濁スープ=豚⾻」というイメージがあるが、煮出し⽅を変えれば、鶏でも豚でも「清湯」にもなれば「⽩湯」にもなる。いわゆる「豚⾻ラーメン」は「豚⽩湯」であり、その素材を鶏で作れば「鶏⽩湯」になる。

 鶏を⽩濁させたスープのラーメン店は昔からあった。特に京都では数多く、現在は全国チェーンになった「天下⼀品」も、鶏ガラと野菜を煮詰めたこってりスープ。しかし、「鶏⽩湯」という⾔葉⾃体は、2001年に埼玉県川口市で創業した「らーめん まる⽟」の味を、ラーメン評論家の⽯神秀幸さんが名付けたのが最初。その後「鶏⽩湯」を提供するラーメン店が次々と誕⽣。豚や⽜と異なり、鶏を⾷べる事には世界各地の⼈に抵抗がない事もあって、 急速に店舗を増やしている。

 「鶏⽩湯」も味は様々。そんな中、まず⾷べてほしい店が新宿にある。それが、2007年に創業した「⾵雲児」。

店頭だけでなく、向かいの公園にも並びができる⾏列必⾄の店

 店主はイタリアンの世界で修業を重ね結果を出していたが、ラーメンの世界にゼロから挑戦。店主⾃⾝は豚⾻ラーメンが好きだったそうだが、鶏⽩湯は苦⼿な⼈が少なく、幅広い⼈に美味しいと思ってもらえると考え、独学で味を作り上げた。

「らーめん」(850円)

 鶏ガラと丸鶏を煮出し、その原型がなくなるまで煮込んでいる。更に、細かく残った⾻や⾁を濾して、旨みを丁寧に、最後の⼀滴まで絞り出すようにしているという。まろやかで味わい深い鶏⽩湯に、愛媛県産のウルメイワシ煮⼲しや⾼知県産の鰹節など、⿂介系スープを合わせたWスープで、濃いけれども濃さに頼らない、クリーミーさの中に奥深さを感じる⼀杯にまとめられている。

「得製つけめん」(1,100円)

 ⾵雲児の⼈気メニューは「つけめん」。鶏⽩湯⿂介スープに鰹節粉を乗せて、つけ汁にインパクトと深みを出している。⼈気製麺所「⼤成⾷品」に独⾃のレシピで特注した国産⼩麦の中太ストレート麺を⽤い、もっちりした⾷感で濃厚なスープに負けない⼒強さを出している。「得製」では味⽟がプラスされ、海苔・メンマ・チャーシュー・ネギが増量される。

 「⾵雲児」のポイントは味だけではない。スタッフが⼿際よく協⼒して、着席から配膳までの時間が短いのも特⾧の⼀つ。⾏列ができている時でもテンポよく進んでいく。

 営業中の厨房に店主がいないこともあるが、店から離れているわけではない。店主は主に2階の厨房にいて、翌⽇以降に使うスープの仕込みにあたっているという。常にスープから⽬を離さず、常に味を向上させようとしている。その結果が、13年にわたり⼈気を集め続けている結果に表れている。

山本剛志 Takeshi Yamamoto (ラーメン評論家)

2000年放送の「TVチャンピオンラーメン王選手権(テレビ東京系列)」で優勝したラーメン王。全国47都道府県の10000軒、15000杯を食破した経験に基づく的確な評論は唯一無二。ラーメン評論家として確固たる地位を確立した現在も年に600杯前後のラーメンを食べ続けている。

百麺人(https://ramen.walkerplus.com/hyakumenjin/

本人Twitter @rawota

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