チェーン店のような外観でも味は本格派 ラーメン サカモト(東京・昭島)【ZATSUのオスス麺 in 武蔵野・多摩】第56回

2021年05月17日 12時00分更新

 今回のオスス麺は、昭島市にある「ラーメン サカモト」。

JR青梅線の昭島駅・中神駅からそれぞれ徒歩12分ほどのロードサイド店「ラーメン サカモト」

 昭島駅と中神駅の中間のロードサイドにある大箱の店舗で、一見するとファミレスや資本系チェーン店の一つのような気がしますが、実際にラーメンを食べてみると本格派な味わいにビックリします! 

 こちらの店舗は、元々は多摩地区を中心にチェーン展開する「壱徹」というチェーン店の中の一つでした。

 武蔵村山・立川・東大和などを始め、県外にも店舗を置くお店で、多摩地区では割と馴染みがあるお店でした。

 馴染みがあるお店だっただけに、店名が「ラーメン サカモト」に変わっても「看板を掛け替えただけだろう」という先入観を持ってしまいがちでしたが、実際のラーメンは大きく変化し、現在は「壱徹」とは別次元のレベルのラーメンを提供しています!

2014年6月撮影「ラーメン サカモト」オープン当時の店舗外観

 サカモトのご主人は、元々この「壱徹」グループの中で店長を務めた事もある方で、グループ解体後に独立し、「らーめん壱徹屋 昭島店」の跡地を利用して2014年6月23日「ラーメン サカモト」としてオープンしました。

 「壱徹」の解散後に独立となり、店長を務めた事はあっても実際に本格的なラーメン店で修業した事がないので、いざ個人でお店をやると言っても味作りの「いろは」もわからず、かなり苦労されたとの事。

 独学で試行錯誤を重ね、気になる店を食べ歩いて味のイメージを固め、専門書を読み漁り、ネットで調べ、ダシの知識や適正な塩分濃度…… 旨味について…… コクとは何なのか? 等々研究し続け現在のラーメンに落とし込みましたが、未だに完成とは言えないようで、日々改良を重ねて進化し続けているとの話。

 食べ歩きをしている中、八王子の「煮干し鰮らーめん 圓(初代)」で「昔ながらの中華そば」を食べた時に感動をおぼえ、「俺もこんなラーメン作りたい!」と強く思い、ラーメンに対しての本気度が一気に上がったと話してくれました。

 店舗前のポップにも掲げられている「温故知新」がお店のコンセプト。

 「スタンダードを更新し続ける」とでもいうような、懐かしくも新しいと感じてもらえるようなラーメンを提供し、お客さんに美味しいと喜んでもらいたいという思いでオープンし、現在もその思いで営業を続けているとの事。

 実際その思いは、お店の雰囲気やラーメンの味にしっかりと反映されていて、ほっこりした懐かしい居心地良さや食べやすさがありながら、「おっ!」と惹きつける何かをいつも感じさせてくれます。

じんわり煮干し&鶏ガラの「中華そば」

 お店のイチオシは「中華そば」。

 国産鶏の胴ガラに、千葉県産or長崎県産片口煮干しや香味野菜を使用したというスープは、雑味の無い煮干し感がやや強めに感じられ、徐々に鶏のふくよかさが顕れてくるもので、スッキリした醤油の中に優しい甘味が感じられる味わい。

 特徴を出しながらも老若男女問わず食べられる馴染みやすいバランスに仕上げた一杯!

ガツンと煮干し&豚骨の「ニボトン」

 「ニボトン」は、豚のゲンコツや背ガラなどを使用した濃厚な白湯豚骨に千葉県産片口煮干しを大量に加えた濃厚スープで、煮干しの力強い風味と味わいに豚骨の濃厚でクリーミーなコクが合わさったガツンとインパクトのある一杯!

羽釜で炊いた本格豚骨スープの「博多ラーメン」

 ゲンコツ・背ガラ・豚足などを使った濃厚な豚骨スープは、2つの羽釜を使用し時間に差をつけて合わせる事で、濃度と鮮度を保つように気を遣っているというもの。

 ポッテリした粘度がありながらも口当たりは滑らかなもので、ゴリっとした骨っぽい要素とまったりした円やかさを兼ね備え、臭みやクセを抑えながらも濃厚な豚骨感をしっかり楽しめる本格派な一杯!

「博多ラーメン 黒」

「博多ラーメン 赤」

 プラス50円で、焦がしニンニクの風味とコクを楽しめる黒マー油が加わった「黒」や、5段階の辛さから選ぶ事ができる強い辛味の溶け込んだ豚骨スープを楽しめる「赤」に変更する事が可能で、それぞれガラリと表情が変わり、これにハマっている常連さんもいるとの事。

 どのメニューも「替玉」が可能ですが、やっぱり「博多ラーメン」がオススメ!

 すりゴマやにんにくを加えて、デフォルトとはちょっと違った味を試したりするのも替玉の醍醐味!

シビレる辛さ!香るスパイス!「麻婆担担麺」

 どのメニューもオススメですが、私が個人的にツボに入った一杯が「麻辣担担麺」!

 濃厚な豚骨スープに、豆板醤・豆鼓醤・ピーナッツバター・花椒・シナモン・八角・フェンネル・クローブ・青山椒等のスパイスを加えたというもの。芝麻醤不使用ながらも物足りなさは一切なく、どっしりと濃厚な豚骨感に唐辛子系の刺激的な辛味と四川山椒によるビリビリした痺れ感が加わることで麻辣感を楽しめ、更に何種類ものスパイシーな風味高さやピーナッツバターの甘味と奥深いコクが感じられるオンリーワンな担々麺!

ムチムチ太麺を楽しめる「つけ麺」

「うちは自家製麺をしている訳では無いので『麺屋』では無く『スープ屋』という感じになるので、麺が主役の『つけ麺』はあまり推し出してはいないのです」と、冗談交じりにお話していただいた事がありましたが、その「つけ麺」もしっかりしたクオリティに仕上がっていて、豚骨の濃厚さと和出汁っぽい味わい、強めに効いた醤油感と甘味があって、ちょっと他のつけ麺とは違った感じを楽しめます。

 主役となる麺は他のメニューと同様に「山正食品」によるものですが、食べ応えのある太麺を使用し、熟成感のある強い弾力と全粒粉の高い風味が楽しめるものになっています。

「餃子セット」

「唐揚セット」

 バリエーションとして「餃子セット」や「唐揚セット」、他にも「春巻き」「枝豆」などもあり、個人のラーメン専門店ではあまり見かけない「壱徹」の名残とも言えますが、家族連れが多く訪れるお店としてはかなり良いメニューで、名残っぽくなっても排除せずに良いものは残すという柔軟性が素晴らしいと思います。

 「スタンダードを進化and深化させて行きます!」と力強く語ってくれるご主人の作るラーメンは、地域のお客さんに愛される馴染みやすさと、ラーメン好きも納得させる味わい。お店もゆったりしているので、一人でも家族や友達連れでも楽しめるオススメのお店です!

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/Cw0EQCsgJb6X2q7)をご確認ください。

ZATSU

2006年に開設したブログ「ZATSUのラーメン」の管理人。武蔵野・多摩地区を中心にしたラーメン食べ歩きを始めて15年以上。現在は年間400〜500杯程度を食べ、新店コレクターでありながらも老舗店やリピートするお店も多数あり。チェーン店からファミレス、カップ麺までも愛する真性の「ラーメン好き」で、基本的に何でも美味しく食べられる幸せ者。「自分の好みのラーメンを見つけて欲しい」と言う思いをモットーに色々なラーメンを紹介していきます。

本人ブログ(https://zatsu-ke.blog.jp/

本人Twitter @zatsu_ke

この記事をシェアしよう

ラーメンWalkerの最新情報を購読しよう

PAGE
TOP