ラーメンWalkerがテーマを決めて名店店主とともに新たなラーメンをお届けする企画。2023年2月1日~6日は、「鬼は外~福はラーメン!?福を呼び込む節分ラーメン!」をテーマに『志那そば 田なか』が出店! 店主の田中友規さんは、昨年、『真鯛らーめん 麺魚』橋本店主とコラボ出店で「Seaラーメン」、伊勢海老・アワビなど高級食材で創る「至高のかけそば」で大勢のラーメンファンを魅了した。これまでイタリアンの技術×煮干しの創作ラーメンでラーメン業界を席巻してきた田中店主。今回は、和テイスト節分ラーメンを創作! 田中店主の新たなチャレンジを、これまでのラーメンヒストリーとともに伺った。

千葉の海を愛するイタリアン出身イケメンシェフの、ラーメン転生人生

田中友規さんは、もともと都内のイタリアン店で働くシェフだった。22歳のとき、夢だったプロサーファーを目指し、店を辞めて千葉に移住。サーフィンに打ち込みながら、創作料理店で働いた。

将来はイタリアンと創作料理の技術を活かして開業するつもりだった田中さん。その考えをガラリと変える出来事があった。

「『支那そばや』の佐野実さんのラーメンと、『ちゃぶ屋』の森住康二さんのラーメンを食べて、ラーメンってすごい表現が自由だなって感動したんです。丼一杯でフルコースが完成してる。1000円以内でこんなに満足させられる料理って、ラーメンぐらいしかないって思ったんです」

ラーメンの奥深さに魅かれた田中さんは、ラーメン屋を目指し、高田馬場の『俺の空』などいくつかの店で修業を積んだ。

2006年、サーフィンの先輩に誘われて、千葉のラーメン屋で総料理長を務めるようになったのは26歳の時。4店舗を展開する人気店を築き上げ、順風満帆のように見えた田中さんだが、約7年半勤めた店を辞めた。当時から独創的なラーメンを手掛けていたが、「千葉でどんなに新しいラーメンを出しても、メディアには取り上げてもらえない。東京で新しいことをやりたい」と思った田中さん。

2013年4月20日、東池袋に念願の自分の店『志奈そば 田なか』を開業する。

「サーフィンでお世話になった千葉の海に感謝をこめて、千葉の食材を使おうと思って」という田中さんが看板メニューに掲げたのは、動物系不使用の「鯵ニボそば」。今でこそ煮干ラーメンの店が増えたが、当時は魚臭さが苦手な人が多かった。「地元・千葉九十九里の新鮮な魚が海で泳いでいるイメージで作り上げた」というラーメンは、青魚の臭さがまったくない、煮干しが苦手な人がリピートするほどの旨さ。ラーメン評論家からも大絶賛された。

そして、秋葉原の2号店(現在は閉店)では、九十九里の伊勢海老やアワビなど高級食材を使った究極のラーメンを打ち出したり、地元の千葉県いすみ市に、酒と肴、〆に本気のラーメンを出す3号店をオープンしたり、次々と新しいことにチャレンジしてきた。

新発想から生まれた、ラーメンWalkerキッチン限定「節分ラーメン」

今回のテーマは「節分」。「すごい難しいテーマだと思いましたね。節分にちなんで豆や恵方巻をそのままだと、つまんないじゃないですか。ラーメンに盛り込むにしてもありきたりすぎるかなと。そこで、全国のいろんな地方の節分や食習慣、風習を調べたんですよ。地域によって違う文化があって面白いですよね」と、まずは節分を深く掘り下げるところから始めた田中さん。

北海道や東北など大豆ではなく落花生をまく地域があったり、今では全国に広まっている恵方巻きも関西発祥だ。節分のお祝いにけんちん汁を振舞う地域もある。鎌倉の建長寺の初代住職が野菜くずまで無駄なく使った「建長寺汁」が、いつしか「けんちん汁」と呼ばれるようになったと言われている。京都など西日本では、厄除けとして鰯を食べる。鰯の独特の匂いと鰯を焼く時の煙で鬼が逃げると言われ、柊の枝に焼いた鰯の頭を刺した魔よけ「柊鰯」を玄関先に飾る風習もある。

「僕は開業以来、煮干ラーメンを得意としてやってきたから、それで鬼が逃げるという鰯を出汁に使おうと。そこに、けんちん汁の煮物を添えると、和のスープに煮物の甘さが馴染んだときの調和が面白いんですよ」

さらに、江戸時代までは節分に年越し蕎麦を食べる習慣があり、信州・出雲ではその風習が残っている地域がある。

「節分に蕎麦を食べる風習も盛り込んで、長く健康に生きるという意味もこめて、麺に蕎麦粉を混ぜました。蕎麦の風味が意外とラーメンのスープとうまくマッチするんですよ」と、田中さんが自信をもってお届けした麺は、奥様の実家が営む製麺所に発注していることから、自家製麺ならぬ「実家製麺」と呼ばれている。今回の特注麺も、田中さんがすべて調合して発注した実家製麺製だ。

節分ラーメンは、青鬼と赤鬼をイメージして、グリーンとレッドの2種類で提供した。グリーンは柚子三つ葉で和テイストだが、レッドは自家製のラー油をかけて、ちょっとパンチのある辛いラーメンだ。

特製には、恵方巻き用の瀬戸内の海苔をそのままトッピング。「インパクトがあって面白いじゃないですか。この海苔に麺を巻いて、2023年の恵方・南南東を向いて召し上がっていただいてもいいですね」と田中さん。

麺類だけでなく合わせるサイドメニューも、和え玉や九条ネギめしなど充実のラインナップ。とくに「〆鰯炙りご飯」が秀逸だった。炙った〆鰯にガリを添えた酸味のあるご飯物がラーメン店では珍しい仕上がりで、スープをかけていただくと最高の〆が味わえた。

そして、出店最終日には、「鬼退治」という限定メニューが登場した。一杯で青鬼(グリーン)と赤鬼(レッド)が一度に味わえる、嬉しいサプライズだ。欲や怒り、憎しみなど、さまざまな煩悩を取り除いて、新しい年を健康に幸せに過ごせるよう思いをこめてくれた田中店主。そのアイディアとバイタリティには、いつもながら感服させられる。

煮干×イタリアンを極めた店主の、次なる一手は「まぜ中華」?

常に新しいことにチャレンジし続ける田中店主の次なる一手は、東中野の新店オープンだ。

「駅前ですごくアクセスがいいんですが、7.8坪とお店が非常に狭いんです。ラーメンのスープを作るための調理機材が入るスペースがないので、まぜそば専門店になります」。メニューは閉店した秋葉原店でブレイクした「にぼたん」をメインに、「にぼしまぜそば」「まぜ中華」というラインナップだ。

「まぜ中華」という新メニューは、魚介が入らない、中華そばテイストのまぜそばだそう。「にぼたんが結構インパクトある味なんで、魚介が苦手な方々を含めて食べやすくわかりやすい味わいにしました。ビジュアルも中華そばっぽいんですよ」という、新作「まぜ中華」がこちらだ。

オープンから3ヵ月間はレギュラーメニューで、GW明けくらいから得意分野の魚介系をメインにした曜日限定のまぜそばも検討中だとか。

今回の出店は、いすみ店のスタッフが参加。「実は、いすみ店のスタッフは全員サーファーで、3人プロサーファーで、1人はプロサーファーを目指してるんですよ」と、自らもサーファーの田中店主が爽やかな笑顔を見せた。

「中目黒は、新しいジャンルの店ですが、これが面白い方向に行ってくれれば、どんどん店舗展開をできたらと。ラーメンWalkerキッチンでも難題に挑戦させていただいて楽しかったです。頭を働かせてないと思考って固まっちゃうんで、難しいけどいい宿題をもらいました。普段やらない和テイストで食材の組み合わせは、自分の中でも攻めましたね。一杯のラーメンとして丼の中に落とし込めたと思います。これからもお声がけには、ちゃんと答えていきたい。常にチャレンジですね!」。創り上げる麺も、確固たる姿勢も、どれをとってもイケメンな田中店主の次なるチャレンジが楽しみだ。

志奈そば 田なか
東京都豊島区東池袋2-19-2
月〜金 11:00〜15:00/17:00〜21:00、土 11:00〜15:00 日曜休
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。臨時休業など、詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/yuki19800428)をご確認ください。

ラーメンWalkerキッチン
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