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ラーメンWalker発!「未来を輝かせるラーメンストーリーズ」第16話

「理想の町中華」とは? レシピ総数500以上の「ラーメン魔術師」と呼ばれる店主が追求

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 ラーメンWalkerがテーマを決めて名店店主とともに新たなラーメンをお届けする企画。2022年6月8~13日は、千葉を代表する名店、本八幡『魂麺』が出店した。今回は、「理想の町中華ラーメン」をテーマに、誰よりも町中華に造詣が深く、足繁く通ってきた店主の山西一成さんが町中華店さながらのメニュー数で挑んだ。なぜ、山西店主がここまで町中華にこだわるのか? これまでのラーメン人生とともにお話を伺った。

『魂麺』店主・山西一成さん

10代からラーメンを食べ歩き、厳しい修業を経てレシピ総数500超に到達した店主の原点とは

 山西さんがラーメンに目覚めたのは中学2年生の頃。荻窪の名店『春木屋』のラーメンを食べて衝撃を受けたという。「こんなにうまいラーメンがあるのかと、びっくりしましたね」。その頃からラーメンを食べ歩くようになり、ラーメン専門店だけでなく町中華も好きで足繁く通ったという。

 その後、大学を卒業し、4年間のサラリーマン時代を送るが、「やっぱり自分でラーメン屋をやりたい」という思いが湧いてきた。会社を辞めて常連だった松戸の名店『13湯麺』の店主・松井一之さんに「ラーメンを教えてほしい」と弟子入り。厳しい修業で有名な店で2004年には13湯麺の支店『魂麺まつい』を任される。6年間の修業期間を経て、2006年10月には屋号を『魂麺』と改めて独立を果たした。

師匠の松井マスターと。魂麺の13湯麺デーに師匠が来店したり、誕生日をお祝いしたり、今でも深い絆で繋がる師弟

JR本八幡駅南口から徒歩3分。店名通りラーメンに魂を込めて一麺入魂

看板メニュー「魂の中華そば」。焼きアゴなど魚介スープに師匠直伝の自家製麺

 そこから独自の路線で500種類を超える膨大なレシピを生みだすこと15年。このラーメン知識の引き出しの多さが「ラーメン魔術師」と呼ばれる所以である。

 「まず、13湯麺の松井さんに基本をみっちり教えてもらったこと。あとは、私が好奇心旺盛でいろんなものを作ってみたいのと。飽きっぽいんですよね(笑)。旅行も好きで、訪れた地で食べたものを作ってみたいなって思うんです」

 山西さんが作る全国ご当地ラーメンシリーズは、毎年楽しみにしている常連客も多い。膨大なラーメン知識の宝庫から、ラーメンWalkerキッチンでも数々の出店で披露している。

『魂麺』ご当地ラーメンシリーズの代表作、高知「鍋焼きラーメン」(2022年2月2~7日出店)

ラーメンWalkerキッチン史上、最多メニュー総数30種に挑戦

 今回の町中華企画では、町中華好きの山西さんに白羽の矢が立った。一杯の丼の中で味を追求するラーメン専門店が取りざたされる昨今、「本当に凄い料理人って、一人で多くのメニューをこなす町中華の親父なんじゃないかと思うんですよ」と、町中華の凄さを語る山西さん。その魅力を伝えるために、自身でも30種のメニューを打ちたてた。

町中華の店さながらの豊富なメニュー。営業開始後にさらに増えることに…

メニューが豊富で迷う人続出。「迷った方がいいんだよ。迷うのも楽しいんですね」と山西さん

 ラーメンWalkerキッチン史上初の大量メニューだが、「これで最低限。八宝菜とかレバニラとか、もっと一杯やりたいのがあったんですけど、どんどん削ってこうなった。キッチンのガスコンロ数に限りがあって、炒め物がそんなにできないんですよ」と、設備は限界だったが、山西さんの限界は未知数だ。

 また、「町中華は雰囲気も大事」と、山西店主自ら暖簾や旗を用意してくれた。「町中華って、昼間から親父たちが競馬新聞を読みながら、テレビ見ながら、酒飲んで、つまみ食べて、ああいうゆるい雰囲気が好きなんですよね。自分も呑兵衛なんで(笑)」。それは何十年もかけて出せる雰囲気だと思うが、あえて極意を伺うと、「一生懸命見せないことですかね。そのほうが店の雰囲気もいいと思うんです。ちょっと力抜いたほうがおいしいものができるんだって」と山西さん。

山西店主自ら暖簾や旗を持参して、店前から町中華の雰囲気づくり

 今回、町中華企画にチャレンジして大変だったことは、「チャーハン(笑)。もう手が痛くて。みんなが考えてるよりね、これだけ種類があると仕込みも大変ですよ。それを毎日ずっと作り続けてる町中華の店って凄い! 尊敬しますよ」。しかし、町中華の店がどんどん廃業していく状況を寂しいと語る。「いろいろ理由があるけど、まず店主が年をとって代替わりしたくても後継ぎがいない。若者が古いお店に入りづらい。オシャレじゃないからね。お酒を飲む人が少ない。そういうのがあって少しずつ廃れてしまって。だから、少しでも盛り上げたいんですよ」。

中華鍋を振るう山西店主。しっとり仕上げたチャーハンは絶品

町中華でお馴染みの「半チャンラーメンセット」

日本の文化を未来に繋ぐため、55歳になったら町中華はじめます!

 これだけのメニューを、実はまったく試作しないで臨んでいる。「頭の中でイメージしたら全部できちゃうんですよ。店の限定も、ほぼ試作も試食もしない。自分のイメージした通りの味になっちゃうんですよね」と、山西さん。凄いことをさらっとやってしまうところが格好いい。

人気のカツ丼や定食などご飯物の評判がよく、ラーメンを食べない人も多かったとか

 山西さんのイメージ通りの味の秘訣、寸胴など仕込みを見せていただくと、「ブランド鶏とか高級食材を使ってるわけじゃなく、普通の食材でうまい味を作り、手ごろな値段で提供してる。それが町中華の親父たちなんだよね」。そのために、まずは腕を磨くこと、それは1年、2年じゃ作れないと、山西さん。

スープは鶏ガラ豚ガラで丁寧にアクをとりながら仕上げる、昔ながらの町中華のやさしい味

 「今は分厚い出汁が流行で、それもめちゃくちゃ美味しいんですよ。でも、毎日食べるなら町中華なんです。それは胃腸が疲れないから。強い人は濃厚な出汁でも濃い味でも何ともないだろうけど、自分は酒飲みだからお腹が弱くて。やっぱり食事って元気にならないとだめなんだよね。町中華は味付けも控え目で、やさしい味。食べると元気になります」

チャーシューも2種類仕込み、こちらは焼き豚

「タンメン(塩味)」は山西店主もおすすめ。「卵が余ったので」と最終日に味玉も追加

 少しでも町中華の凄さを知ってもらえたらという思いから始まった、今回の出店。「おいしい」「メニュー一杯で選べない!」「楽しい!」「3日続けてきた」と大盛況で幕を閉じた。

 「町中華って、昔から日本人の食生活の中に当たり前のようにある、なくてはならないもの。日本の文化ですね。その当たり前がいつの間にかなくらならいように、知ってもらえたらうれしいです」

 無事やり遂げた山西店主なら、町中華の域に到達しているのではと伺うと、「まだまだ敵わないです。まだ探している所ですかね(笑)。実は、55歳になったら町中華やるって決めてたんですよ。本八幡には町中華の店がなくてね。あと数年、模索しながら目指します!」。町中華を愛してやまない山西店主が、自ら先頭に立って大切な日本の文化を残していく日が待ち遠しい。

困難と思われた企画を「断ったら負けだと思って(笑)」と、最後までやり切った山西店主

魂麺
千葉県市川市南八幡3-6-17
平日・土11:30~14:00、18:00~24:00 日・祝11:30~14:00、18:00~23:00
木曜休(※祝日の場合営業)
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。臨時休業など、詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/konmen_ramen)をご確認ください。

ラーメンWalkerキッチン
埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3-205
04-2968-7786
JR武蔵野線「東所沢」駅徒歩10分
https://ramen.walkerplus.com/kitchen/

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