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ラーメンWalker発!「未来を輝かせるラーメンストーリーズ」第22話

つけ麺、まぜそば、冷やし中華……すべてに魂をこめて作り上げた一杯一杯。夏イチな一杯は決められるのか!?

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 ラーメンWalkerがテーマを決めて名店店主とともに新たなラーメンをお届けする企画。2022年7月27日~8月1日は、上板橋『魂の中華そば』が初出店! 百麺人・大衆料理研究家の小野員裕さんの著書「魂のラーメン」を受け継いだ屋号で、魂をこめた一杯をつくる。小野さん公認の新名店だ! 今回のテーマ「~つけ麺vsまぜそばvs冷やし中華~あなたの”夏イチな魂の一杯”を決めよう!」に寄せて、定番メニューから人気の限定まで提供した。果たして夏イチな一杯はどれだったのか!? 6日間、魂をこめてやり切った、若林洋明店長に伺った。

『魂の中華そば』店主・武藤雅孝さん(左) & 店長・若林洋明さん(右)

独学で作り上げたラーメンは東池袋大勝軒リスペクトの中華そば

 店主の武藤雅孝さんは、元はミュージシャンだったが、実家に戻って家業のタクシー会社を継いだ。その傍らで、ずっと夢だったラーメン店を始めたいと思っていた。子供の頃から慣れ親しんだ味は、ラーメンの神様・山岸一雄さんが作る東池袋大勝軒の中華そば。大勝軒のレシピは至る所で紹介されている。だいたいの材料を元に試行錯誤しながら中華そばを作り上げていき、2015年12月11日、上板橋で『魂の中華そば』を開業した。

ミュージシャンから転身。夢だったラーメン店に魂をかける、武藤店主

 店名は、武藤さんが以前からファンだった百麺人・大衆料理研究家の小野員裕さんの著書『魂のラーメン』が由来。以前、たまたま見かけた小野さんに「『魂のラーメン』読んでます!」と声をかけて知り合いになったという武藤さん。店を始めるにあたって、「『魂のラーメン』からあやかって、店名を『魂の中華そば』にしたいんです」と連絡をしたところ許可を頂いて、小野さん公認となった。

東武東上線上板橋駅南口から徒歩2分。小野員裕さん公認の店名が刻まれた店

 若林さんが武藤さんと出会ったのは、『魂の中華そば』オープンから数ヵ月経った頃。地元、秩父で会社勤めをしていたが、仕事を辞めて東京に出て、大学の先輩のところで働いていた。「武藤さんはその先輩と飲み友達で、一緒に飲んでいた時、これから仕事をどうしようかと悩んでいたら、武藤さんから『タクシーの運転手やる? それともラーメン屋やる?』って聞かれて。じゃあラーメンですかねって(笑)、全く飲食経験も修業経験もないのに誘われたんです」と若林さん。

 2016年3月に一旦店を閉めて、内装をもう一度作り直す間に、二人で味のすり合わせをした。「何か月かずっと二人でラーメンだけじゃなく、いろんな飲食店を食べ歩きましたね。これ食べて、しょっぱい、甘い、薄い、濃い、いろんな味覚を、『お前どう思う? 俺もそう思う』とか、そうやって舌の感覚を共有していきました」。5月に店を再開して、すぐ8月には自家製麺に切り替えた。

「二人とも素人だから大変さをわかってないんですよ。製麺機の工場で作り方を教えてもらって食べてみたら、自家製麺のほうが旨いじゃないかと(笑)」。自家製麺を始め、試行錯誤していたスープと麺の相性がバチッと決まったのが、翌2017年1月。『ラーメンWalker』に掲載されたことも後押しして、行列が絶えない店になっていた。

「中華そば」。東池袋大勝軒をリスペクトした入魂の一杯

夏イチな魂の一杯!エントリーはつけ麺、まぜそば、冷やし中華…

 今回のテーマは、「~つけ麺vsまぜそばvs冷やし中華~あなたの”夏イチな魂の一杯”を決めよう!」。看板の中華そばをはじめ、つけそば、油そば、限定の冷やし中華を提供した。

 要のスープ作りは朝6時から始まる。豚骨や挽肉など動物系の清湯スープを前日から寸胴でコトコト煮込んで、翌日その清湯スープに鰹や煮干など魚介系と鶏ガラを追加して濁ったスープに仕上げていく。2日がかりのスープだ。

2日がかりで仕上げるスープは、中華そば、つけそば共用

「特製中華そば」。通常より海苔、メンマ、チャーシューが増え、味玉付き

 大勝軒の中華そばだけでなく、荻窪の丸長にも二人で食べにいき、丸長リスペクトのつけそばを目指した。パンチの効いたつけ汁には真っ黒な粒々が浮く。一味唐辛子を油で焦がしたものだ。自家製麺を味わうなら、つけそばを一番に選ぶだろう。

丸長リスペクトの「特製つけそば」。理想の味を求めて日々進化

 麺はすべて共通だ。つけそばは、中華そばより長めに茹で、水で〆ることでコシを出して、濃いスープに負けないようにしている。店では、清湯スープを使ったラーメンも提供しているが、同じ麺を揉んでから茹でるという。

当初、製麺機で50針縫う大ケガした若林さん。まさに血と汗の結晶といえる自家製麺

ちょっと柔かめの麺は、スープを吸って麺自体が美味しい

 最終日には、まぜそばの括りで、油そばを提供した。熱々の麺の下には、魚介系の油と甘辛く酸っぱいタレとメンマやチャーシュー、ネギがたっぷりと。すべてを混ぜ合わせて頂く、食べ応えのある一杯。店では裏メニューの油そばが最終日だけ、数量限定なしのフル提供という嬉しいサプライズだった。

「油そば」。麺の下にあるタレと具を混ぜてそのまま啜り、途中で生卵を混ぜてもよし

 冷やし中華も、最終日に数量限定で提供。麺は、氷締めでつけそばよりもキンキンに冷やして、器も冷やして盛り付ける。「うちの冷やし中華は、カラシじゃなくて店独自の辛味、唐辛子系のラー油をベースに作ってるんです。端に添えた辛味を混ぜ合わせると、めっちゃ美味いんですよ。シンプルな冷やし中華なんですけど、ガラッと変わります」。もともとその辛味は、「冷やし中華にはラー油派」という若林さんが、ラーメン屋になる前から趣味で作っていたものだとか。麺上にはキュウリ、メンマ、チャーシュー、玉子、海苔と具も至ってシンプル。「どちらかというと麺を食べる一杯です」(若林さん)。

限定「冷やし中華」。辛味を混ぜることでコクがでて辛味が増す

夏でも汗をかきながら熱々を啜る、それが魂の中華そば!

 夏に食べたい麺類が出そろったところで、若林さんの夏イチの一杯も伺った。「地元の秩父で高校時代に部活帰りに通った、大盛りのラーメン屋。部活帰りに腹ペコなところに腹いっぱい食べられるっていうのが思い出ですね」と、夏でも熱々の中華そば派だった若林さん。「だって、昔は冷たいものが置いてない、ラーメンだけのお店がいっぱいあったじゃないですか。やっぱり、汗かきながらの中華そばもいいんですよね。フーフーって(笑)」。

いつもは「中華そば」の注文数が多いところ、「つけそば」も同じくらい出た

 今年の12月でオープンから7年。独学で試行錯誤しながら作り上げたラーメンの味は、「これからも、この方向性で行きたい。それは間違いないですね。ワクワクするラーメンもあるんですけど、うちはどっちかというと、昔ながらの味を安心して食べられる店。こういう感じだよね、これこれって言われるようなね」。

乾燥メンマをじっくり水で戻してから味付けしていく。安定の味は丁寧な仕事から作られる

 イベント出店も初めてのところ、最終日まで無事にやりとげた若林さんが、「イベントって面白いですよね。他のお店の厨房で作るのも初めてだし、この店だからこその工夫されてる点とか配置とか、ちょっとした小技を利かせてるところか勉強になりました。店に戻ったらうちもこうしようとか、逆にここはこっちのほうがいいんだろうなと気になったり、そういうの含めて面白いかったです。店とは全然違うお客様もいれば、遠くから常連さんたちも来てくれたり…嬉しいですね」と一息つきながら語ってくれた。

「熱いものは熱く、冷たいものは冷たく」一杯一杯に魂をこめて提供した

 お客様の中には、地元の友人や東所沢で知り合ったばかりという方も来店されたとか。「営業後は飲みに行って、東所沢ライフを満喫しました(笑)。そこで知り合った人たちが食べにきてくれて、それも嬉しかったです」という若林さんは、地元でも同じ調子らしい。飲みに行った店で出会った人に気軽に「食べにきて!」と声をかける、気さくな人柄が地元でも愛されているわけだ。

 有名店出身でもない、独学でこれほどの人気を誇る『魂の中華そば』。この確かな味に魂を揺さぶられてた人たちが、上板橋まで足を運ぶに違いない。

猛暑の中、「楽しんでやりきった」という若林店長と魂の中華そばスタッフ

魂の中華そば
東京都板橋区上板橋1-25-10
11時30分~14時30分/18時~21時
土・日・祝 11時~16時/18時~20時
月休 ※祝日の場合は営業、翌日休み
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。臨時休業など、詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/waka1002kamiita)をご確認ください。

ラーメンWalkerキッチン
埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3-205
04-2968-7786
JR武蔵野線「東所沢」駅徒歩10分
https://ramen.walkerplus.com/kitchen/

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