ラーメンWalker発!「未来を輝かせるラーメンストーリーズ」第26話

千葉の食材が新たな味を生み出した! 家系×煮干ラーメンという革新的な一杯

2022年10月06日 12時00分更新

 ラーメンWalkerがテーマを決めて名店店主とともに新たなラーメンをお届けする企画。2022年9月14日~9月19日は、柏の大行列店『王道家』が昨年に続き2度目の出店。テーマは、~「千葉は最高だ!」~食材の宝庫「千葉」を味わうラーメン。千葉の食材を使って、家系×煮干ラーメンという王道家初の最高の調和を生み出した。家系の伝統を守りつつ新たなチャレンジをし続ける、店主・清水裕正さんに出店の全容を伺った。

『王道家』店主・清水裕正さん

家系ラーメンに心血注いで紆余曲折。たどり着いた唯一無二の味

 清水裕正さんのラーメン人生は、高校生の時、ラーメンショップで食べたラーメンに衝撃を受けたことから始まった。ラーメンを食べ歩き、いつしかラーメン屋になろうと決意し、門戸を叩いたのが家系の総本山『吉村家』。しかし、すぐには雇ってもらえず、1年ほど断られ続け、やっとのことで弟子入りが認められたのが28歳の時だった。一日も早く独立したかった清水さんは、わずか半年ですべての仕事を覚えて修業期間を終えた。

 そして2003年1月、入門から1年で柏に『王道家』を開業する。吉村家直系の看板を掲げて開店したものの、思ったほど客足が伸びず、自身のラーメン作りも行き詰まる。そんな逆境にもめげず、3年かけて一から修業をやり直し、現在の味を作り上げていった。

「ラーメン」。上質な鶏ガラを大量に炊き、熟成させたスープは、一度食べたら忘れられない味

 苦心の末に作り上げたラーメンは評判を呼んだ。行列の絶えない超人気店になり、いつしか家系四天王とまで呼ばれるようになった。人気とともに「弟子を育てたい」「自家製麺に挑戦したい」と、清水さんがどうしてもやりたいことが湧いてきた。しかし、直系のままでは限界があった。

 2011年、清水さんは吉村家直系から離れる決意をする。そして今日まで、家系の伝統を守りながら自由な発想で『王道家』を発展させてきた。

独自開発で十数年、時間をかけ苦労して作り上げた『王道家』自慢の自家製麵

JR・東部野田線柏駅西口から徒歩6分。水戸街道に面した店前には、常に行列が絶えない

千葉の食材を主役に作り上げた、革新的な家系×煮干ラーメン!

 挑戦し続ける清水さんが、今回のテーマでまず考えたのは、生まれ育った千葉の食材。千葉は工業も商業も全国トップクラスだが、山の幸、海の幸も豊富で農林水産業が盛んな県だ。「もっともっと千葉の食材を使って、いいものを作れると思ったんだよね」。そこで、豚など動物系メインの家系ラーメンのスープに、普段は使わない煮干を合わせてみたという清水さん。その中に家系らしさ、『王道家』らしさも出しながら作り上げたのが、家系×煮干ラーメンだ。

千葉の片口イワシを主役に数種の煮干をブレンドして炊き上げた煮干スープ

ラーメンWalkerキッチン限定「煮干ラーメン」

 千葉の片口イワシをメインに数種の煮干をブレンドしたスープに、大量のガラを炊き熟成させた王道家自慢の豚骨スープを合わせた味は、「千葉の食材を使ったからこそ、ここまで美味しいのか!っていうラーメンができたんだね」と清水さん。王道家名物の燻煙チャーシューには、千葉県の柏幻霜ポークを使用した。「普段使ってないものだから、どうなるかわからない状態で作ったら、すごい美味しい! 柏幻霜ポークがこんなに美味しいと思わなかったよ。改めて千葉の食材のよさを再認識したね」。

王道家自慢の燻煙チャーシューが、千葉・柏の産地豚を使用してグレードアップ!

 そして、いつものモチモチの自家製太麺を、煮干スープに合わせて低加水細麺に変えてきた。「うちの麺でも何回もテストしたんだけど、俺の判断としては合わない。今回のスープは濃厚だけど、少しだけさっぱり目に作ってるから、敢えてパツパツの麺でやってみようかなと」。今までの麺とはまったく変えて、今回の煮干ラーメンのために製麺所に依頼して新しく開発したのがこの麺だ。

煮干スープの中から出てきたのはパツパツの低加水細麺! 意外と思いきや相性抜群

美味しいものを自分なりに作りたい。その思いから生まれた“俺の味”

 もう一つ提供された、濃厚油煮干ラーメンでは、さらに千葉の煮干をふんだんに取り入れている。「もっと煮干感を出したいから、千葉の煮干を使った煮干油を作ってかけて、煮干の粉もふってる。煮干粉は、俺が配合したやつだから美味しいよ! もともと商品としてあったものだけど、それを敢えて千葉の煮干しを使って、また新しい煮干粉を作ったの」

ラーメンWalkerキッチン限定「濃厚油煮干ラーメン」

 卓上には、店でもお馴染みの刻み生姜。店舗には無限ニンニクなど豊富な調味料が控えているが、そのなかで刻み生姜を敢えてのチョイス。「選択肢を増やさないで、これだけ食べてくれって形で選んだんだ」と、清水さん。煮干ラーメンに最適かつ食べる人に寄り添って、細かなところまで考えられていた。

卓上には刻み生姜、胡椒、唐辛子

「九州とんこつラーメンには紅ショウガというように、家系ラーメンは生姜がセットになってると思うんですよね。それに家系ラーメンだけでなく、いろんなラーメンに結構合うんですよ。関東で、この生姜が流行ってくれればなって、密かな期待も込めてます」

 さりげなく置かれている、刻み生姜。しかし、開発に15年くらいかかっているという。「1から10まで自分で作ったから。これ、普段あまり言ってないけど、あの味付けにはものすごいこだわったよね」と、清水さん。

刻み生姜を麺やスープと絡めると、爽やかな辛味が後をひく。家系だけでなく煮干にも好相性

 本当の意味での独立から、麺も刻み生姜も、自分なりに作ってみたいという思いから、ラーメンのすべてを自ら作り続けてきた。いま、清水さんの原点でもあるラーショの立ち上げでも、その思いは同じだ。ラーメンショップには、クマノテと呼ばれる独自の調味料がある。

「学生の頃、最初に食べた時からこの年になるまで、どういう味付けなのかなと、ずーっと考えてた。美味しいなって思った時から、自分なりに作ってみたいと思って。いまは、同じ味に近づくんじゃなく、俺の味でいいと思ってる」

ラーメンに向き合う清水さんの眼差しは真剣そのもの

 清水さんのラーメン作りにかける熱量のすごさにも圧倒されるが、キッチンではお客様へ声をかける姿が印象的だった。「接客で一番大事なのは、いらっしゃいませ、ありがとうございました、大きい声で言ったとか云々じゃない、感情のやり取りだと思うから。最終的にはひと対ひと、そのツールだからね、ラーメンは」。店にも立つが、表に出てさまざまなことに挑戦する清水さん。店に清水さんが不在でも、ラーメンの中にその思いが詰まっている。

「勝利って、みんな勝つことだけを言うんだけど、勝ったことを利として初めて勝利なんだよ。それで何か役立てることができて、本当の勝利」

 千葉のため、どういう味になるかわからない状態で始まった、今回の挑戦。「改めて千葉のすばらしさを知ることができた」と、出店を終えて笑顔の清水店主。また次の挑戦で、みんなをアッと驚かせてくれるだろう。

パワー全開の清水店主と王道家スタッフ。大盛況で6日間を完遂!

豚骨醤油ラーメン 王道家 柏店
千葉県柏市明原1-7-26
火~土11時~15時/15時30分~25時
日11時~15時/15時30分~24時
月曜休

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。臨時休業など、詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/oudouyakashiwa)をご確認ください。

ラーメンWalkerキッチン
埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3-205
04-2968-7786
JR武蔵野線「東所沢」駅徒歩10分
https://ramen.walkerplus.com/kitchen/

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