ラーメンWalker発!「未来を輝かせるラーメンストーリーズ」第25話

自家製ラー油に10種の香辛料をブレンドしたタレに絡まる自家製麺。ほどよい辛さと痺れで包み込む、ドリーム担々麺!

2022年09月29日 12時00分更新

 ラーメンWalkerがテーマを決めて名店店主とともに新たなラーメンをお届けする企画。2022年9月7日~12日は、赤羽『自家製麺ほうきぼし』が出店した。今回のテーマは、「ドリーム担々麺!~担々麺を味わい尽くす~」。2011年、18歳で開業した女性店主・毛利友紀乃さんが、あれから11年経ち母となって帰ってきた。ラーメンWalkerキッチンで初披露した看板メニューの担々麺は、すべての人をやさしく包み込む愛情あふれる一杯だ。

『自家製麺ほうきぼし』 店主・毛利友紀乃さん

18歳の女の子がラーメン店を開業して11年!堅実なラーメン作りで大躍進

 毛利友紀乃さんは、子どもの頃からラーメン好き。祖父はかつて中華料理店を営み、父も祖父の店を受継ぎ脱サラしてラーメン店を開業していた。祖父の店でアルバイトをしたり、父に連れられてラーメンを食べ歩き、食べるだけでなく自宅でパンやうどん、蕎麦など料理を作るのが好きだったそう。「その中のひとつにラーメンもあって、パスタマシーンで麺も作ったりしてました」と、ラーメンも自作するほどだった毛利さん。

 将来のことを考えたのは、高校卒業の時。自分が何をするか思い悩んでいたら、たまたま家の近くに空き物件の話があった。

 「母から、その物件で一緒にラーメン屋を始めようと持ちかけられて。その店で行列する夢を見たって言うんですよ(笑)。だから修業したわけでもなく、ただラーメンが好き、料理が好きっていうことから始めたんです」

2011年4月13日、母が店主、毛利さんが店長として『自家製麺 ほうきぼし』はオープンした。開店当初は、修業経験のない状態で始めたうえ、JR赤羽駅からも南北線志茂駅からも徒歩約10分の立地で、来客数もまばらだった。それが、有名ブロガーが来店して紹介され、その年の9月に開催した「大つけ麺博」に出店したことから一気に注目されるようになった。

志茂の店で創業した頃の毛利さん。母と二人三脚で店を切り盛りしながら、あっという間に繁盛店に

 もともと料理好きだった毛利さんは、店の目玉となる汁なし担々麺を自ら作り上げた。

「最初に美味しい自家製麺ができたんです。それに辛いものが好きだったから担々麺にしようと試作を重ねていたら、美味しいのができた!って感じで、家族に試食してもらって、いろいろ意見を参考に完成したんです」

 その頃、純粋に美味しい味を求めて訪れる人や常連客もついていったが、メディアが取り上げたのは 18歳の “美人すぎる店長“。高校卒業後すぐ18歳という若さから”子供店長“という呼び名でも親しまれてきた。そんな周りの反応を毛利さんは、「ちょっときつかったですけど(笑)、それでお客さんがいっぱい来てくれたらいいなと、家族のためだと思ってがんばってました」と、当時を振り返って語ってくれた。

現在は赤羽駅前に移転。カウンターだけの店からテーブル席も増え、家族連れでも入りやすい店に

 2013年には、父の店を「自家製麺 ほうきぼし 神田店」としてリニューアル。2016年には赤羽駅前に出店し、現在は志茂の創業店を閉じて本店を移転している。さらに、母から店主を引き継ぎ、メニューやオリジナルカップ麺など商品開発にも取り組みながら、茅ケ崎、関内にも積極的に店舗を展開していった。

父の店『萬珍楼』からリニューアルした神田2号店。『ほうきぼし』は、父が好きなSalyuの曲「彗星」から命名

 そして今回、1年数ヵ月間、店の表舞台から姿を消していた毛利さんが、母となって帰ってきた。その陰には、毛利さんを支える家族の姿があった。父や母だけでなく、弟や妹も各店に立ち、祖父母は裏方でと、『ほうきぼし』は家族やスタッフの協力のもと大きくなっていった。

みんなが待ち望んだ担々麺!スパイシーさとさまざまな食感がクセになる

 今回の「ドリーム担々麺!~担々麺を味わい尽くす~」というテーマは、『ほうきぼし』の得意とするところだ。「いろいろ考えていたんですけど、店の推しの味を知ってもらおうと思って」と、毛利さん。お客様をお待たせしないよう、麺は湯で時間4分の一回り細い自家製麺を使用したが、その他、スープも具材も店の味そのままを提供した。

スパイシーな中に旨味あふれる「特製汁なし担々麺」。特製には温泉玉子、海苔、チャーシュー追加

 たっぷりかけられた肉味噌や底のタレを混ぜ合わせて麺を啜ると、スパイスの風味と花山椒の痺れ、ほんのりとした辛味。野菜や海苔、チャーシューなどのトッピングのほかに、揚げ麺やナッツなどのサクッカリッとした食感も楽しめる。オープン当初は強烈な辛さも評判だったが、「小さいお子さんと一緒に来てくださるご家族など、いろんなお客さんが増えたので、より多くの方が食べられるよう基本の味はだんだんマイルドになりました」(毛利さん)。卓上調味料で辛さの調整や、自分好みにカスタマイズすることで最後まで飽きずに楽しめる。

 合わせて食べ比べたいのが「汁あり担々麺」。汁なしのスパイシーさはそのままに、鶏ガラや野菜などでじっくり炊いたスープに甜麺醤を加えた奥深い味わい。合わせた平打ち太麺は、汁なしとはまた違った食感で啜り心地もよく、スープの旨味がたっぷりと絡む。

真っ赤なスープの「汁あり担々麺」は、見た目よりマイルドな辛さでスープを飲み干す勢いの旨味

 出店には、毛利さんと弟の太一君、スタッフが加わり、万全の体制で臨んだ。ラーメンを待ちながらオープンキッチンに目を向ければ、毛利姉弟の絶妙なオペレーションを垣間見ることができる。こういうのもイベントならではの楽しみの一つだ。

毛利さんが店内の様子をうかがいながら裏方に回れば、太一君がメインキッチンに立つ

太一君が前日からキッチン入りして仕込んでくれた渾身のスープ

子どもも安心して食べられる健康志向の担々麺を目指して

 これまでもさまざまなメニューを開発してきた毛利さん。「出産して子どもができたこともありますけど、そこから考え方がガラッと変わりました。いまは、健康志向のものも作りたいと思っていて、それをどうやって落とし込んでいくか考えているところです」。これまでも手作りにこだわってきたが、食材へのこだわりも、今よりもっと追求していきたいという。そんな母となった思いから提供されたのが、子ども向けの醤油ラーメンだ。

「丸鶏醤油ラーメン(子ども用)」。丸鶏を使ったやさしいスープに麺も少な目。子どもも食べやすい仕上がり

 今回、ブランク明けで久しぶりに厨房に立って、オープン当初の気持ちを思い出したという毛利さん。待ち望んでいた多くのお客様が次々と来店するなか、慣れないキッチンで営業しながらオペレーションも速やかに整えていく姿がうかがえた。

「もう体がバキバキ(笑)。母とボロボロになりながらやってた頃を思い出します」(毛利さん)

 これほど人気の汁なし担々麺。それは11年かけて毛利さんにとって大切な存在となったという。

「汁なしは、家族の一員みたいな感じになってきましたね。だからこそ、もっと食べやすいようにしたり、商品開発にも力を入れていきたいですね。お店ももう少し整えて、子どもに誇れるようなお店にしたいです」と、毛利さん。健康的なラーメンのほかにも、作りたいラーメンがどんどん浮かぶそうで、その熱い思いとは裏腹にゆっくりと一つひとつ話してくれた。

 その名のごとく、彗星のように現れて瞬く間に人気店になった『ほうきぼし』。家族で作り上げてきたこの店を、これからも大切な家族とともに話し合い協力しながら、また少しずつ成長させていきたいという毛利さんの思いと担々麺を、すべての方にお届けできた6日間だった。

弟の太一君とスタッフのサポートのもと、久しぶりの出店をやり切った毛利店主

自家製麺ほうきぼし 赤羽駅前店
東京都北区赤羽南1-3-2 真木ビル 1F
月~土 11時~15時/18時~22時 日祝 11時~19時30分
不定休

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。臨時休業など、詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/HoukiboshiComet)をご確認ください。

ラーメンWalkerキッチン
埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3-205
04-2968-7786
JR武蔵野線「東所沢」駅徒歩10分
https://ramen.walkerplus.com/kitchen/

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