巷でよく目にし、全国各地で食べられる「チェーン展開型」のラーメン店があります。
大規模なチェーン店、セントラルキッチンのスープや麺を用いたラーメン店、そして“資本系”と呼ばれるお店などは一部のラーメンフリークの間では軽視される事があります。
確かに、個人で丁寧にスープ作りをしているお店と比べると、一杯にかける思いや労力は比較にならないのかもしれません。
ただ、数々の企業努力を経て全国各地でたくさんのお客さんに楽しんで貰えるようになっているのも事実で、だからこそ多店舗展開が可能となっているのです。
かく言う私も、食べ歩きを始めたばかりの頃は大規模なチェーン店を軽視する傾向にありました。というよりも、チェーン店に限らず辛口で欠点をつく方が「通」っぽい気がしていたので、大した知識もないのに「あそこはダメだ」「あれはたいして美味しくない」と偉そうなことを言っていました。
ところが長く食べ歩きをしているうちに、「欠点」を探す食べ方は面白くない(美味しくない)と感じるようになりました。
その思いは段々と強くなり、色々なラーメンやお店を知れば知るほど、それまでとは真逆な考えとなり、「欠点」ではなく「美点」や「長所」を探すようになりました。
すると、チェーン店であろうが個人店であろうが、カップラーメンであろうがインスタントラーメンであろうが、それぞれの良さを見出し「美味しい」と楽しめるようになりました。
ただ、全てのラーメンを同じ土俵で楽しむのではなく、カップ麺・インスタント麺・チェーン店や工場スープ使用店・店舗仕込みのお店など、私個人としてはそれぞれベクトルが違うものと考えて、それぞれの視点で楽しむようにしています。
その視点でそれぞれ楽しく食べられて美味しいと感じられればそれで良いと思いますし、変に壁を作らない方が楽しく食べ歩き出来るのだという結論に至りました。
そこで今回は、全国にチェーン展開しているオススメのお店の一杯を紹介させていただきます!
【博多一風堂】
◆豚骨ラーメンを提供する博多発祥のお店で、全国に130店舗・海外に14店舗を構える人気店。
《武蔵野・多摩地区の店舗》吉祥寺店・セレオ八王子店・ルミネ立川店・町田店・南町田グランベリーパーク店
基本の「白丸元味」と迷いましたが、私のオススメは「赤丸新味」。
シルキーな滑らかさのある口当たりで豚骨の臭みは一切ないマイルドな味わいのスープに、博多ラーメンらしい低加水の細麺が合わさった一杯!
軽く浮かべられた背脂や「オリーブ香油」というオリジナルの香味油がコクと旨味を出していて、凄く飲みやすく仕上げながらも特徴をしっかりと出し、そこに特製の辛みそが加わる事でさらなる味の奥行きを楽しめます。
【来来亭】
◆京都風のラーメンを提供するお店で、全国に200店舗以上構える人気店。
《武蔵野・多摩地区の店舗》武蔵村山店・小平仲町店
とにかく元気で明るくサービス精神旺盛な「来来亭」オススメの一杯は、「ラーメン(ネギ多め・背油多め)」。
あっさりしながらも鶏の風味と旨味を存分に感じられるスープと濃いめの醤油とがビシッと合わさった少し懐かしさを感じる優しい味わいに、背脂のこってり感と旨味が合わさって厚みのある味わいを楽しめ、サックリとした低加水ストレート麺とのマッチングもバッチリ!
麺のかたさ・醤油の濃さ・背脂の量・一味唐辛子の有無・ネギの量・チャーシューの部位など、好みを事細かく調整してくれるのも嬉しいです。
【幸楽苑】
◆福島県の会津若松市で創業した低価格ラーメンを提供する「幸楽苑」。全国400店舗以上を構えるロードサイドでもお馴染みのお店。
《武蔵野・多摩地区の店舗》イーアス高尾店・青梅店・調布深大寺店・町田木曽店・町田成瀬店・ミスターマックス町田多摩境店・島忠ホームズ町田店・東小金井店・百草園店・国立府中インター店・武蔵村山店・田無店・イオンモール日の出店
色々な味を揃え限定メニューも用意されているので、複数人で行っても好きな味をチョイス出来るので重宝するお店ですが、初めてでどれにしようか迷った際はワンコイン以下で食べられる基本の「中華そば」がオススメ!
豚骨や鶏ガラをベースに鶏・豚・牛の肉出汁や野菜を合わせたあっさり醤油味のスープは、シンプルながらも厚みがあり旨味のしっかりした味わい。プリプリとした弾力を楽しめる多加水熟成の中細縮れ麺も特徴的で、スープをよく持ち上げてくれます。
【日高屋】
◆店名の由来は、創業者の出身地である埼玉県の日高市から。駅前や商店街を中心に全国400店舗以上を構える人気中華料理店。
《武蔵野・多摩地区の店舗》昭島南口店・秋津店・小田急マルシェ永山店・吉祥寺南口店・吉祥寺本町通店・清瀬南口店・国立南口店・久米川南口店・国分寺南口店・国分寺北口店・聖蹟桜ヶ丘東口店・多摩センター店・高幡不動駅前店・立川曙町店・立川北口店・立川南口店・立川南口駅前店・田無アスタ店・調布北口店・つつじヶ丘店・豊田北口店・飛田給北口店・成瀬店・西八王子店・八王子南口店・八王子店・八王子横山店・日野駅前店・東久留米東口店・東大和店・東村山店・ひばりヶ丘北口店・小田急町田北口店・玉川学園南口店・町田パークアベニュー店・町田中央店・三鷹南口中央通店・三鷹北口店・武蔵小金井南口店・武蔵境北口店・ルシーニュ府中店
390円で食べられる超破格とも思える「中華そば」も人気ですが、私のオススメは「野菜たっぷりタンメン」。
「中華そば」ほどではありませんがこちらもリーズナブルな価格で提供されています。
しっかりと炒められた野菜がたっぷりのった塩味のタンメンで、炒め野菜の芳ばしい風味や旨味が移ったスープと、コシのある平打ちの多加水ストレート麺が合わさったボリューム感もある一杯!
【一蘭】
◆他人を気にせず食べられる「味集中カウンター」と、記入式の「オーダーシステム」によって好みを調整できるシステムのパイオニア。ラーメンメニューは多様化せずに豚骨ラーメン一本のみでありながら、全国に50店舗以上を構える人気店。
《武蔵野・多摩地区の店舗》吉祥寺店・立川店・町田店
「天然とんこつラーメン」と名付けられた「ラーメン」は、濃厚ながらもクセを一切感じさせず円やかなコクと旨味に強めの甘味を感じる病みつきになる味わいのスープで、粉の風味が良く甘味をほのかに感じる低加水の細ストレート麺がベストマッチ!
さらに、唐辛子をベースに30数種類の材料を調合し熟成させたという「赤い秘伝のたれ」によってスープ全体の旨味が底上げされるので、辛いのが苦手でなければ是非トッピングしてください!
【丸源ラーメン】
◆熟成醤油ラーメン「肉そば」を提供するお店で、全国に160店舗以上を構える人気店。
《武蔵野・多摩地区の店舗》八王子南大沢店・西府中店・小平店・東久留米店・稲城平尾店
「丸源ラーメン」と言えば「肉そば」が代名詞と言っても過言でないくらいに不動の人気メニューですが、私個人のオススメは「辛肉そば」。
熟成醤油と豚肉の旨味が溶け込んだ「肉そば」をベースに、唐辛子やニラが加わる事によって辛味や風味のアクセントが生まれるだけでなく、元のスープの旨味がさらに引き立てられるようになった病みつきになる一杯!
家族連れに優しく、ソフトクリームなどのサイドメニューもあるので、小さなお子様と一緒でも楽しめます。
【らあめん花月嵐】
◆背脂チャッチャ系ラーメンをメインに、様々な限定メニューも提供。全国に230店舗を構える人気店。
《武蔵野・多摩地区の店舗》三鷹駅南口店・分倍河原店・府中中河原店・東小金井南口店・西原町店・東村山店・立川北口店・立川西砂店・日野大坂上店・京王八王子店・京王堀之内店・ファブ南大沢店・八王子片倉店・原町田店・昭島モリタウン店・福生店・羽村店・千ヶ瀬町店・清瀬北口店・多摩野猿街道店・多摩センター店
限定メニューが注目されることの多いお店ですが、レギュラーメニューも粒揃い!
「黄金の味噌ラーメン」や「豚そば銀次郎」も捨てがたいけれど、やっぱり一番のオススメは「嵐げんこつらあめん」。
かつては一世を風靡した背脂チャッチャ系ラーメンも衰退し、今では提供するお店を探す方が難しくなっているくらいですが、その背脂チャッチャ系ラーメンを手軽に楽しめるのがこの「嵐げんこつらあめん」!
ライトな豚骨醤油ながらも背脂のコクや秘伝のタレの旨味が合わさったスープは、ハマると抜け出せなくなる味わい!
卓上の「ニンニク」や「激辛ニラ壺」を加えれば、病みつき度がさらにアップ!
【横浜家系ラーメン 町田商店(○○商店)】
◆「壱六家」の系譜でありながら、「商店系」という言葉が生まれるほどに一ジャンルとして認知された、全国に100店舗以上を構える人気店。
《武蔵野・多摩地区の店舗》町田商店本店・町田商店マックス・成瀬店・町田商店33・田無店・東村山店・三鷹店・武蔵村山店・秋津店(秋津商店)
色々な味を提供していますが、私のオススメは基本の「ラーメン」。
フリークではない一般の方はこの商店系の味を「横浜家系ラーメン」だと思っている人も少なくないと思いますが、「吉村家」を源流とする本来の「家系豚骨醤油ラーメン」とは別物と言っても過言でないくらいのラーメンです。
ただ、私個人としてはそれがダメというのではなく、クリーミーでシチューのような円やかな濃厚感を楽しめる商店系の特徴的なラーメンはクセになる味わいで、麺とのマッチングだけでなくライスとの相性も抜群で、ライスにスープをかけて食べるのもオススメ!
【天下一品】
◆唯一無二の「こってりらーめん」を提供する京都発祥の人気店。海外2店舗を含む231店舗を展開し、私個人的にも定期的に食べたくなる大好きなお店です。
《武蔵野・多摩地区の店舗》多摩ニュータウン店・八王子店・立川店・吉祥寺店・府中中河原店・町田店
「あっさり」「こってり」「屋台の味(あっさりとこってりの間)」と3種類の味が用意されていますが、天下一品に行くならばまずは「こってり」がオススメ!
これはラーメンなのか!? と思うようなドロドロとしたポタージュ状になったスープは、初めて食べた時は度肝を抜かれます!
「こってり」と言っても油っこさはなく、鶏や野菜などがたっぷり溶け込んだスープなので意外としつこさがなく、ただただその濃厚感を楽しめるものとなっています。
油っこさはないものの、その独特な超粘度と超濃度には気圧される事もあると思いますが、たっぷりの九条ねぎがホッと一息つくオアシス的存在となり、ねぎとスープを絡めて食べても最高のマッチングなので、ぜひ「ねぎラーメン」にするのがオススメです!
チェーン店には、その日の気温や湿度に合わせて麺やスープを調整するような個人店のような緻密さはないかもしれません。
ただ、「チェーン店だから」と甘んじる事なくその味わいは常に進化していると思います。
それを踏まえた上で、チェーン店ならではのサービスや居心地の良さ、家族や友達と一緒にわいわいと談笑しながら食べられたり、肩肘張らずラーメンを難しく考えずに食べると、「あー美味しい」と素直に感じられると思います。
こだわりを探るのではなく、その雰囲気や味わいを心地良く感じられるチェーン店のラーメンをぜひ楽しんでください!
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。詳しくは各店舗にご確認ください。
ZATSU
2006年に開設したブログ「ZATSUのラーメン」の管理人。武蔵野・多摩地区を中心にしたラーメン食べ歩きを始めて15年以上。現在は年間400〜500杯程度を食べ、新店コレクターでありながらも老舗店やリピートするお店も多数あり。チェーン店からファミレス、カップ麺までも愛する真性の「ラーメン好き」で、基本的に何でも美味しく食べられる幸せ者。「自分の好みのラーメンを見つけて欲しい」と言う思いをモットーに色々なラーメンを紹介していきます。
本人ブログ(https://zatsu-ke.blog.jp/)
本人Twitter @zatsu_ke
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