ラーメンWalker発!「未来を輝かせるラーメンストーリーズ」第11話

熊本ラーメン盛り上げ隊!『天外天』×『黒亭』が地元・熊本の魅力をラーメンで伝える(後編)

2022年05月03日 12時00分更新

 ラーメンWalkerがテーマを決めて名店店主とともに新たなラーメンをお届けする企画。今回は、熊本ラーメン盛り上げ隊スペシャルとして、熊本ラーメンを代表する2店が出店。4月14日~20日の激戦区の熊本でラーメンWalkerグランプリ第2位の『天外天』からバトンタッチして、4月21日~27日は老舗であり大行列店『熊本ラーメン黒亭』が登場! 後編では、老舗『熊本ラーメン黒亭』を継ぐ3代目店主・平林京子さんに、歴史ある熊本ラーメンを繋ぐ決意と覚悟、味の秘密を伺った。

『黒亭』3代目店主・平林京子さん。歴史ある老舗を受け継ぎ、100年愛され続けるラーメンを目指す

親子3代受け継がれる老舗『黒亭』熊本ラーメンヒストリー

 『黒亭』は、熊本ラーメンの元祖のひとつ『こむらさき』初代山中安敏店主にラーメン作りを習い、平林武良さん・妻絹子さん夫妻で1957年に創業した。1970 年から絹子さんが2代目店主に、2008年から3代目店主・平林京子さんが歴史ある味を受け継いでいる。

「祖母が病気で倒れて店を続けることができなくなったとき、私は会社員で、妹は福岡で働いたんですね。もともと祖母から継がなくていいと言われていたんですが、廃業してしまうと従業員さんたちの仕事がなくなってしまう。子供の頃からお付き合いのある近所の方も多く、お店がなくなってしまうのは私たちも寂しいし、お客さんも悲しむねって、妹と相談して一緒にお店を継ぐことなったんです」と京子さん。

現在の『黒亭 本店』。創業店の雰囲気を残しつつ、2006年に移転リニューアル

 裏方や経理業務から始まって、姉妹で会社を退職して店に入ってからは、修業が始まる。

「店では叔祖父がスープを炊いていたので、スープの取り方やチャーシュー、焦がしにんにく油の作り方などを教わっていきました。長く店を支えてくれたスタッフさんもいらっしゃったので助けてもらいながら、厨房に立つようになったんです」

 京子さんは、妹の奈都美さんと一緒に祖母絹子さんから店を任されるようになった。二人が店を継いだことで、『黒亭』も少しずつ変わっていく。

「祖父母が創り上げてきた味は大切に、効率的なこととか、ここを変えるともっとよくなるんじゃないかなといったところを改革していった感じです。なかでも麺はもっとオリジナリティを追求して黒亭らしい麺にしたいと思って、それなら0から作ろうと自家製麵に変えました」

 2011年、試作を何度も繰り返し自家製麺が完成。スープやチャーシュー、すべての食材を自家製にこだわる新しい『黒亭』となった。

こだわりの自家製中太麺。卵不使用でアレルギーのある方も安心

炊きたて豚骨スープに熊本直送の自家製麺で、熊本の味そのままお届け!

 今回の出店には、コロナ禍で開発した冷凍の自家製麺を空輸して、熊本の店の味をそのまま持ってきたという。

熊本から東所沢へ、自家製麺を冷凍して直送。『黒亭』の味をそのままお届け

 先に『天外天』出店のサポートに入っていた『黒亭』店長の舟倉さんが、スープやチャーシューと仕込みを進めていた。「ここで豚頭骨からスープを炊くことで、作りたての状態でご提供できるので」と、出店前日に京子さんも到着して厨房で腕を振るう。

『黒亭』の豚骨スープは、豚の頭骨をじっくり炊いていく。これを一晩寝かせて提供

しっかりと下茹でしてから秘伝の醤油タレで漬けこむ。肉の旨味がギュッと詰まったチャーシュー

 こってりして見えるが、豚の頭骨は脂身が少なくて、見た目よりあっさり食べやすい。香ばしい焦がしにんにく油、秘伝のタレで仕上げたチャーシューと、こだわりの味を関東で再現。熊本でも、子供からお年寄りまで幅広い年齢層のお客様に愛されてきた味だ。

「ラーメン」。豚頭骨をじっくり炊いたスープはあっさりとして、毎日でも食べられる味

 今回のテーマ「熊本のことが好きばい!」に合わせて、熊本名物の馬すじ煮込みと阿蘇高菜めしをサイドメニューとして提供。「少しでも熊本を感じてもらえたらうれしいです」と、想いが詰まったおもてなしを届けてくれた。

ラーメンWalkerキッチン限定の「馬すじ煮込み」

「阿蘇高菜めし」もラーメンWalkerキッチン限定と、熊本名物をサイドメニューで特別に提供

伝統の味を守りつづけ、100年愛され続けるラーメンを目指して

2016年4月14日、熊本地震から6年。当時のことを伺うと、震災当時、『黒亭』も丼や資材が壊れたり、ガスや水道が止まって2週間ほど復旧できなかったという。 「こんな時にもお客様が来てくださったんですね。お店がピンチの時に、お客様に支えていただいたと実感することが多くて」。営業が再開してからは、定休日を返上して甚大な被害を受けテント生活をしている避難所に炊き出しに駆けつけ、『黒亭』のあったかいラーメンをふるまっている。「何かしたいという気持ち」が、3代目店主を突き動かす。歴史ある店を継ぐことも、なかなかできることではない。

「家業と思って、当たり前のように店を継いだのですが、こんなにみんなに注目されるとは思ってなかったんですね。もちろん、昔の味が好きという方もいらっしゃって、代が変わってから味が変わったということもあるかもしれません。昔と比べられることにプレッシャーもありますし、悩むこともありますが、『黒亭』の伝統的な味を守りながら、少しずつ改革もしながら、100年愛され続けるラーメンを目指していきたいと思います」と、京子さん。2022年は、ちょうど創業65年にあたる。改めて変わらない味づくりで、受け継がれたラーメンを守り続ける覚悟を見せてくれた。

阿吽の呼吸で一杯一杯心を込めてラーメンをお届けした、『黒亭』平林店主と店長舟倉瑛喜さん。ぜひ熊本にも足を運んでほしい!

熊本ラーメン 黒亭 本店
熊本県熊本市西区二本木2-1-23
10時30分~20時30分(O.S)
第3木曜休

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。臨時休業など、詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/ramen_kokutei)をご確認ください。

ラーメンWalkerキッチン
埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3-205
04-2968-7786
JR武蔵野線「東所沢」駅徒歩10分
https://ramen.walkerplus.com/kitchen/

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