ラーメンWalker発!「未来を輝かせるラーメンストーリーズ」第21話

こだわりの「切刃番手26番」の細麺に、15周年の想いをのせて創り上げた、魂のかけ塩らーめん!

2022年07月29日 12時00分更新

 ラーメンWalkerがテーマを決めて名店店主とともに新たなラーメンをお届けする企画。2022年7月6日~11日は、塩ラーメンの名店『町田汁場 しおらーめん進化』が出店した。今回のテーマ「かけラーメン」に創業15周年の想いをのせて、「魂のかけ塩らーめん」を創り上げた。店主・関口信太郎さんが、なぜ塩にこだわるのか。15年の集大成である「かけ塩らーめん~二十六~」の“26”とは? ラーメンの原点から15年の“進化”を伺った。

『町田汁場 しおらーめん 進化』店主・関口信太郎さん

塩ラーメン屋を目指して!ラーメンへの意識を変えた名店店主たちとの出会い

 子供の頃から、塩ラーメンが好きだったという関口さん。「ラーメンだけでなく、刺身も醤油じゃなく塩で食べたり、どの料理も塩で食べるのが好きでしたね。素材の味がわかるから好きなのかなと」。

 10代の頃は音楽に夢を重ね、バンド活動をしながらラーメン屋でアルバイトをしていた。しかし、音楽の道はなかなか思うようにいかず、バンドの解散を機にラーメンの道に進むことを決意する。目指すは子供の頃から好きだった、塩ラーメン専門店。ラーメンを食べ歩き、『支那そばや』をはじめ『ぜんや』『大喜』『中村屋』といった塩ラーメンの名店に影響を受けたことで、はっきりと目標が定まった。

 修業先を考えた時、当時、昼に二毛作営業を行なっていた、せたが屋の『塩ラーメン専門店 ひるがお』が思い浮かんだ。塩ラーメン専門店を目指す関口さんは、2004年、23歳の時、せたが屋の門戸を叩く。代表の前島司さんには、最初から「3年で独立したい」と硬い決意を示して入社。『ひるがお』駒沢本店、新宿御苑店でプロの仕事を学びながら、ラーメンへの探求心を深めていった。3年半の修業期間を経て、2007年10月19日に地元の町田で『町田汁場 しおらーめん進化』を開業した。

小田急小田原線町田駅北口から徒歩16分。駅から離れた地に店を構えた

 「うちを目指してきてもらいたい」と、敢えて駅から遠く、店もわかりにくい立地で開業したものの客足は伸びなかった。塩らーめんが好きで、塩だけ出せば塩しか食べないという発想から塩らーめん専門店を開業した訳だが、店を覗いて醤油がないと帰ってしまう人が多かったという。

 関口さんの塩らーめんにかける想いがなかなか理解されない状況で、オープンから半年ほど経った頃、『支那そばや』創業者・佐野実さんがテレビ番組の撮影で店を訪れた。緊張の中、自分の作った塩らーめんを食べて、「お前のらーめんは旨いよ、だけどな、これじゃ伝わらない。自分が旨いと思うだけじゃなく、お客さんに味で伝わるらぁ麺を作れ」。その佐野さんの言葉で、関口さんの考え方は変わった。「自己満足じゃダメだ。塩一本でもお客様に愛される、万人にわかりやすいラーメンということを頭に置いて作らないといけない。佐野さんは、そういうことを言ってるんだとわかりました」。

 スープを丸鶏の肉の味が出るようにシフトしたり、ただ単に量を増やすのではなく、スープも塩ダレも種類を少しずつ変えていき、お客様にわかりやすく伝えるためのマイナーチェンジを繰り返していった。

現在の「しおらーめん」。高級地鶏やアゴなど30種類の食材と5種の塩を合わせたスープに、国産小麦の自家製ストレート麺を合わせた一杯

 もともと開業前から麺も自身で手掛けるつもりだったが、「最初からしっかりしたものを作りたかったので、自家製麺の勉強をしながら時期を見計らっていました」と関口さん。支那そばやをリスペクトしつつ「真似にならないように自分なりの麺を作りたい」と、自分の感性で善し悪しが分かれる自家製麺の奥深さ、やりがいを語る。

「国産小麦の美味しいラーメンを知ってほしい」と、2015年?から自家製麺を導入

 塩のスペシャリストの佐野さんと出会ったことで、ラーメンに使う塩も今では30~40種類。支那そばや御用達の高知県産「海一粒」という塩もその一つだ。「それも佐野さんのおかげです。アドバイスをいただいた後に、丸鶏の旨味を強く出したいと思って、海一粒を使うようになりました」。

 塩らーめんの魅力、塩の魅力を伝えたいと、塩を突き詰めていくなかで、ソルトコーディネーターの資格も取得。「いろんな食材に対して塩の選び方がわかりやすくなったり、テイスティングの仕方でも変わるのがわかりましたね」。

2017年、塩の魅力を多くの方に伝えるために、ソルトコーディネーターの資格を取得

年々増え続ける関口さんの塩コレクション

切刃番手26番の細麺にこだわった、究極のかけ塩らーめん

 今回のテーマは、かけらーめん。ちょうど今年10月に15周年のらーめんを提供予定だったこともあり、15年の思いを込めて作られた。まず決めたのは麺を切刃番手26番の細麺にすること。なぜかというと、初めて『支那そばや』で食べた塩らぁ麺が26番の麺だったからだ。「そこから26番の塩ラーメンが、すごい憧れになって」と関口さん。いま、進化の塩らーめんの麺は、少し太めの22番。26番に合わせた塩らーめんは難しい、しかも“かけ”はもっと難しいのをわかったうえでの挑戦だ。「今回、そのために26番の切刃を買いました」。

左・しおらーめんの22番の麺と、右・切刃番手26番の細麺

 新たに切刃から揃えて打った思い入れ深い細麺に合わせて、スープのバランスをとるのが難しかったという。「僕自身が昔ながらのラーメンが好きで、塩の中華そば感がちゃんと残ってる、ラーメン食べてるって感じが欲しかったんです。豚と鶏と魚介が入った分厚いスープに細い麺、それがすごい難しいんですよ」。スープに使う食材は、名古屋コーチン、山水地鶏、ホロホロ鳥、国産豚のガラ、アゴ、鰹、サバ、羅臼昆布など… これだけの素材を、26番の麺に合わせてまとめ上げた。

素材の旨味を出し切った究極の「かけ塩らーめん~二十六~」

 今回、塩ダレは他の調味料を使わず、ホタテの貝柱と塩だけで水出しで作っている。塩はタレに9種類、提供ごとに丼に1種類、藻塩で調整する。スープで全ての素材の旨味をどれだけ出し切るかがポイントだ。配膳時、「ゆっくり食べてください」とアナウンスが。「温度変化でかなり味が変わります。だんだん麺がスープにも溶け出していくことでも変わってくんですよね」。

国産小麦100%の麺の味がスープにとけ、味わいが変わる

信念をもって一生ブレずに塩らーめんを追求する

 周年前にラーメンWalkerキッチンでお披露目となった、創業15周年の集大成、究極のかけ塩らーめん。また一つ目標を成し遂げた関口さんが、「少しずつ26番に慣れてきたら、店でも出していきたい」と、次のステップを語る。

憧れの26番の麺の他にも「多加水手もみ麺の塩らーめんも考えてます」(関口さん)

 究極のかけ塩のほか、しおらーめん、しおつけ麺と、3種類の自家製麺を仕込んで臨んだ今回の出店。店と変わらない人気のレギュラーメニューも、日々進化している。

麺を美味しく味わっていただくことを追求した「特製 しおつけ麺 (わじまの水塩和え)」

 期間中、一杯だけでなく何度も何度も足を運び、全メニュー制覇する人も多くみられた。

「いまは、前に比べて塩らーめんが好きだっていう方が増えてきて嬉しいです。たくさんの方に食べていただいて、塩らーめんを好きになってもらいたいですね」

 信念をもって突き詰めた塩らーめんは、お客様にも伝わった。しかし、現状に慢心することなく「もっと力を入れていきたい」と語る関口さんの進化は留まることがない。

進化し続ける!関口店主と進化スタッフ

町田汁場 しおらーめん 進化 本店
東京都町田市森野3-18-17 ウイング森野 1F
月~土11時~15時/18時~21時 日・祝11時~17時
無休

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。臨時休業など、詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/shioramenshinka)をご確認ください。

ラーメンWalkerキッチン
埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3-205
04-2968-7786
JR武蔵野線「東所沢」駅徒歩10分
https://ramen.walkerplus.com/kitchen/

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