ラーメンWalker発!「未来を輝かせるラーメンストーリーズ」第5話
チョコレートラーメンのパイオニアが魅せる! チョコ×鹿児島産黒毛和牛の「極上和牛チョコ担々麺」で日本のラーメンを応援!
ラーメンWalkerがテーマを決めて名店店主とともに新たなラーメンをお届けする企画。2月9日~2月14日はオーナーシェフ庄野智治さんが代表を務める「MENSHO」が「極上和牛チョコ担々麺」をラーメンWalkerキッチンで提供した。
2月といえばバレンタイン。今回の特別企画にふさわしく、チョコレートラーメンのパイオニアである庄野シェフが登場! 店舗にてチョコレートラーメンを提供するようになって15年目という。まずは、これまでのチョコレートラーメンの歴史を振り返っていただいた。
庄野 15年前を振り返るとかなり前で、恥ずかしいですけど(笑)。もともとオープンからずっと季節の限定麺を月替わりで出していたんですね。毎月、常連さんたちと「来月は何をやりましょうかね」と話をしながら決めることもありました。ちょうどオープンして2年目くらいの頃、2月の限定を何にしようかという話の流れで「2月だからバレンタインなんじゃないの」というお客様との会話から生まれたんです。毎月限定で季節の美味しい食材を使ったラーメンがあるなら、2月も同じようにバレンタインの風物詩的なラーメンがあってもいいなということで始まったんですね。でも、最初は全然美味しくならなくて(笑)。
―ラーメンにチョコレートの組み合わせって難しいですよね。“ありえない食材”と紹介されることもあったかと。
庄野 チョコレートラーメンをやりたいと思ってから、いろいろ調べたんですね。そうしたらメキシコにモーレソース(Mole Salsa)というチョコレート入りの料理ソースがあるじゃないかと。どういうふうに料理に使われているのか、メキシコ料理店に食べに行ったり、チョコレートを使ってるカレー店に食べに行ったり、そういう食べ歩きと研究をしながら、中休みに試作して。最初はトッピングするところから始めて、ラーメンの中にチョコレートが入ってるという印象の一杯でしたね。ミルクがどれくらい入ってるとか気にせずに、コンビニで売ってるミルクチョコレートを入れてみたり。コクがどこまで出るかとか、ちょっと塩味が強ければバランス取れるんじゃないかというくらいの味の作り方だったんですよ。
―2007年に初めて出した一杯は納得のいくものではなかったと。
庄野 そうですね。当時、お店に木村カエラさんが食べにきてくれて、チョコレートの限定を「ダウンタウンさんにプレゼントしたい」とテレビ番組でチョコレートラーメンを出すことになったんです。そこで出た感想が「チョコ邪魔やなー」って(笑)。逆に、次は「美味しい」って言わせたいっていう気持ちになりましたね! バレンタインならではのラーメンってことで、お客様にも楽しんでいただけてすごく盛り上がったし、これは来年も続けていこうと定期的にやることになりました。
―そこから15年、思い出に残るチョコレートラーメンはありますか?
庄野 年を重ねるにつれてどんどん美味しくなってきて、お客様にも美味しいって言っていただけるようにもなってきましたね。「今年はどういうのやるの?」って楽しみにされているお客様も多くなって、だいぶ認知されてきたのが10年目くらいからです。
なかでもスパイスとカカオの組み合わせは、すごいドはまりしましたね。当時、「スパイスらぁめん 釈迦」をオープンして、インドにも「MENSHO」出店のために、インドの市場に行ってスパイスの勉強をしていた頃で。スパイスの勉強のなかでチョコレートをスパイスラーメンに合わせてみたら、どんどんコクが増す調理法に辿り着いたんですね。その時のラーメンが、個人的には一番好きな一杯ですね。
ホワイトチョコレートに豚骨×スパイス、カカオを練り込んだ麺、チョコチャーシュー、チョコレートと富山ブラックのコラボラーメン……。庄野さんの創造するラーメンの中でも、チョコレートラーメンは特別だ。通常の創作麺と比べても試作、研究期間は2倍ほどとっているという。それだけ、チョコレートはラーメンに合わせるために研究が必要な食材だ。チョコレートと相性のよい食材を求めて日本のみならず世界各国へと足を運ぶ。時には食材同士がケンカをし、相容れない試作を繰り返しながら、最後には親友のような好相性の一杯が生まれてきた。
庄野 昨年と同じじゃつまんないし、今年は何が出てくるんだろうっていう期待にもお応えしていきたいと思ってます。常に自分のハードルを上げてますね(笑)。
今回の試作は、アメリカの庄野さんと護国寺のスタッフが映像や画像でやり取りをして行われた。アメリカで創ったレシピを送り、護国寺で再現し、その感想をもとにさらなる試作研究が行われて完成したのがこちら。
庄野 今回のチョコレートラーメンには、鹿児島県の黒毛和牛を使用しています。通常メニューではA5ランクの黒毛和牛で、しもふりが良く入ったロースを使っているんですけど、今回はチョコレートに負けない味わいの強い和牛を求めて経産牛に辿り着きました。ジビエのような味わいで風味が強い和牛なんです。実際に鹿児島まで行って黒毛和牛を見せていただいて、牛舎での管理方法やどういった育て方をしてるとか、生産者さんから直に聞くなかで信頼関係の築けるところが見つかったんです。お肉以外にゲンコツも使うので、和牛のゲンコツを合わせて取引できることが必須でしたね。
MENSHOでは、常日頃から実際に生産地まで足を運んで食材の育て方や環境を知り、生産者と直接コミュニケーションをとることを大切にしている。生産者の仕事や思いを受け取り、食材を大切に愛情こめて調理し、お客様にお届けする。それがMENSHOのコンセプト「Farm to Bowl」だ。直接畑へ行って玄麦を買い付け、石臼挽きの製粉機で製粉してから製麺する自家製麺、現地で田植えから参加するお米を使ったご飯、ラーメンの廃棄食材を肥料にする計画もある。「Farm to Bowlでラーメンを豊かに」という庄野さんの思いがこめられている。
庄野 食材を扱うとき、その地域の良さを伝えていくことも大切にしています。今回も鹿児島産の黒毛和牛に合わせて様々な食材を取り寄せて研究し、相性のよい食材を合わせました。
年々、チョコレートラーメンを提供する店が増え、バレンタインの恒例行事となりつつある。「MENSHO」の15年目に続き、「麺屋武蔵」が14年目、「パパパパパイン」は2012年から提供を始め、他にも「吉法師」や「ソラノイロ」、大手ラーメンチェーンの「幸楽苑」までもがチョコレートラーメンに参入するようになった。庄野さんはご存知かというと……
庄野 もちろん! いろんなラーメン店がチョコレートを使った限定をやるようになりましたね。ラーメン自体を盛り上げたいという気持ちで始めたので本当に嬉しい。バレンタインの風物詩として、チョコレートラーメンが盛り上がってくれればいいと思ってます。今回の「極上和牛チョコ担々麺」も多くの方に味わっていただきたいです!
「ラーメンは変幻自在。いろんな形に変えられるところも魅力のひとつ」と言われるように、庄野さんにとって“ありえない食材” はない。15年、チョコレートという食材を通じて、魅力あふれるラーメンへと形を変えてきた。異質とも思われる食材を使ってもなお、調和した一杯なのは、すべての食材と育てる人々への敬意、感謝の気持ちがあふれているからだ。
MENSHO
東京都文京区音羽1-17-16 中銀音羽マンシオン1F
11時~21時(L.O 20時40分) 月曜休
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。臨時休業など、詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/shono_menya)をご確認ください。
ラーメンWalkerキッチン
埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3-205
04-2968-7786
JR武蔵野線「東所沢」駅徒歩10分
https://ramen.walkerplus.com/kitchen/
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