ラーメンWalker発!「未来を輝かせるラーメンストーリーズ」第18話
旬のトマトが主役のチリトマラーメン! 感謝を込めたTHANK系ラーメンは、あらゆる国の食文化が融合したボーダーレスな“地球のラーメン”
ラーメンWalkerがテーマを決めて名店店主とともに新たなラーメンをお届けする企画。6月22日~27日は、『チリトマラーメンTHANK』が昨年に続き2度目の登場! 前回からブラッシュアップを重ね、さらに美味しくなったトマト×ラーメンをトマトの旬にお届け。店主の田辺雄二さんには、ラーメンを通して伝えたいメッセージがあるという。目指すは、これまでのラーメンの枠を超え、さまざまな国の食文化を取り入れた“地球のラーメン”だ。
10代で長浜ラーメンに出会い、せたが屋NY店~ラーメンゼロで培ったラーメン道
田辺雄二さんがラーメンと出会ったのは16歳の時。当時、地元から近い八王子の16号沿いに長浜ラーメンがあった(2018年移転)。「初めて長浜の豚骨ラーメンを食べたのが、強烈に美味しくて、よく夜中に並びましたね。ゴマをすったり、紅しょうがを入れたり、高菜があったり、替え玉ごとに味の変化を変えられるのも大好きで。それが自分の原体験的なラーメンです」。それからラーメンを食べ歩くようになったという田辺さん。
高校卒業後、ニューヨークの大学に留学した田辺さんは、インターナショナルビジネスを専攻していたこともあって、アメリカで日本の文化を伝える仕事をしたいと思っていた。「自分が好きな日本のものって色々考えて、やっぱりラーメンに行きついたんです」。それから豚骨ラーメンを自作し、大学の友達に振舞うようになった。ある時、イスラム系モロッコ人の友達に「豚骨ラーメンが食べられない」と言われたことで、ラーメンに宗教的な壁があると感じるように。「彼にもラーメンの素晴らしさを伝えたいと思って。そこから鶏のラーメンを作るようになりました」。
そして22歳の時、アメリカでラーメン屋をやろうと決意し、大学3年で中退。永住権を取得するために寿司屋で3年半働くも、アメリカ同時多発テロ事件の後だったことで、ビザの申請が通らない。そんな時、『せたが屋』のニューヨーク出店を知る。日本に戻り『せたが屋』でラーメン修業を始め、2007年ニューヨーク支店を任される。結局、ビザの申請が難しく、その後は日本のせたが屋系列店で経験を積むことに。中でも、最後に店長として任された、目黒『ラーメンゼロ』の経験が大きかったという。「素材の味を楽しむため、化学調味料もタレも使わないラーメンは、自分の中で衝撃だったんです。それが独立のきっかけになりました」。
3年半の修業後、大門で『鶏ポタラーメンTHANK』を開業。ニューヨークで思い立った鶏ラーメン。そして、ラーメンゼロの経験から化学調味料を使わず、たくさんの野菜を煮込んでペーストにし、鶏白湯スープと合わせた鶏ポタラーメンが誕生した。
「オフィス街のサラリーマンやOLの方に、一杯のラーメンで野菜の栄養もとってもらいたい」。食べて健康になってほしい、そんな思いを込めた鶏ポタラーメンで、昼時には行列の絶えない人気店となった。すぐ軌道に乗り、2015年に2号店をお茶の水に、2020年に3号店『チリトマラーメンTHANK』を2ndブランドとしてオープンした。
さらにパワーアップしたチリトマラーメンで再び挑戦
「うちのラーメンってオリジナリティが強くて、僕らがいいと思うものを作るというプロダクトアウト的な考えがあるんですね。好き嫌いが分かれるところで、前回の出店中もドキドキしたんですけど、お客様にすごく喜んでいただいて。受け入れていただけたことが、本当にありがたい思いでいっぱいでした」と、前回の初出店を振り返る。
出店から1年3ヵ月。前回、さまざまな気づきがあったという田辺さん。麺やスープなどをブラッシュアップし、いま最高のチリトマラーメンで再出店となった。
「以前は細麺だったんですけど、今はもっちりとした中細麺に。トマトラー油はよりチリ感を強めて、普通の辛さでも刺激をしっかりと感じられるようにしたり、スープの配合も前はもっとドロドロしていたのを、もう少し濃度を下げて、食べ進めるうちに上にのせたミートソースが中盤くらいからいい感じに混ざってとろみがでる仕上がりにしています」
2020年8月から3店舗でマイクログルメジャーニーという限定麺の企画を行なっている。「コロナが蔓延して海外旅行に行けなくなっこともあって、国テーマを決めてラーメン一杯のなかで旅行に行った気分になったり、その国を体験できるようなものをラーメンで表現したいということから始まった企画です。いま35ヵ国回ってますね」と田辺さん。その一環として、6月の国テーマ、ジャマイカンな一杯として「ジャークチキン&トマトの冷やしラーメン」を、ラーメンWalkerキッチンでも提供することになった。
さまざまな国の食文化を取り入れた、ボーダーレスな“地球のラーメン”で世界へ
出店中、厨房は精鋭スタッフに任せ、ホールに立つ田辺さんの姿が。「ラーメン一杯食べるのに、ラーメンの味と空間の味わい、人から出るオーラとか、それらが一帯となって楽しんでいただきたいんですね」。
お客様がお帰りの際、美味しいだけでなく「新鮮」という言葉が聞こえてきた。修業先とも既存のラーメンとも、何かに似た味でもない、新鮮なこの味はどこからきているのか。
「うちのラーメン、特にこのチリトマはいろんな国の要素や食文化が入ってるんです。僕、ジョン・レノンのイマジンが好きなんですね。人類の平和を願った歌だけど、いま戦争とかでギスギスしてますが、こういう境目を作るんじゃなくて、お互いのいいところを受け入れ合うことで、より新しいものができるんじゃないかと思うんです。そういう思いものせてボーダーレスな一杯を、地球のラーメンを目指してます」
それが自分たちのラーメンを通して伝えたいメッセージのひとつだと、田辺さんは言う。
マイクログルメジャーニーの一環として、居酒屋や四川料理店など異業種とのコラボも行うようになった。「コロナ前は競争社会だったけど、今は飲食店みんなが寄り添い力を合わせてやっていこうという思いが感じられて。共に創る“共創”の時代になってきたのかなと思います」。
屋号の『THANK』に込められた感謝の気持ちが、田辺さんやスタッフの「ありがとうございます!」の声とともに店内にあふれていく。
「いま、ベトナムのメンバーが10人くらいいるんですね。みんな理念も理解してくれて、おもてなしやラーメンに対しても積極的に関わってくれているので、まずはベトナムに出店したいねって話してます」。最終的にはアメリカ、ニューヨークに出店したいとも。それが最初に目指した夢だからだ。鶏ポタをはじめ創り上げたラーメンは、他の何系でもないTHANK系ラーメンだと田辺さん。
「このTHANK系ラーメンを世界に広めていきたいと思ってます!」
チリトマラーメン THANK
東京都港区芝大門2-8-14
月~金:11時30分~15時/18時~22時
土・日:11時30~15時
土・日曜の夜、祝日休
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。臨時休業など、詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/ramenTHANK)をご確認ください。
ラーメンWalkerキッチン
埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3-205
04-2968-7786
JR武蔵野線「東所沢」駅徒歩10分
https://ramen.walkerplus.com/kitchen/
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