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「普通だけどおいしい」「普通だけど夜はBARにもなる」気になるラーメン店が福生に登場 麺処 しんすけ(東京・福生)【ZATSUのオスス麺 in 武蔵野・多摩】第79回

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 今回のオスス麺は、福生駅西口から徒歩5分ほどの所に今年オープンしたばかりの新店「麺処 しんすけ」!

 「美味しいお酒とラーメン」というコンセプトのもと、ラーメンだけでも、お酒だけでも気軽に楽しめるお店で、地元の方を中心にじわじわと人気が出て来ています。

『麺処』としての顔 ~普通だけど美味しいラーメン~ 

白を基調とした落ち着いた店構えの「麺処 しんすけ」

 ご主人は、サラリーマンから某有名カレーチェーン店に転職し、たまたまバーで出会った背脂チャッチャ系の老舗名店「江川亭」の社長と仲良くなり、「江川亭」に所属することに。

 しかし所属はしたものの「江川亭」で修業した訳ではなく、色々な資料を参考に独学で作り方を覚えたとのこと。

 当初は「江川亭」のような背脂チャッチャ系の豚骨醤油をメインにするつもりだったようですが、淡麗系で自信を持って提供出来るラーメンが完成したので、そのラーメンを引っ提げ2021年5月19日にオープンしました。

 人当たりが良く、優しさと楽しい雰囲気が溢れ出るご主人で、ラーメンやお店の雰囲気にもそれが反映されています。ガラス張りで外からでも店内が見えるので初めての方や女性でも雰囲気が掴みやすく、店内もゆったりとしたお洒落な雰囲気で入りやすく、ラーメンも肩肘張らずに誰もが受け入れられる「普通のラーメン」なので、スッと入っていく親しみやすさがあります。

 ただ、「普通のラーメン」のはずなのに「なんか美味しいな」「あれ?また食べたいな」と思うような、今のトレンドとは違ったアプローチでお客さんを虜にする魅力を持っています。

 その魅力の裏には、実はご主人の緻密な(?)計算があったようで、今回その秘密を少し伺うことが出来ました。

基本の一杯「淡麗中華そば」

 お店のベースの味となっているのが「淡麗中華そば」。

 豚を下地にしたあっさり醤油味で、シンプルで素朴な雰囲気の味わいですが奥深いコクを感じられ、出汁・醤油・香味油がバランス良く合わさった一杯に仕上がっています。

 出汁に使う豚や香味油の鶏油に関しては色々な種類を試し、相性の良さなどを検証した末、スペイン産の豚に安定供給出来る東北産の某鶏をベースにした鶏油の相性が抜群に良かったようで、この組み合わせに決定したとのこと。

 他にも豚出汁だけでなく隠し味として牛も使用し、タレには近藤醸造のキッコーゴ醤油を使っているとのことで、お話を伺うと研究に研究を重ねたかなりの拘りを持って作られている旨が伝わってきました。

 それを「うちはこんなに拘って作っているのだぞ」と押しつけるのではなく、「うちは普通のラーメンだから」というスタンスと味わいで間口を広くし、気軽に食べられて気軽に美味しさを楽しめる味と雰囲気に仕上げているのが素晴らしく、そういう「さり気無さ」から知らず知らずのうちに惹かれてしまうのかもしれないです。

「魚介中華そば」に「那須御養卵の味玉」をトッピング

 もうひとつの看板メニューである「魚介中華そば」は、「淡麗中華そば」のスープに宗田節・屋久島さば・九十九里煮干し・利尻昆布などをふんだんに加えたもの。流行りの魚介系とは全く違い、魚介でありながら魚介を前面に押し出すのではなく、動物系ベースの上に魚介や昆布の旨味と風味がのっかっている感じのバランス良い味に仕上げられています。

 さらに、隠し味的に貝類を加えているようで、奥深いコクと旨味をさり気なく演出しているのが凄いです。

 どちらのメニューも、麺は「村上朝日製麺所」の中細麺を使用し、啜る度にスープの風味と味わいが広がる持ち上げの良さと、モチモチした食感を楽しめます。

 一味違った製法のバラチャーシューや、複数品種を合わせたネギ、100円で追加できるレアチャーシューや那須御養卵の味玉などのトッピングも美味!

 追加トッピングの数が豊富で、オープン当初からちょこちょこと増えていっているのですが、このトッピングの豊富さにも実は深い理由があります!

 ご主人が以前働いていたことがある某カレーチェーン店はトッピングが豊富で、その組み合わせによって色々なカレーの味を楽しむことが出来ます。

 そこからヒントを得たのかは定かではありませんが、某カレーチェーン店と同様にトッピングによってラーメンの味に変化を加え、そのトッピングの組み合わせによって何通りもの味や風味を作り出すことができ、各々の好みにあった味を見つける楽しみもあります!

「淡麗中華そば」に「背脂」「ニンニク」「レアチャーシュー」をトッピング

 こってり好きな私が試してみた「淡麗中華そば」に「背油」と「ニンニク(無料)」の組み合わせでは、すっきりしたスープながらも背脂とニンニクのジャンクな風味とガツンとしたパンチのある旨味が加わった「背脂チャッチャ系」に通ずる味わいを楽しめました!

ピリ辛な人気トッピング「醤油ネギ」

 他にも「醤油ネギ」をトッピングすればゴマ油風味を、「生姜(無料)」をトッピングすればスッキリした風味を楽しむことも出来ます。

「まかないマヨチャー丼」

 ご飯物を一緒に頼む方も多いらしく、なかでも「まかないマヨチャー丼」は人気No.1!

 小切りにされたレアチャーシューとバラチャーシューがご飯を埋め尽くすようにたっぷりと盛られ、タレとマヨネーズが絶妙な加減でかけられた間違いない丼!

もうひとつの顔『BAR』 ~美味しいお酒への思い~ 

夜も明るく開放的な佇まいで、女性客でも入りやすい雰囲気

 「美味しいお酒とラーメン」というコンセプトでオープンしたものの、相次ぐ「緊急事態措置」や「まん延防止等重点措置」などによりお酒が提供出来ず、片翼を奪われたような状態のなかで頑張って営業してきたこのお店ですが、ついにその本領を発揮することが出来るようになりました。

 従来のラーメンとお酒の関係性といえば、餃子をつまみつつビールを飲むというスタイルであったり、飲んだ後の〆としてラーメンを食べに行ったりというスタイルが大多数だったと思いますが、この「しんすけ」では、『入店のハードルが低いラーメン屋でありながら、バーで飲む様なお酒が楽しめる』『味わったことのない様々なビールや各種お酒とラーメンの組み合わせを楽しめる』など、今までのラーメンとお酒の関係性の常識を覆すスタイルを用いた営業を試みているとのこと。

 クラフト生ビール、ボトルビールやアイリッシュ、ジャパニーズ、バーボン、スコッチなどのウイスキー……。お店に行って、メニューや飾られたボトルなどを見ればその豊富さや拘りが伝わるかと思いますが、恥ずかしながら私は下戸でお酒が全く飲めず、お酒については無知なので、ご主人に詳しくお話を伺いました。

 クラフトビールは多様な味が存在し、汎用性が高くなく、小規模醸造所が少量生産するものなので飲める機会と場所が限られていますが、そのクラフトビールを「ラーメン屋」というハードルの低いスペースで気軽に楽しめる貴重な存在であるのがウリのひとつであるとのこと。

 ただ、クラフトビールだけでなくウイスキーも含め、酒類とラーメンのオペレーションや手間の種類が全く異なるので非常に難しく、さらに最も大事な『お酒と合う味のラーメン』であることが大前提としてあり、ラーメンを食べた後に口に残る油分の感覚が多すぎるとお酒が死んでしまう…… かと言って軽すぎるとラーメンとしての魅力が損なわれてしまう…… など、こっちを立てればあっちが立たずなど試行錯誤を繰り返し、お酒とラーメンを両立出来る味を作るのが一番苦労したとのこと。

 その苦労の甲斐もあって納得のいくラーメンが出来たようです!

 お酒とラーメンの組み合わせは嗜好品の組み合わせであり、好みも人それぞれだと思うので、今後はさらにお酒のラインナップ数を増やしてクラフトビールも色々変えていく予定で、それが好みを見つける楽しみにも繋がると思うので色々試して貰いたいとのこと。

 私は、ここのラーメンを食べ、ご主人と雑談して、その味とご主人の人柄に惹かれましたが、ここまで「ラーメンとお酒」の調和に拘り、熱い思いを持っていたことを今回初めて知り、下戸である自分が悔しくなりました。

 そんな私が、お話を伺うだけでお酒とラーメンを試してみたいという衝動に駆られたので、お酒が飲める方は是非試して頂きたいです。

 今後どのようなお店にしたいか伺ったところ、

「地元の皆さんの生活のなかに居たいです。『今日メシどうする?しんすけ行くかー』こういう会話を家族・友人・恋人にしてもらえる様なお店で居たいです。

 あとは、お子様連れのお客様に来て頂けると嬉しいですかね。家族で行ったラーメン屋、『ウチの家族はいつもこのお店だったね』って言ってもらえるお店になりたいです。家族で行くお店だけどお父さんも美味しいお酒が飲めて満足!みたいな。新しい楽しみ方が皆さんに伝わるには年単位で時間がかかると思っていますが、頑張っていこうと思います♪」

 とにかくお客さんに楽しんで貰いたい、という思いが感じられるコメントを頂きました。

 「麺処 しんすけ」は、気軽に入れる雰囲気と気軽に食べられる「普通のラーメン」でありながら、合わせるトッピングや合わせるお酒によって無限大に広がる可能性を秘めており、お酒好きからお子様連れの家族までみんなが楽しめる空間とラーメンを提供してくれるオススメのお店です!

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/menshinsuke)をご確認ください。

ZATSU

2006年に開設したブログ「ZATSUのラーメン」の管理人。武蔵野・多摩地区を中心にしたラーメン食べ歩きを始めて15年以上。現在は年間400〜500杯程度を食べ、新店コレクターでありながらも老舗店やリピートするお店も多数あり。チェーン店からファミレス、カップ麺までも愛する真性の「ラーメン好き」で、基本的に何でも美味しく食べられる幸せ者。「自分の好みのラーメンを見つけて欲しい」と言う思いをモットーに色々なラーメンを紹介していきます。

本人ブログ(https://zatsu-ke.blog.jp/

本人Twitter @zatsu_ke

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